空港の手荷物検査って何してるの? とある横浜の訓練施設で、知られざる「保安検査員」の舞台裏に密着
ココがキニナル!
横浜から空の安全を守る! 空港の「保安検査員」を育てる訓練施設がキニナル(はまれぽ編集部のキニナル)
ライター:はまれぽ編集部
※この記事は株式会社KSPのPR記事です※
ある調査によれば飛行機の事故率は0.1パーセントを余裕で切るなど、飛行機はこの世で1番安全な乗り物という見方もできる。そして、それを支える、高度なテクニックで操縦するパイロットや、状況に応じて的確な指令を出す航空管制官の存在は、広く知られているところである。
しかし、それは飛行機に搭乗してからの話で、搭乗前に大事な仕事をしてくれる人たちのことも忘れてはならない。その一つが、搭乗者や空港で働く従業員の荷物などをチェックする「保安検査員」だ。
空港を訪れたときのことを思い出してほしい。出発ロビーでチェックインの手続き、および荷物を預けたら、その後、保安検査場にて機内に持ち込む荷物などのチェックを受ける。これを担当しているのが「保安検査員」である。
空港には欠かせない保安検査場(画像はイメージ)
空港の安全を守る保安検査員
北は北海道から南は沖縄まで、全国の空港に保安検査員を送り出し、日々、空港の安全を守っている会社がある。横浜市中区に本社を構える警備会社「株式会社KSP」だ。そこで今回、実際にKSPが所有する訓練施設を訪れ、保安検査員たちの知られざる業務の裏側や訓練の中身をじっくり見せてもらうことにした。
KSPのスタッフ。ドヤ顔の理由はいかに?
「KSP」ってそもそもどんな会社?
KSPには現在、グループ全体で5000人以上の従業員がいる。神奈川県だけでも2000人以上を数えるなど、長きにわたって“県内ナンバーワンブランド”を維持し続けてきた警備会社である。
神奈川県最大の警備会社だ
全国の空港での保安検査はもちろんのこと、県内の有名文化施設の警備も請け負っている。もしかしたら、「知らないうちにKSPに守られていた」というはまれぽ読者は多いかもしれない。
詳しいことは「はまれぽイチオシ」の記事を参考にしてもらうことにして、さっそく今回のトピックである「保安検査員」の仕事について、話を進めていこう。普段は決して見ることのできない内容だけに、なんかわくわくしてきたぞ。
いざ、KSPの訓練施設へ!
今回、訪れたのは、相鉄本線「和田町駅」から徒歩約15分のところに位置するKSPの訓練施設「KSP21世紀センター」。(※「国際警備」はKSPの旧社名)
まだ自然も残る住宅街の一角にある
実は、はまれぽでは2013(平成25)年にも取材をしたことがあるが、その当時とは周辺の様子ががらっと変わっていた。
Before(6年前)
After。当時の面影は残っていない
施設内がきれいにリニューアル!
やはり6年もたてば環境は大きく変わるもの・・・。と同時に、セキュリティーの現場で求められる技能レベルの高度化に対し、KSPではスタッフの「教育」に力を入れて検査員のスキルの底上げを図ろうとしている。この6年間で訓練施設がどうグレードアップしたのか、キニナルところだ。さっそく、取材スタート!
「気をつけ!」
「礼!」
普段はこんな感じで座学から研修が始まるそう
今回、話を伺ったのは、30代ながら関内支社の支社長に抜てきされた高橋聡(たかはし・さとる)さん。1969(昭和44)年創業のKSPだが、年齢やキャリアに関係なく実力主義でどんどん上を目指せる会社なのだろう。
笑顔が素敵な高橋さん
保安検査場では「ゲート型金属探知機」と「X線検査装置」を使い、危険物が飛行機内に持ち込まれないかをチェックする。最近は、ハイジャックやテロを防止するため、より保安検査が強化されているそう。言わずもがなだが、めちゃくちゃ重要、かつ責任感が必要とされる仕事だ。
現場では5ポスト5配置の1チームで検査をしているとのこと。
「具体的には『案内』『仕分け』『モニター』『開披(かいひ)』『接触』の5ポストです。保安検査場に行くとチケットを確認する『案内』、荷物をトレーに乗せる『仕分け』、X線検査装置を通過した荷物をチェックする『モニター』、荷物を目視で確認する『開披』、ボディチェックをする『接触』の5ポストで構成されています」
保安検査場はチームワークも必要とされる仕事なのだ
「ただ、モニターをチェックする担当者は国の規定で1時間に1度、休憩しないといけないんです。というのも、かなりの集中力を要するので、長時間続けてできる仕事ではないんですよね。ですので、1チームに3〜4人はモニターをチェックできる人員が配置されていないといけないんです」と高橋さん。
保安検査員の仕事に密着!
チーム編成を理解したところで、さっそく保安検査員の仕事内容を紹介してもらおう。
高度な検査機器でスタッフのトレーニングを行う
まずはゲート型金属探知機を通過してみる
「ピーピーピーピーピー」
すると、センター内にけたたましい警告音が鳴り響く。空港でこの音が鳴ると、内心めちゃビビってしまうのは筆者だけではないはず。
探知機の警告灯が光っているのが確認できる
「何も金属を持っていなければ、警告音が鳴ることはありませんが、今、警告音とともにゲートの腰周辺のランプが光ってますよね? 反応した場所によって光るランプの位置が異なりますので、体のどのあたりに金属があるか、ある程度、検討をつけられます」と高橋さん。
ポケットの中に入っていたスマートフォン(以下、スマホ)に反応したそう
スマホを預けて再度ゲートをくぐる
「ピーピーピーピーピー」
再度、警告音が鳴った場合は、携帯型金属探知機により、隅々までボディチェックをする。
じゃーん、携帯型金属探知機
ジャケットの内ポケットなども入念に
女性の場合、ハイヒールのピン部分に入っている鉄芯に反応することが多いそう
「この保安検査場を境に、手前が『ダーティーエリア』、奥が『クリーンエリア』と呼ばれています。危険物がクリーンエリアに持ち込まれないようチェックするのが保安検査員の仕事です」
次に、X線検査装置を用いた保安検査を紹介していこう。
危険物は何も入っていない、とは思ってもドキドキするもの
装置の内部はこんな感じ
X線を通過することで、CTスキャンのようにバッグの中身が断面図的に確認できるのだ。
X線検査装置を通過した荷物の画像がモニターに表示される
こんなふうに見えてるんだ!
「これはメガネケースと鍵で、この青いやつは折り畳み傘かな。そして、この細長いのはボールペンで、真ん中らへんの黒いのは財布。左上にあるジッパーがついたのはなんだろう?」
高橋検査員の眼光が鋭く光る。
正解はダーツが入ったダーツケース
中身はこんな感じ。高橋さんはほぼ完璧な推測を見せてくれた
こうやって中に何が入っているかを推測していく。
「色や素材でなんなのかを頭の中でイメージしていくので、想像力はもちろん、クリーンエリアに持ち込んではいけない危険物を常に頭の中に入れておかないといけません。しかも、危険物は常にアップデートされるので、知識もアップデートしていかないといけない。もちろん、何か分からずに通過させるのは絶対にNG。ですので、不確かで怪しいと思ったときは中身を開けさせていただくなど、徹底的に確認します」
安全が確保できるまで徹底的に確認していく
なお、もしクリーンエリアに危険物が持ち込まれてしまった場合は、すでに飛行機に乗っている乗客を含めた全員をいったんダーティーエリアに戻し、再度、保安検査を受けさせる必要があるそう。
「経緯までは分からないんですが、つい昨日も、他社さんで登山用の酸素ボンベが保安検査場を通過してしまったみたいなんです。搭乗前に発覚したんですが、全員をいったんダーティーエリアに戻したので、出発が1時間以上遅れてしまいました。保安検査場は『最後の関門』なので、厳格にやらないといけません」と身が引き締まる思いだったそう。
サッカーで言うところの、ゴールキーパーのような存在。「航空業界の守護神」ともいえるだろう。
経験に基づいて瞬時の判断をくだしていく
ナイフなどはどう見つけるのだろう?
「横になっていれば形状からすぐにナイフと確認できますが、縦になっていたらモニター上では青黒い線にしか見えないんです。なので、あらゆるシーンに対応できるように常に訓練をしています」
バッグの中に入っていると、縦になってしまうことも大いにありえる
拳銃であればすぐにわかるが・・・