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ロボットにかける青春! 「学生ロボコン」の横浜代表チームに突撃!

ココがキニナル!

テレビでよく見る「ロボコン」。みんな、どんなモチベーションで参加しているの ロボコンの技術って、将来、実生活で何の役に立つの?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

ものづくりに魅せられた大学生たちが、試行錯誤しつつ情熱を傾けて作っている。開発を通じ、自らのやりたい分野に気がついたり、進む道決めるものアリ

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ライター:ミズグチマイ

「澪標」こだわりのポイント



今回のロボットについて、「ここは頑張ったと」いうポイントを含め、マシン班リーダー の河本祐一郎(こうもと・ゆういちろう)さんに聞いた。
 


高校時代は軽音部でギターとベースを担当。『マクロスデルタ』はカナメ派
 

「ねじねじタイヤメカナムホイールを今回初めて導入して、わりとうまく制御できました」と河本さん。

「ねじねじタイヤ」
 


ねじねじタイヤ
 

「ねじねじタイヤ」を採用することで、バックしなくても、その場で全方向に移動することを実現したのだという。こんなタイヤがロボットに使われているんだ。テレビでは個々のマシンのディテールまでは紹介しないので、興奮するロボット好きの筆者。
 


ギアっぽいパーツ
 

ギアっぽいパーツは、パソコンで流し込んだデータに沿って切削する機材『CNC』を使用して作られている。
 


切削機材『CNC』
 

「うちのCNCはお手頃価格の卓上サイズですが、大学によっては何千万円もする大規模な環境を持っているんですよ」と教えてくれた河本さん。開発環境も大学ごとに差があることを実感する。

ロボットにはどんな材料が適切かについて、「ある程度はセオリーが決まっています。基本はアルミで、軽くしたい所はMDF(中密度繊維板)を使うとか 」と河本さん。

音楽が好きでアンプなどに関心を持っていたら、回路にも興味がわいてきたという制御班の吉田大輔(よしだ・だいすけ)さんも続ける。
 


「昨年は、軸にアルミを使っちゃって試合直前に折れちゃった」
 

「アルミは軽いけれど強度に欠けてしまうんです・・・。なんであの時アルミ使ったんだっけ」と河本さんがいうと、吉田さんも「あの失敗はしばらく先生に言われてたねー」と振り返った。
 


さまざまなことを考慮して、ロボットは設計されている
 

前述したように、ロボコンは毎年競い合うテーマが変わるので、今までのノウハウが通用するとは限らない。

「今年はタイヤがついている移動可能なマシンですが、来年は移動しないロボットが必要なテーマになるかもしれない」と石垣さん。河本さんも「新しい技術を検証しながら実装、という挑戦が毎年あります。時間と人手はいつも足りない」と続ける。
 


来年の課題について語りつつ、どこか楽しそうな石垣さん
 

石垣さんは「今年のルールで使用されたフリスビーは、実はものによってサイズに差があって泣かされたチームもいました。そういった想定外の出来事への対処も、チームごとに個性が出ますね」と、技術以外にチームとしての重要性も大きな要素だという。

大会で使用されたフリスビーにはそれぞれ数パーセントのサイズの誤差があったが、人の手で投げるには気が付きづらいレベルで、製品としては問題がない。人の体はあいまいな誤差を直感的に気がついて柔軟に対応できるようにできているが、ロボットはそうではないことが問題だ。
 


問題のフリスビー
 

今回の場合はフリスビーの大きさに誤差があることを考慮してロボットを設計しておかないと、想定よりフリスビーのサイズが1cm大きいために、「フリスビーがロボットにセットできない」という事態が発生してしまうのだ。

あるチームはロボットにセットするフリスビーを、ロボットが扱いやすいものを人がサイズを精査して使用する作戦をとったとか。人間側が柔軟な対応を行ってロボットをフォローした、というわけだ。
 


人間には些細な差でも、ロボットにとっては致命的なことも
 

使用するフリスビーのサイズが同じである方がフェアな勝負になるのでは と思えるエピソードだが、ロボット開発には想定外の状況に対応する技術や発想力も重要なのだ。

たとえば人が踏み入ると危険な地雷の除去にもロボットが使われているが、地雷はいつも同じ状況で埋まっているとは限らない。例外的な状況に柔軟に対応することができるロボット作りの経験は、さまざまなシーンで重宝されるというわけだ。
 


ロボティズムはサイズの誤差は大丈夫だったのだろうか
 

山口さん「ロボティズムも最初、フリスビーのサイズが想定と違ってうまくマシンが動作しなかったのですが、気がついたらうまく動いていました」という山口さん。運に愛されることも、勝負には大事なんだろうな。



青春エピソード



開発の中で青春っぽいエピソードはなかったのだろうか。

「夕日の見える丘で殴り合う的な」と山口さんが口火を切れば、吉田さんは「日中は真面目に作業しますが、深夜は作業しつつ、みんなでアニメを鑑賞して徹夜とかしたり・・・。作業と同時並行の時は日常系アニメに限ります」と笑顔。
 


『マクロスデルダ』はフレイア派の吉田さん
 

ほかにエピソードを聞くと、審査用のビデオ撮影がなかなかうまくいかない時があり、いい動きを撮影したいけど、1週間成功しなくて延々とチャレンジしたこともあったそう。

「あと1時間だけ頑張ろう」と思っていたらマシンが壊れたこともあったという。石垣さんも「撮影終わった時、床で2人が寝ちゃってたね」とポツリ。
 


つらかった締め切り前も、今ではいい思い出
 

失態を暴露された山口さんは「そんなことあったっけ 大変すぎて記憶を失ったのかもしれません」と苦笑いだった。



取材を終えて



一言で感想と書くと、ロボコンは青春だ。

多人数でひとつの目標を成し遂げるために、一緒に作る仲間とのコミュニケーションに悩んだり、つくることに思い悩んだり、うまくいかない部分を仲間にフォローしてもらったり、深夜にみんなでアニメを見たり・・・。
 


ゴミではなく、ロボティズムの開発遺物
 

ロボティズムの取材窓口になってくれた盛一 志仁(もりとき・ゆきひと)さんは「子どものころに動きがすごいヘビ型のロボットをテレビで見て『ロボットすごい あんなの作ってみたい』って思っていて、ロボティズムに入ったんですよ」と話していた。
 


子ども時代からロボコンに魅せられている盛一さん
 

きっと、2017年のロボコンに感動して作ることの面白さに目覚める子どももいるだろう。そうして、脈々とモノづくりに挑戦する熱意が受け継がれていくのだ。

ロボティズムのみなさんの今後の活躍に期待したい。
 


学業に開発にお忙しい中、ありがとうございました
 


―終わり―
 
取材協力
横浜国立大学 ロボコンサークル『ロボティズム』
http://ynu-robocon.sakura.ne.jp/
 

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  • 大雑把に言えば、さまざまな分野の専門家が集まってプロジェクトを進めたという経験は、社会に出てからかけがえのない経験として残る。細かく見れば(特に機械工学からメカトロ系をやった自分としては)限られた重量(つまりは材料)で、剛性をもった構造体を産み出すこと。テレビで見ていると「ブニョンブニョン」たわんでいたりするけれど、それでも破壊はしないぎりぎりの強さを持ったロボットが勝ち残るわけで、そういう限界設計を突き詰めた工夫って、構造力学の教科書を読んだだけでない実体験として、後々役に立つよなぁ。

  • 皆さんの頑張りに拍手を送ります。一人ではできないことを、仲間と一緒にやることで目的に近づく経験は将来も生きると思います。期待しています。

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