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ロボットにかける青春! 「学生ロボコン」の横浜代表チームに突撃!

ココがキニナル!

テレビでよく見る「ロボコン」。みんな、どんなモチベーションで参加しているの ロボコンの技術って、将来、実生活で何の役に立つの?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

ものづくりに魅せられた大学生たちが、試行錯誤しつつ情熱を傾けて作っている。開発を通じ、自らのやりたい分野に気がついたり、進む道決めるものアリ

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ライター:ミズグチマイ

夏休みの深夜、若者が作ったロボットが競い合うテレビ番組を見たことはないだろうか?


こういうかんじのヤツです!

「床に落ちたボールを拾って、時間内にたくさんゴールに入れられるロボット」「ロボットが 、もう一体の自走する機能を持たないロボットを触れずに動かす」など、毎年異なるテーマに沿って開発されたロボットたちを各大学が競わせて戦うコンテスト、通称「ロボコン」である。

「学生ロボコン」は、NHKで1991(平成3)年から毎年放映されている、ロボット好きとしては甲子園くらい手に汗握り、泣ける番組だ。
 


両方、夏の風物詩
 

2017(平成29)年の学生ロボコンは6月に開催され、すでに収録を終えている。テレビで私たちは競い合うロボットを見ているが、ロボコンまでにどんな学生たちが、どんな体制で、どのくらい時間をかけてロボットを作っているのだろう。
 


2017年出場の横浜国立大学「ロボティズム」
 

「横浜で作る『中の人』たちをクローズアップし、身近なアレって誰が、どんな風に作ってるの」ということで、横浜のモノを作る人たちを探し求める企画。

ロボット開発の舞台裏に迫るべく、2017年学生ロボコンに、横浜から唯一出場した横浜国立大学のロボコンチーム「ロボティズム」のみなさんにお話を伺った。
 


メンバーは全員で約30人とのこと
 



どんな集団なの?



さっそくですが、今回の大会で使用したロボットを作るのってどのくらい時間かかったんでしょうか。
 


代表の石垣泰暉(いしがき・たいき)さん。ロボット開発以外だと料理が好き
 

石垣さん「ロボティズムの場合、ざっくりこういったスケジュールになっています」
 


ルールの和訳から始まり、開発期間延べ10ヶ月
 

思っていたより長期の開発であることに驚く。石垣さんによると、「日中は授業を受けているので、基本は夕方以降に作業しています。ビデオ審査提出のタイミングの直前は慌ただしくて、朝まで開発して朦朧もうろうとしつつ講義を聴く・・・ということもあります」という。

約30人のメンバーは、ハードウエア開発担当の「マシン」班とソフトウエア開発担当の「制御」班に分かれて開発を行っている。割合としてはマシン班4人に対し、制御班6人程度。
 


石垣さんは制御班
 

「ロボティズム」の今年のテーマは、「全方位に高速でフリスビーを投げられるロボット」だ。
 


ロボティズムの2017年のロボット「澪標(みおつくし)」
 

「NHK学生ロボコン」は毎年競い合うテーマが違っていて、ロボットもテーマに沿って毎年違った動きを求められる。ロボットの基本コンセプトはどう決めるんだろう。青春っぽく殴り合って決めるとか?
 


拳で語らった後に河川敷で大の字になって「やるじゃねえか」的な
 

「今年はけっこうスムーズに決まったかな・・・。前年の先輩は喧嘩したというウワサもありますが、今年はシャイなメンバーが多かったので静かに進みました」と石垣さん。失礼しました。

今年のメンバーは週に1回、土曜日にミーティングを行う形で開発を進めてきたが、「なかなかみんな忙しくて、集まりが悪かったのが反省点」だという。若くして「PDCA(計画・行動・評価・改善)サイクル」を意識していることに頭が下がる。
 


各担当の成果物を結合テストもする石垣さん
 

複数人で組織的にモノを作るのは、体制を整えることが必要だ。石垣さんもそれを理解していて、「ロボティズムは5年前に創設された歴史の浅いサークル。ノウハウの蓄積と共有がまだまだうまくいっておらず、今後の課題です」と話してくれた。

続けて話してくれたのは、ロボティズム副代表の山口雄大(やまぐち・ゆうだい)さん。
 


「家電のような、研ぎ澄まされた機構に憧れている」山口さん
 

ロボコンに出たいという情熱からサークルを立ち上げ、ノウハウなきところからスタートしてロボコン出場までこぎつけた先輩たち。山口さんは「力がすべてという信念の先輩たちがその場その場で問題を力技で解決してきたがために、いままでの技術の蓄積があまり残されていないんです」と憂う。

これはモノづくり組織にありがちなことで、すごいスキルを持った人がいても、その人が抜けると技術や知識、経験までもが失われたりすることが往々にしてあるのだ。

ちょっとマニアックな質問で、開発言語とバージョン管理システムは何を使用しているかを石垣さんに聞いていたところ、制御班の鈴木正大(すずき・まさひろ)さんが突然笑い出す。いったいどうした?
 


ランドマークタワーのジェラート屋さんがお気に入りの鈴木さん(左)
 

スパコンの開発に挑戦してみたいという野心を持つ鈴木さんは、バージョン管理も今後の課題ですとはにかんだ。

「開発言語はC言語です。プログラムの変更履歴を記録・追跡できる『Git(ギット)』というシステムを使おうと思っていたんですが、最終的にデータ共有や同期を行うオンラインストレージ『Dropbox(ドロップボックス)』を使用していました」と石垣さん。

おぉ・・・だいぶ力技で管理している感がある。
 


当時を振り返って笑顔の鈴木さん
 

「Git」だと、ひとつのファイルを複数人で開発している時にシステムで管理をフォローしてくれる仕組みがあるが、「Dropbox」だと人力での管理になる。ファイルを管理している代表が倒れてしまうなどトラブルが発生すると、管理がごちゃごちゃになってしまって大変そうだ・・・。

当時のことを山口さんも「佳境の時は代表、倒れないでくれーって思ってましたね」と振り返る。

モノづくりには物理的な材料費も含め、かなりの費用がかかる。「そこらへんってどうされているのでしょうか」というゲスな質問をぶつけてみるが・・・。

石垣さんは「主に部費と、支援してくださる企業から募った寄付金などを利用しています。渉外を担当するメンバーもいて、横浜の企業に応援いただいたりしています。ウェブサイトにスポンサーの方へのメッセージを掲載しています」と真摯に答えてくれた。
 


スポンサーへのメッセージ、ロボティズム公式サイトより