横浜市営バスと同じ!? 島根県松江市を走るバスの正体とは?
ココがキニナル!
島根県松江市で市営バスに乗ったらバスシートが横浜市営バスのものでした。よく見ると車内もなじみある雰囲気。どうゆう経緯?市バスの行先や活用法がキニナル!海外でも走ったりする?(いなれいさん/浜岩さん)
はまれぽ調査結果!
横浜市から松江市に売却された車両は確かに存在した! 横浜市で廃車となった市営バスは、ほかの自治体や民間会社へ売却されている!
ライター:田中 大輔
民間バス会社の路線バスに比べ、自治体のバスはどこを走っているのか分かりやすい。だって、名前に地名が入るんだもの。
横浜市営バスなら横浜市を走っているし、松江市営バスなら島根県松江市を走っている。ところが、旅先の松江市内で横浜市営バスを見掛けた、というのが今回のキニナルだ。
横浜市内で撮った、市営バスのシート。おなじみのデザインだ
しかも、車体の外観を見てそう思ったのではなく、シートの柄が一緒だったというのだから単なる勘違いとは考えにくそうだが、果たしてその真相は。実際のところを横浜市交通局、そして松江市交通局に聞いた。
市営バスは早めに退役?
市営バスが松江市に渡っているとすれば、当然、横浜市交通局が売ったか、プレゼントしたかということになるはず。というわけで、まずは横浜市交通局を訪ね、自動車本部運輸課の石渡浩之(いしわた・ひろゆき)係長と小笠原幸一(おがさわら・こういち)係長にお話を聞いた。
横浜市内を中心に大きなバス網を持つ横浜市交通局は、実に800台を超える車両を所有している。
バス車両は、使用状況などによっても異なるが、概ね新車から20年程度は使うことが可能なんだそうだ。しかし、横浜市営バスの車両は20年を待たずに現役引退となるサイクルなのだとお二人は話す。
市営バスは余裕を持って引退している?
交通局では大都市における排ガス規制への対応もあり、新車購入からおよそ12年から15年のサイクルで、毎年50台ほどのバスを新車に入れ替えてきている。
ちなみに、新車のバスは2000万円から3000万円ほどだそうで、当たり前だけど、一般的な自家用車とは比べ物にならないお値段がする。
横浜市のような利用者も保有台数も多い大都市だからこそ、毎年の新車購入ができていると言えるだろう。
積極的に入れ替えることで、ノンステップバスなど最新の車両をそろえられる
実は、この辺りのバス車両を取り巻く事情というのが、松江市で目撃された市営バス車両に関係しているようなのだ。
松江市を走る“横浜市営バス”について、交通局のお二人は「横浜市交通局から松江市交通局に売却されたものです」と答えてくれた。
中古バス、売ります!
先述の通り、横浜市では毎年、代替わりで使わなくなる車両が出てくる。
その使わなくなった車両をスクラップにすればお金もかかるし、まだ数年は走れるバスを潰してしまうのは単純にもったいない。
そこで、横浜市交通局ではそれらの車両を、中古バスを必要としている自治体や民間会社に売却しているというのだ。松江市で目撃されたバスも、その中の1台というわけ。
交通局のサイトには入札の案内がある(横浜市交通局ホームページより)
お二人によると、地方都市などでは予算などの事情もあって中古車両を活用しているケースもあるそうだ。さらに、路線バスとしての利用だけでなく、撮影用のバスとして使う目的での購入もあるというから、中古バスの需要は少なくない。
「横浜市では2通りの売却をしているんです」と石渡さん。1つは市への登録が済んでいる民間業者などが参加できる入札での売却だ。
バスの売却自体はほかの都市でも行われていて、オークションや数台セットでの販売などいろいろな方法があるのだが、横浜市では「1台1台丁寧に売る」ことにこだわっているため、個別の入札に限定している。
また、横浜市は車両整備も直営で行っているため、売りに出すギリギリまでメンテナンスをすることができ、「下見に訪れた民間のバイヤーさんに管理状態を褒めてもらう」こともあるんだとか。
売りに出す前には運賃箱やナンバーも取り外される(写真は廃車作業体験ツアー時のもの)
入札による売却額の相場は、状態だけでなく時代などによっても変わるそうだが、最近では数十万円程度が相場というから、元の値段と比べるとずいぶん下がってしまうことになる。状態によっては数万円にまで落ち込むこともあるそうだから驚きだ。