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9月27日に開催する2019年の逗子花火大会。開催に向けての苦労とは?

9月27日に開催する2019年の逗子花火大会。開催に向けての苦労とは?

ココがキニナル!

逗子海岸の花火大会は毎年早い時期に行われていますが、今年はまだ開催に踏み切れていないそうです。なんとか費用を集めて来ているようですが、どんな状況なのか気になります。(ハムエッグさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

例年5月末に行われる逗子花火大会だが、今年は9月27日の開催が決定している。ただし、市の補助金だけでは足りないため、主催の逗子市観光協会では現在も資金集めを続けている。

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ライター:福田 優美

逗子花火大会といえば、三浦半島にいち早く夏の訪れを告げる初夏の風物詩。例年は5月末頃の開催だが、2019年は9月末に時期をずらしたようだ。今年の逗子花火大会の現状について投稿があったので、逗子市民である筆者が調査を開始することに。

ご存知の人もいるかもしれないが逗子では昨年も財政難が原因で一時、花火大会の開催が危ぶまれていた。個人的には、微々たる額ながらコンビニのおつりなどを募金箱に入れていたこともあり、開催決定はやはりうれしかった。

はたして今年はどんな経緯で9月開催に決定したのか。昨年の話もふくめて、逗子市観光協会に話を聞きに行くことにした。

 

京急線新逗子駅前にある逗子市役所、おとなりには亀岡八幡宮がある
 

7月末。まだ梅雨明けはしていなかったが、セミが大音量で鳴いている。観光協会は経済観光課の中にあった。

 

正面入り口。猛暑の中歩いてきたのでクーラーがありがたい
 

お話をお伺いしたのは観光協会事務局長の田代朋子(たしろ・ともこ)さんと、逗子市経済観光課の楠元仁(くすもと・ひとし)さん。まずは花火大会開催日の経緯について田代さんが話してくれた。

 

田代さんは逗子Tシャツで、楠元さんはアロハシャツ。どちらもとても海辺の町っぽい
 

「逗子の花火大会は昭和33(1958)年から始まりました。最初のころは7月末に開催していましたが、開催規模が大きくなるにつれて徐々に来場者が増え、2007(平成19)年頃から警備に支障が出はじめたんです」

花火大会は危険が伴うもの。安心して続けるために、人出が多い夏場を避けようという案が浮上したそうだ。

「逗子海岸では、夏のあいだ海の家が立ち並びますし、秋は行事があるし台風も多いんです。それで、海の家が設置される前の5月末頃に開催しようということになりました」

開催時期を検討していた矢先、東日本大震災が起き、2011(平成23)年は花火大会を自粛規制した。震災直後は各地でイベント中止が相次いだことを思い出す。



今年はなぜ9月開催なの?



それにしても、今年はなぜ例年の5月ではなく、9月開催になったのだろうか。

「2019年3月の時点で、花火大会に関する予算のめどが立っていませんでした。それに台船に花火や機材を積みこむための作業車をとめる葉山港の駐車場が工事中だったということもあり、今年は例年の時期での開催を見送りました」

 

葉山港に停泊中の台船(提供写真:逗子観光協会)
 

今年の花火大会をなんとか開催したい、と協賛企業探しや募金活動を行っていたが、5月の時点では資金調達は間に合わなかった。さらに、逗子海岸では6月末から海の家の設営が始まる。7・8月が海開きで、9月中旬頃に海の家の撤収作業が終わる。

「安全に花火大会を実施するには、やはり海の家が終わった後が良いという判断で今年は9月27日に決定しました」

またもや海の家が開催時期に影響していることを思えば、やはり逗子は海の街なのだと実感する。予算に関しては、たしか昨年も足りないという話がでていた記憶がある。

 

安全に実施するには海の家撤収後がベスト(過去記事より)
 

では、実際には開催された昨年の花火大会の開催経緯についても伺うことにする。

「昨年は、市からの補助金が100%カットされたので、一昨年の秋の時点ですでに予算がないことはわかっていました。それで12月から検討会を重ねて、開催手順や資金調達の方法などを話し合い、開催の実現がある程度見えてきた3月初旬に、観光協会と市内の商店さんなどが中心となって実行委員会を立ち上げました」

2018(平成30)年は、初めての実行委員会運営による花火大会。資金調達は苦戦したが、メンバーが奔走したおかげで、なんとか無事開催した。

 

何を質問してもすぐに答えてくれる田代さん
 

「昨年の反省を踏まえて、今年度は昨年11月から花火大会に関する検討会を開いていました。でも、資金のめどがたたず。3月に例年時期の花火大会は見送ることを一旦発表したんです」

開催が決定するまでは観光協会として心苦しい時期だったと、当時を思い出すのか田代さんの顔が苦々しくなる。

発表後市民からは「なぜ中止するのか」「どうしても開催してほしい」「市民サービスを削るなかで花火の楽しみまで奪うのか」という、懇願と抗議のいりまじった電話が殺到した。

ここで、経済観光課の楠元さんにバトンタッチ。

 

経済観光課の楠元さん
 

「申し訳ありません」と何度も口にする楠元さん。あなたのせいではないと言いたかった。

「逗子市は財政不足を公表してから、緊急財政対策として、図書館の開館時間の短縮や、市民プールの利用時間短縮など、さまざまな市民サービスを縮小・休止してきました。そんななかで、一夜のイベントである花火大会の予算確保は調整がつきませんでした」とおそらくこれまで何度も口にしたであろう説明を淀みなく語る楠元さん。取材中「市民の皆様にご迷惑をおかけして申し訳ない」と繰り返されていたのが印象的だった。

余談だが、図書館の開館時間短縮には個人的にかなり打撃を食らっている。同じような市民がたくさんいるのは想像に難くない。そのうえ花火大会まで中止となると、抗議電話の内容にも共感する。

 

楠元さんの腕に花火大会協賛サポーターのリストバンドが並ぶ
 

「花火大会については市民の方々から『財政が苦しい中で一夜限りの花火に予算を割くのか』という声もありました。ただ、花火大会を望む声はそれを上回るくらい多かったのも事実です」

市としては難しい決断を迫られていた。2019年5月末に開かれた市議会臨時会での採決の結果、市から観光協会へ花火大会開催に関する補助金として1300万円の補正予算が可決された。安全対策は市が請け負う必要があると判断し、警備費などに充てることになった。しかし、これだけでは運営費はまかなえず、現在も実行委員会で資金集めを行なっている。
「主催者が来場者や市民の安全を守る安全対策を行うのは当然です」と楠元さん。

 

さらっとかっこいい台詞をはく楠元さん
 

「今年は、昨年よりも収益化を意識しています。設置に時間と人手がかかるパイプ椅子に代わって、今年はブルーシートによる協賛シート席を設けました。昨年に引き続きリストバンド販売による寄付も受け付けています」と開催に向けての取り組みについて話す。

有料席の販売ではなく、寄付のお礼として協賛シートを提供するのは、花火大会が中止になった場合、返金がないことを理解してもらうためだという。今年に限らず、継続的に花火大会開催を目指すための努力が見られる。

 

FJ席では富士山、NW席ではナイトウェーブも同時に楽しめる(提供写真:逗子観光協会)
 

ずばり、今年の目玉を聞いてみた。

「花火とナイトウェーブのコラボレーションです! ナイトウェーブは、秋の海でライトアップされた青い光の波を楽しんでもらうという、ここ数年の定番イベントです。今年は花火大会と開催時期が重なったので、同時開催という初の試みです」

 

ナイトウェーブは波と光のコラボ(提供写真:逗子観光協会)
 

秋の海の良さを知ってもらうために始まったナイトウェーブ(提供写真:逗子観光協会)
 

開催が遅れたことで、おもわぬコラボレーションを見られることになりそうだ。カメラを抱えた人たちが逗子海岸に溢れるのが目に浮かぶ。ところで、9月に開催することになり、現在の市民の反応はいかがなものか。

「市民の方には昨年もたくさん協力していただきましたが、今年はさらに積極的だと感じます。市役所にリストバンドを買いに来られたり、寄付をしたいというお電話をくださったりと、市民の方々が、財政難を実感されているように思います」と田代さんが話してくれた。

 

「今年もたくさんの方がボランティアに名乗っていただいています」と田代さん