横浜市内の「神奈川淡麗系ラーメン」でオススメの店はどこ? vol.3
ココがキニナル!
醤油ラーメンで人気な「くじら軒」が横浜発祥だとは知りませんでした。取材してください(アフロロさん)/センター南にあるウミガメ食堂についてレポートをお願い!細麺、最高です!(Shokaiさん)
はまれぽ調査結果!
スープの精密さが光る「くじら軒」と極細自家製麺がウリの「ウミガメ食堂」を紹介する。
ライター:カメイアコ
vol.1、vol.2とお送りし、「神奈川淡麗系ラーメン探訪」の企画は今回で3回目を迎える。
おさらいではあるが、淡麗系ラーメンとは鶏ガラや魚介系食材を使った透き通ったスープのラーメンのこと。塩としょうゆの2種類がある。
vol.2では、南区にある「鶏喰(とりっく)」を取材
個人的に塩ラーメンや中華そばが大好きなので、「淡麗系ラーメンを探しに行きましょう」と編集部・小島からの電話を受けたときは、心の中でガッツポーズしたほどだ。
そこで今回ご紹介するのは、細ストレート麺を使用した至極の一杯を提供する都筑区の2店。横浜市営地下鉄ブルーラインセンター北駅にある「くじら軒」とセンター南駅にある「ウミガメ食堂」だ。奇しくも、両店とも海の生物が店名になっているので、こちらも深堀していこうと思う。
横浜発祥の人気ラーメン店「くじら軒」へ
まず訪れたのは、センター北駅が最寄りの「くじら軒」だ。東京駅八重洲口にある行列のできるラーメン店という認識だったが、実は横浜が発祥だった。
センター北駅から徒歩8分ほど
くじら軒発祥の経緯は、社長の田村満儀(たむら・みつよし)さんが体調を崩し、勤めていた会社を辞めたことに始まる。それを契機に長年夢だった大好きなラーメン屋さんを開きたい、やりたいことをやるなら今だ、と考え、退職して半年後の1996(平成8)年にこの地にオープンした。
その2年後には、子どもからシニアまで幅広い客層が訪れ、200人が並ぶ大人気店となった。開店後、スープ売り切れのため、即閉店なんてこともざらだったという。
2代目として跡を継ぐ店長の田村芳明(たむら・よしあき)さん
挨拶もそこそこに、くじらで出汁を取っているんですか!! と食い気味で質問すると、「よく聞かれるのですが、使っていません(笑)」とのことだった。
名前の由来を伺うと、お父様である同店社長は泳ぎが得意で、くじらになって泳ぐ夢を何度も見たほどだったそうで、「自分はくじらの生まれ変わり」だとよく言っていたこともあり、くじら軒という店名になったという。
くじらの様に大きなお店に、という願いは現実に
店長の田村さんは、高校生の時からお店を手伝っていたそうで、ラーメン店を開く前から自宅でよくラーメンを作って食べさせてくれたお父様の背中を見て、将来は料理人になりたいと卒業後にイタリア料理店に就職した。
21歳の時にお店が忙しくなり、期間限定で開いていた北海道の小樽にあったくじら軒に立ち、現在は本店の店長として、今日まで先代の味を守り続けている。
同店のスープは寸胴1つから生みだされる
近年は魚介、動物系と別々にスープを取り、お客さんに提供する際に合わせる店が多いというが、同店ではスープは野菜、果物、魚介、動物系のすべてを1つの寸胴で煮込むのだ。
豚と鶏の割合は7:3
豚を多めにとることで、コクと深みがでるという。煮込む時間は、3時間ほど。長すぎても短すぎても完璧なスープにはならない。どれか一つでも煮過ぎて、えぐみが出てしまえばたちまちスープは台無しになってしまう。一度にたくさん作れない分、常にスープに意識を集中させ、味の変化を見逃さないように作られる。
ストレート麺はスピードが命
麺は博多ラーメンに使われるようなストレート麺。旨味たっぷりのスープを吸えるように低加水麺にし、シャキッとした歯触りが特徴だ。
丼からおいしそうな湯気が立つ
しょうゆダレに豚などからとった出汁をプラスして“合わせ”にしている。この味が少しでもブレてしまえば、渾身の一杯に大きく影響がでるという。同店が一番神経を使っている所だ。
一番人気の「支那そば(濃口醤油)」は750円
透き通ったスープに細麺が泳ぐ
魚介のあっさりさを残しながらも、豚ガラのコクと鶏のまろやかさがスープに深みを与える。そこに揚げニンニク、揚げショウガ、揚げネギをプラスして、味にパンチを加えている。
いただきます
スープの味の均一さ、精密さに驚かされる。スープだけで1つの料理として成立しているのだ。
圧倒される美味しさ
シンプルな淡麗系のラーメンは、ごまかしが利かない。麺、スープ、具材の全てを主張させ、バランス良くまとめ上げるのが店主の腕の見せどころ。同店のラーメンはどの要素も欠けてはならない、計算され尽くされた一杯だった。