お茶づけで有名な永谷園にも入っている? 横浜の「美濃屋あられ製造本舗」のつくるあられの味は?
ココがキニナル!
取引先に永谷園と記載されているが、永谷園のお茶漬けに入っているあられは美濃屋のあられ?/都筑区にある「美濃屋あられ」は"のれん分け"した会社という噂ですが、こちらもキニナル(羽後人さん/スさん)
はまれぽ調査結果!
「美濃屋あられ製造本舗」は1929年「小森商店」として創業。1979年から永谷園と取引を開始し、30年以上、同店のあられを卸している。
ライター:大和田 敏子
今まで、お茶漬けに入っているあられの製造元などを考えたこともなかった。
よくよく考えてみると、お茶漬けを食べる時、あられは良いアクセントになるし、なかったらちょっとさびしい。これは、欠かすことのできない大事な素材の一つかも。
そんなことを思いながら、向かったのは中区小港町にある・・・
美濃屋あられ製造本舗。創業87年!
常務取締役、小森健太郎(こもり・けんたろう)さんに話を伺った。
小森さんは4代目にあたる
話を伺ったのは直売所の一角。商品へのこだわり、味の紹介は後ほど
美濃屋あられ製造本舗の歴史は?
まずは歴史を伺った。
美濃屋あられ製造本舗の創業は1929(昭和4)年。岐阜から横浜に出てきた、小森さんの曽祖父があられ屋さんで修業し、その後「小森商店」として独立したのが始まりだ。「合資会社美濃屋あられ製造本舗」と社名を変えたのは戦後の1947(昭和22)年。その後1957(昭和32)年に株式会社とした。
「美濃屋」は初代の出身地が岐阜(かつての美濃国)であることから名付けられた
ちなみに、都筑区にある「株式会社美濃屋あられ」はご親族の会社だが、製造方法や商品などは違い、別会社だという。
1954(昭和29)年には薄く軽い「羽衣あられ」が神奈川県指定銘菓に指定された。それと前後して全国菓子大博覧会でも受賞を重ねている。
天女の羽衣のように薄く軽いことから「羽衣」という
1967(昭和42)年には、同社の「小桜あられ」が、第6回モンドセレクション金賞を受賞した。和菓子では日本初の受賞。横浜という土地柄もあり、同社では早い時期から海外輸出をしており、海外での評判が良かったことから、商社からの声かけでエントリーしたのだそうだ。受賞後は、さらに海外からの注文が殺到したという。
数々の受賞歴! モンドセレクションは左上
輸出先はグアム、サイパン、ハワイが中心だった。現在はこれに、カナダやフランスなども加わり、生産量の1割程度を輸出している。輸出に関しては「丸清(まるきよ)」というブランド名を使用している。
1979(昭和54)年には、株式会社永谷園と取引が開始された。もともとは、下請けということで、都内のあられ屋さんに話を持ちかけられたのがきっかけだったが、次第に直接取引をするようになったそうだ。現在も、かなりの量のあられを納めているという。
お茶づけにはあられがつきもの
永谷園に納めるあられは専用のサイズがあり、通常の柿の種等よりも小さく作られるそうだ。永谷園で使用されているあられには、投稿にあるように「美濃屋あられ製造本舗」のものが含まれているのは確かなよう。
料理のトッピッグなどに使えるあられも販売中。お茶漬けにも!?
平成に入ってからさらに新しい商品開発を続け、2008(平成20)年には「和風チーズ餅」が神奈川県銘菓コンクールで最優秀賞受賞 。また、2009(平成21)年以降は「横濱ビア柿」「あら! あれ! シリーズ」など、いくつかの商品が「ヨコハマ・グッズ 横濱001」に認定されている。
横濱001の中でも、優秀と評価を得ている
ちなみに、「ヨコハマ・グッズ 横濱001」とは、横浜のお土産にふさわしく、横浜に住む人にも愛される良質な横浜ブランドを、2年に1度の厳しい審査会で選出されるものだ。
あられへのこだわり、特徴は?
美濃屋あられ製造本舗のあられへのこだわりを教えていただいた。
原料はもち米100%。でんぷんなどを一切使っていない、食感のしっかりしたあられだ。使用するしょうゆは、長野県飯田市にある蔵で専用に作ってもらっている、強い味のしょうゆなのだそう。
こだわりのあられの決め手は、もち米100%と特製しょうゆ
同社では、1957(昭和32年)ころから機械化に取り組んできたが、大手のような最先端のオートメーションではないという。
「昔ながらの手作りの製法を踏襲しながら、品質を安定化、量産して、買い求めやすい価格で提供するために、機械の力を借りるようなカタチですね」と小森さん。
工場の中もちょっと見せていただいた
1日の製造量は、一般的なスーパーで売るようなパックのあられ(200グラム前後)なら5000パックほど、小袋(50グラム前後)なら1万~1万5000パックほどだそう。
工場の外には、箱詰めにされたおかきが出荷を待つ