大船「田谷の洞窟」近くの工事現場の看板「遺跡の発掘調査」って何?
ココがキニナル!
栄区田谷町1534番地付近にある工事のお知らせの看板を見ると「遺跡の発掘調査」と書いてありました。詳しい事が書かれていなかったので、一体どんな遺跡が見つかるのか気になります。(ねこみくさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
奈良・平安時代~中世・近世の遺構や縄文時代や奈良・平安時代の土器破片、中世・近世の陶磁器などの遺物を発見。2017年2月まで調査続行予定
ライター:大和田 敏子
遺跡の発掘。歴史ロマンを感じる!?
遺跡の発掘調査・・・。そう聞いただけで、古代の歴史への想像が広がり、ロマンを感じるのは筆者だけではないだろう。工事のお知らせに「遺跡の発掘調査」という文字を見つけた時の、投稿者の興味に大いに共感!
情報をもとにインターネットで調べてみると、「公益財団法人 かながわ考古学財団」によって発掘調査が行われていることが分かった。早速、取材をお願すると、現地で対応いただけるとのこと。一体、どんな状況なのだろう。なんとなく気持ちが浮き立つのを感じながら現地へ向かった。
発掘現場があるのは、JR大船駅の北西、約2kmのところ。
ここ!(赤色のピン位置)
神奈中「山王」バス停からは徒歩1分ほどだ
同財団の調査研究部調査課課長、植山英史(うえやま・ひでし)さんと同主査、渡辺外(わたなべ・がい)さんが対応してくれた。
遺跡調査全般に関しても丁寧に教えてくれた植山さん(左)と渡辺さん
実は神奈川県内では現在、約8000ヶ所の遺跡が見つかっているという。今まで遺跡の発掘調査の現場を見たことはなかったが、その数を聞くと案外多いように思う。
現地の看板。こういう看板を見たことがある方も少なくない!?
遺跡の発掘調査を行うのは、どのような場合なのだろうか。一般的に発掘調査が行われるまでの仕組みを教えていただいた。
国や県などの行政が道路や建物を造るといった開発を行う場合は、遺跡のありそうな場所を把握して文化財保護を行っている団体部署(県や市の教育委員会など)に、照会をかける。
そこで遺跡が存在する可能性があると判断された場合、試掘(しくつ)調査を行うという。この試掘調査では、開発予定エリア内の数ヶ所で、通常、2メートル×2メートルの正方形の範囲で、基盤層(人の手が加わっていない土の部分)まで試しに掘り進める。もし、そこで遺構や遺物が出てくれば、本格的な発掘調査を行うことになり、出てこなければ、そのまま工事を開始することになるそうだ。
「田谷町相ノ田谷遺跡」調査の経緯は?
今回の調査は、国土交通省関東地方整備局横浜国道事務所による、高速横浜環状南線建設事業(2020年度完成予定)に伴い、2016(平成28)年4月より行われたもので、正確には横浜市栄区田谷町1701地先エリア。
発掘調査以前の現地
こちらでは、試掘調査で中世の「かわらけ」(うわぐすりをかけてない素焼きの土器)と思われるものが出てきた。鎌倉市に近く、田谷の洞窟もすぐそばにあり、重要なものが出土する可能性もあるということで、発掘調査を行うことになったという。
遺跡名称は「田谷町相ノ田谷(たやちょうあいのたやと)遺跡」。柏尾川の支流の一つである、関谷川に隣接した河岸段丘上の緩斜面に立地している。
調査エリアは4710平方メートル。発掘は上段、中段、下段の3地点で実施
当然ながら、土は上層部から順に掘り進められる。新しい時代から順に古い時代のものを探っていくことになるのだが、その部分の地層の年代はどのように知るのだろう。
地層の時代を推定する目安の一つとして、植山さんは、「歴史上最後の富士山の噴火である、江戸時代中期、1707(宝永4)年の宝永大噴火(ほうえいだいふんか)時の火山灰を目途にその地層の年代を推定することも多い」と教えてくれた。
調査対象について一般的な遺跡の取り扱いを説明
横浜市街地では、開港期の資料が貴重であることから、幕末や明治初期などを調査対象に含めているそうだ。
より上層部分の土を大幅に取り除くためには、ショベルカーなどが使用されるが、発掘調査の多くの部分は丁寧な手作業で行われるとのこと。
現地を見せていただきながら、さらに詳しく教えていただいた