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横須賀市追浜がトンネルだらけなのはなぜ?

ココがキニナル!

横須賀市の「筒井隧道」は車一台しか通れないほど狭いのですが、高さは7mくらいあります。昔、キリンを運ぶために造られたトンネル、といわれない限り理解のできないアスペクト比です(横濱マリーさん)

はまれぽ調査結果!

横須賀市追浜(おっぱま)の筒井(つつい)隧道に「キリンが通るために高くした」記録はない。横須賀市の特徴的な地形が誕生させたトンネル

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ライター:やまだ ひさえ

投稿にある横須賀市追浜の「筒井隧道(つついずいどう)」。車が1台しか通れず、キリンが通れるほど高い「理解できないアスペクト比」のトンネルとは、どういうことだろう。横須賀の地形に関係があるのだろうか。

以前、トンネルの数について横須賀市役所に問い合わせた際、「横須賀市は日本一トンネルが多いと言われてはいますが、私設のトンネルが多く、全体数は市でも把握できていない」という答えが返ってきた。
 


横須賀市はトンネルの街だ
 

「筒井隧道」は、その私設トンネルの一つだという。そもそもなぜ横須賀にはトンネルが多いのか。投稿にある背が高く、車が1台しか通れないという「のっぽトンネル」はどうやって造られたのか。トンネルの数の多さを紐解けば、作られた経緯が分かるかもしれない。

筒井隧道がある横須賀市追浜(おっぱま)で、地元のトンネルの冊子を作成したNPO法人「アクションおっぱま」を訪ねてみた。
 


同法人が営む「こみゅに亭カフェ」で話を聞いた
 

2013(平成25)年に発行した『追浜の歴史遺産 追浜トンネル物語』
 

著者の一人、杉山暢(すぎやま・のぶ)さん
 




追浜にトンネルが造られた理由



現在、追浜近辺には、筒井隧道を含め、16ヶ所のトンネルがある。一つの地域でそれだけ集中しているのは珍しいことだという。では、なぜ、集中したのか。その点について、杉山さんは「追浜の地形と歴史」が関係していると教えてくれた。

三浦半島は、南北に三浦丘陵が貫いている関係で、海岸線の平坦な場所が狭く、急斜面が迫っている。追浜は、三浦丘陵を構成している鷹取山(たかとりやま・標高139メートル)の麓に広がった街だ。
 


横須賀市と逗子市の境にある鷹取山(フリー画像より)
 

追浜自体、鷹取山の尾根伝いに広がっているのが、地形図を見るとよく分かる。
 


追浜付近の地形図(横須賀市HPより)
 

追浜は、丘陵地が浸食されて形成された谷状の地形、谷戸(やと)に沿って作られた街なのだ。
 


街の間近まで丘陵地帯が迫っている
 

高低差が大きい場所にあるマンションでは、外とエントランスを結ぶ専用エレベーターのあるマンションも珍しくない。
 


外用の専用エレベーターのあるマンション
 

そしてもう一つ、追浜にトンネルが多い理由は、街の歩んできた歴史と関係している。

追浜は、1916(大正5)年4月、日本海軍最初の航空隊である「横須賀海軍航空隊」、通称「横空」が誕生した地だ。
 


海軍航空隊誕生の地(『新横須賀市史 別編軍事』より)
 

海軍航空隊の下士官や特務士官搭乗員を養成するための予科練が、最初に設けられたのも、1932(昭和7)年には、横須賀海軍航空隊に隣接して「海軍航空技術廠(しょう)」が設立されたのも追浜だ。
 


海軍航空廠庁舎(同)
 


海岸線一帯を海軍の施設で占められていた(同)
 

「横空」の誕生によって、それまで周辺住民が物資や移動などで多用していた海上交通が禁止になった。
 


市民の海上交通や漁業も禁止された (同)
 

ちょっとお隣に行くにも山を越えなければならない。それが追浜に多くのトンネルが造られた大きな要因だ。