横須賀線の新型車両「E235系1000番台」に乗車!旧型車両と比べてどう変わった?
ココがキニナル!
12月21日から運転開始される横須賀線新型車両E235系の乗車レポートをお願いします。(アサトさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
E235系1000番台は、山手線の0番台をベースに、トイレやフリーWi-Fiつきのグリーン車を備えた横須賀線バージョン。座席の座り心地の向上や案内表示の充実、優先席の色分けなど、快適で分かりやすい!
ライター:若林健矢
「アサト」さんのキニナルに記されている通り、2020年12月21日より横須賀線で新型車両「E235系1000番台」が運転を開始した。現時点で半年経ったので、すでに目撃したり、実際に乗ったりした人も多いかもしれない。筆者・若林もたびたび見かけたり、乗ったり撮ったりすることが増えてきた。
神奈川を走る新型車両とあらば、ぜひはまれぽとしても取り上げるべきでは!?と思っていたが、幸か不幸かはまれぽ内ではE235系1000番台に関する記事はまだない。「アサト」さんのキニナルに応えるべく、横須賀線の新型車両に乗ってみよう。
まずは普通車、分かりやすく利用しやすい車内に
今回は横浜駅からスタートし、最初に普通車に乗って久里浜駅を目指したい。横浜駅を12時38分に発車する久里浜行きがE235系1000番台だったので、これに乗り込もう!
横浜駅を発車して、進行方向右手の相鉄線、左手の東海道線に挟まれながら並走する。相鉄線が西横浜駅を出ると同時にJRと相鉄はお別れだ。
真新しく鮮やかな色をまとい、保土ヶ谷駅に到着
さて、E235系の普通車は、山手線で活躍中の0番台をベースに、中・長距離輸送の横須賀線に対応した設備を備えている。全車両の両端に優先席・フリースペースを備えており、その部分は床と壁がピンク色になっている。
さらに床には「優先席」の文字と車いすのマークが表示されているので、目に見えて分かりやすい。座席はロングシートで、背もたれは青、座面はグレー。なお優先席の座席は背もたれが赤色だ。
山手線のE235系は0番台で、横須賀線とは仕様が異なる
ラインカラーはドアではなく、従来通り側面窓下と上部に配色
なおE217系と異なり、普通車の座席がロングシートに統一された。対するE217系では9~11号車がセミクロスシートで、進行方向の前後を向いて座ることもできた。
ロングシート統一は少し残念な気持ちもあるが、ラッシュ時の横須賀線の混雑事情があるのと、狙って乗らなければそんなに気にならないことをふまえると納得がいく。座り心地が改善されているので十分だ。
ドアの上にある、停車駅や、乗り換え・運行情報などを知らせる案内表示も現代仕様にアップデート!従来のE217系では文字だけの案内表示だったところ、E235系では21インチという大型のデジタルサイネージ(ディスプレイ)になり、見やすくなった。
各ドア、連結面、座席上部にもそれぞれ広告用の画面が設置されている。しかし万が一異常が起きた場合は、全部の画面が案内情報に切り替わる。
さらに長距離輸送に対応した設備として、1号車・5号車(グリーン車)・6号車と増1号車にトイレが設置されている。5号車以外のトイレは全て車いすに対応していてスペースも広い。
E235系1000番台、普通車の車内(画像:JR東日本横浜支社)
車外の行き先表示も全てフルカラーLEDになり、明るくて分かりやすい。それだけではなく最後部の行き先表示には、走行中は花のイラストが表示される。月ごとにイラストが変わるので、毎月見ていくといろいろバリエーションがあって面白い。
4月はサクラだった
また、通常時はほぼ気にすることがないと思うが、E235系では主要機器が二重形化され、故障に強くなっている。そして、万が一の非常事態への対策に、非常走行用電源装置を搭載している。
普段はいつも通り走りながら蓄電池に充電し、有事の際は充電した蓄電池の力で電車を動かすことができるのだ。これで万が一パンタグラフから電気を取り入れることができなくなっても、近くの駅までは乗客を運べるようになり、安全輸送にも貢献している。
鎌倉、逗子、久里浜へ、三浦半島方面を新型車両で!
さて、大船駅を発車してからが横須賀線は本番。東海道線と別れて一路南へ進み、北鎌倉駅、鎌倉駅と停車。この時は休日だったので、昼間でも鎌倉観光に訪れる人は多い。左手遠方に鶴岡八幡宮を見た後、トンネルを抜けたら間もなく逗子駅だ。
北鎌倉駅からトンネルを抜けて鎌倉・逗子方面へ
大半の電車が折り返すほか、電車の増解結も日常的に行われる
逗子駅から久里浜方面に向かう電車のうち、ここまで15両編成で走ってきた場合はこの駅で前4両を切り離す。そのため停車時間もちょっと長め。なお日中の逗子~久里浜間は、上下線とも1時間に3本。
そのうち1本は横浜方面から直通する11両編成だが、残りの2本は逗子~久里浜間をひたすら往復する4両編成。ホームに対して4両編成はやたら短いので、足元の乗車位置をよく見るべし!
逗子~久里浜間は4両編成も多い。画像は従来車両「E217系」
連結作業の時は久里浜方面から11両編成が先に入線し・・・
そのあと4両編成が入線。15両編成で大船方面へ
逗子駅を出発したら、右手の留置線を眺めた後、左手に逗子第一運動公園が近づく。公園内に保存されている京急旧600形は電車の横須賀線の中からもよくわかる。その横を過ぎたら東逗子駅に到着し、今度は田浦駅へ。
駅の両側をトンネルで挟まれているために、11両編成の一番前の車両と、2両目一番前のドアが開かない「ドアカット」でおなじみの駅だ。ちなみに4両編成は全部のドアが開くのでご安心を。
相模湾側から今度は東京湾側に抜けていく
田浦駅を出てトンネルを2つ抜けたら、久里浜方面に向かって左手すぐ近くまで港の海が迫る絶景ポイント!横須賀線全体を通しても海が見られる場所はここだけなので、ぜひとも車窓から眺めてほしい。
ここを通り過ぎたら横須賀駅に到着となる。
電車から一瞬見える海の絶景をお見逃しなく!
改札からホームまで一切階段がない、足腰にも優しい横須賀駅
横須賀駅から久里浜駅まで、神奈川県では珍しい単線区間。横須賀駅発車後すぐのトンネルの中で、実は京急線の下をくぐるが、車窓から何も見えないのでいつの間にか立体交差が終わっている。
交換駅の衣笠駅で対向列車との行き違い後、久里浜行きの電車は線路の左右に住宅や工業系会社の事務所や工場が立ち並ぶ沿線を進む。衣笠~久里浜間では、これまでほどの速度は出ておらず、横浜駅周辺に比べるとのんびり走っている印象。
単線区間といえども11両は迫力満点、久里浜駅へあと少し
日中は4両編成も走る。若干ローカル線っぽい?
終点の久里浜駅には13時36分に到着。このE235系は折り返しで成田空港行きの電車になった。よくよく思えば相当なロングランだ。成田空港駅の他には君津駅(内房線)、上総一ノ宮駅(外房線)などへも乗り換えなしで行ってしまう。
E217系の時からずっとある運用だが、それもだんだんE235系に引き継がれていくだろう。
ちなみに始発駅などではE235系1000番台のドアは押しボタン式にもなる。その時は車掌や自動放送により案内されるので、ドア横にあるボタンが押してほしそうに光った時、緑色に光る「開」ボタンを押して乗車すること。
JR横須賀線の久里浜駅、京急久里浜駅も近い
帰りは横須賀駅から、新型グリーン車を体感!
撮影しながら沿線を行ったり来たりしているうちに時間が来てしまったので、帰りは横須賀駅から、同駅17時38分発の上総一ノ宮行きで横浜に戻ることに。帰りももちろんE235系だが、今度乗るのはグリーン車!
おなじみ2階建てのグリーン車も新しくなった!
同じE235系でも0番台にはない、1000番台ならではの特徴といえば、2階建てのグリーン車。これもE217系から大きくアップデートしているぞ。まず内装を見ると、壁の一部が黒い木目調になったために高級感が増している。座席は全て、背もたれの上半分がグレーで、背もたれの下半分と座面が紫色のリクライニングシート。
しかしE235系のグリーン車では、さらにひじ掛けに電源が設置された!加えてグリーン車の室内ではフリーWi-Fiも使用可能。乗車中にPCやスマホを充電したり、作業したりしながら過ごすことができる。
加えて客室内の案内表示がディスプレイになった。これも普通列車グリーン車では初めてで、1階席・2階席・平屋席のすべてに設置されている。文字だけの案内より大きな画面になっており、前後を向いて座るグリーン車でも次の駅や各種案内が分かりやすくなった。
E235系1000番台グリーン車。画像は2階席(画像:JR東日本横浜支社)
筆者は2階席に着席。当然眺望が良く、横須賀駅付近の海が迫る車窓もさらに良い眺めに。トンネル内では壁と天井にかけてアーチ状に曲がっている部分がトンネル内の照明で照らされ、対向列車とすれ違う時は側面上部のラインや屋根の角(すみ)まで見えるようになる。
反面、1階席は地面に近い高さということもあって外の景色は見にくい。しかしこの車両には電源とフリーWi-Fiがあるために、スマホやPCで時間を使いやすくなったのがありがたい。ただし乗り物酔いには注意。
横須賀の海を後にし、東京方面へ向かっていく
京急と交差するトンネルを抜けたらすぐに横須賀駅
普通列車とはいえグリーン車は特別、誤乗車に注意!
グリーン車乗車中、注意してほしい出来事があったので補足しておきたい。E235系は横須賀線の「普通列車」だが、グリーン車は「特別車両」ということだ。
車内改札中、筆者の後ろにいた乗客が、ここがグリーン車だと知らずに乗り、グリーン券を持っていなかったのか、乗務員の車内改札に言いがかりをつける場面があった。結果的にその人は普通車に案内される形でグリーン車を後にしたが、双方良い思いをしなかったのではないかと思う。
グリーン車は普通車よりも一段階グレードが高いため、利用するにはグリーン券を購入しなければならない。きっぷの場合は券売機で購入する必要があるが、ICカードの場合はホームのグリーン車停車位置付近のICカード専用券売機で購入可能。一応、急いでいて事前購入できなかった場合は車内で乗務員から購入できるが、値段がちょっとだけ高くなる。
ちなみにグリーン車は、乗っているだけで料金が発生する。客室内が満席で座れなかったとしても、デッキに立っているだけでも乗務員の車内改札の対象になるので注意してほしい。
また、グリーン車が付いている電車には、横須賀線の他にも東海道線、湘南新宿ライン、上野東京ラインや、神奈川県外だが常磐線快速列車もある。いずれも2階建ての車両が2両連結されており、その2両がグリーン車なので、知らずに乗り込んでしまわないように注意しておこう。
取材を終えて
横須賀線の新型車両「E235系1000番台」で、普通車とグリーン車の両方に乗ってみて率直に思ったのは、「普通車の座り心地が改善された!」という印象だ。その他の違いは主に、普通車のロングシート統一、案内表示のフルカラー大型ディスプレイ化、優先席・フリースペースの色分け、トイレのバリアフリー化といったところ。
特に日常的に利用する場合はグリーン車より普通車を使うことが多いかと思うが、新型車両によって内装が最新仕様になり、快適性や利便性が大きく上がっていたのはありがたい。案内表示のディスプレイや、優先席・フリースペースの色分けも0番台に続いて採用されており、利用しやすい列車になったと感じた。
横須賀・横浜と千葉県を結ぶ新型車両の活躍はまだまだこれから
しかし新型車両が登場したということは、既存のE217系はだんだん数を減らしていくということにもなる。そのためE217系がこれから貴重な存在になっていくと思われるが、乗車時・撮影時は安全とマナーを守り、他の人の迷惑にならない配慮を行った上で楽しんでほしい。
―終わり―
一部画像提供
JR東日本横浜支社
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狐猫さん
2021年08月29日 22時30分
列車の連結器を見てみたら、今までの東海道線や横須賀線と違って、増結車両を久里浜側にも東京側にも、どちらにも「電気配線も」自動で連結できるように作ってありますね。今の東海道線や以前の横須賀線の列は、列車は自動的に連結できても、電気の配線を「自動連結」できる機器が「片方向にだけ」付いていました。東海道線の場合は、01号車と15号車の連結器は「車両だけ」、10号車と11号車の連結器は「電気配線」も自動連結になっています。横須賀線の場合は旧型では、増結1号車と11号車は「車両だけ」、増結4号車と1号車は「電気配線も」自動になっています。 と言う事は、もしかして、グリーン車の位置が、東海道線、湘南新宿ラインと同じ位置になるのでしょうか?鹿島線乗り入れや久里浜駅での連結などの作用がメンドクサクなりそうな気もしますが。
狐猫さん
2021年08月28日 04時12分
「E217系」一時期、JR東海道本線、JR伊東線の東京と伊東の区域で運用されていて、藤沢駅での「藤沢から新宿までならJRで」と小田急線に対抗するようなの広告で紹介されていたのですが、すぐにE231に、JR横須賀線とJR東北本線(不正式名称、JR宇都宮線、宇都宮線は東武鉄道の商標)を結ぶ「快速」「特別快速」と一緒に利用されなくなりました。