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川崎市多摩川の河川敷で行われる「水辺の楽校」っていったい何?

川崎市多摩川の河川敷で行われる「水辺の楽校」っていったい何?

ココがキニナル!

川崎で、小田急線の河川敷付近に「水辺の楽校」なる所があるそうです。何やら釣りをしている人がたくさんいたのですが、どういう所なのかぜひレポートをお願いします。(へこみんさん)

はまれぽ調査結果!

「水辺の楽校」とは官民一体となって子どもたちに川の自然を体験型で教える場。大人も子どもたちと童心に返って自然との共存のあり方を考えさせられる活動だった。

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ライター:小岩美穂

「子どもが川に行ってみたいと言うのだけれど、どうやって遊ばせていいものか分からなくて」取材当日、参加者の女性が話してくれた。近くに住んでいながらも、なかなか自分だけでは子どもを川で遊ばせる勇気が出なかったのだと言う。
都会に住んでいると、自然が身近にあったとしても直接触れる機会というのは想像以上に少ないかもしれない。

そんなお話をお伺いした、今回調査する「水辺の楽校」は、自然とふれあう機会の少ない子どもたちに水辺の魅力を伝える場を提供するのが使命。そして、単に川に関する知識をつけるだけではなく、自然と共存して生きる「感覚」を養える場でもあった。

 
 
 
実際に「水辺の楽校」に参加してみた
 


「水辺の楽校」は1999(平成11)年に国土交通省が文部省や環境省と連携して、子どもたちが川の自然とふれあう体験を推進するプロジェクト。神奈川だけでなく、水辺にゆかりのある全国の自治体で開かれていて、川崎の河川敷では普段3つのエリアに分かれて活動が行われている。「かわさき水辺の楽校」「とどろき水辺の楽校」、そして「だいし水辺の楽校」の3校だ。

活動内容は主に多摩川周辺のエリアで生き物を観察したり、魚釣りをしたりするというもの。参加するには、各水辺の楽校で募集を行っているが、川崎市役所が問合せの窓口としても対応している。実際に「楽校」で教えてくれる先生たちは、地域のボランティアの人たちがその役割を買って出てくれているのだという。ひとまずどんなところなのか、実際に体験しに行ってみた。
 


楽校が開催される多摩川の河川敷

 
取材日に開催されていた「水辺の楽校」は年に数回の3校合同開催日。この日は川崎区の川崎大師にほど近い川縁(かわべり)の干潟に出て、そこに生息している生き物の観察をするという。正直、「干潟」というものにそもそも意識を向けたことがない人も多いのではないだろうか。干潟とは引き潮になったときに現れる砂と泥でできた平らな土地のこと。川に流れる養分を多く含んだ泥なのでさまざまな生物のすみかとなっていて、研究にはもってこいの場所なのだそうだ。

今回の集合場所は京急大師線の東門前駅から歩いて10分弱の大師河原水防センター、通称「干潟館」だ。
 


川崎大師に近い多摩川沿いにある「干潟館」

 
取材日の気温は30度を超える真夏日! すがすがしいピーカン晴れに恵まれた。そんな中、朝の9時30分には、すでに干潟館に参加者が大集結。賑やかな子どもたちの声が響き、なんだか云十年ぶりに味わう遠足気分だ。
参加者は3~4歳から小学校高学年の子どもたちを中心に、川の研究をしているという大学生などもこの日は参加し、およそ150人が一堂に会した。
川に入る装備は帽子に長靴、タオルに水分補給用の水が必須。中には生き物の観察ができるように虫かごやバケツを持ってきている人も。ちなみに、安全確保のためのライフジャケットはその場で貸し出してくれる。
 


虫かごに網、準備バッチリ

 


ライフジャケットは貸してもらえ安心

 
干潟に行く前には危険を避けるために、先生が注意事項を教えてくれる。特に今回は干潟での活動になるため、足が泥にはまってしまったときの対処法を教えてくれた。
 


先生から「泥にはまってしまったら冷静に!焦ってもがくと逆に沈みます」とアドバイス

 


いざ出陣!

 
この日の目玉は干潟に住むカニの観察。これが、パッと見ではなかなか見つけられない。あたり一面泥の平地になり、生き物の気配は全く感じられないのだが、先生たちから見れば「うじゃうじゃいる!」とのことで、先生が小さな岩を持ち上げてくれると、下にへばりついていた直径5cmほどのカニが足早に目の前を横歩きしていった。先生は子どもたちと一緒に探しながら、生息する場所を教えてくれるのだ。
子どもたちはコツをつかむのが早く、次々にカニを泥の中から見つけては、虫かごに収めていく。開始10分ほどで5~6匹捕まえている猛者も見かけた。
 


干潟に降りて・・・

 


みんなでカニを大捜査!

 
筆者も気合の入った装備で来たからには一匹くらいは捕えたいと意気込んでいたが、よく見るとカニってやっぱりクモに似ているな・・・などと考えてしまいまごついてしまった。

しかし子どもたちにも半ば強引に促され、おそるおそる何匹か手に乗せて見てみると、つぶらな瞳やちょこちょこした足の動きがだんだんと愛おしく見えてくるから不思議だ。直接触れてみるというのがこの体験の良さなのかもしれない。
 


離れてついているつぶらな瞳がキュート!

 
中にはすでに何回か通っている子もいた。捕まえ方はお手の物で、「それはクロベンケイだよ」と、丁寧に種類まで教えてくれる。まだ幼稚園生の男の子を連れて、今回初めて参加したというママさんは、嬉しそうにその光景を眺めながら「子どもが川に行きたがっていたので、こういう場があってありがたい」と話してくれた。
 


子どもたちは無心で探索中

 


開始15分でこんなに捕獲