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タクシー運賃が初乗り500円に改定されどう変わった? 新型コロナウイルスで揺れるタクシー業界

タクシー運賃が初乗り500円に改定されどう変わった? 新型コロナウイルスで揺れるタクシー業界

ココがキニナル!

神奈川県内のタクシー初乗りが500円になりました。近距離ならお得ですが、中距離以上はかなりの値上げではと思います。乗客の変化、売上への影響等、運転手さんにインタビューお願いします(スヌタさん)

はまれぽ調査結果!

タクシーの運賃改定が行われたが、新型コロナウイルスの影響が大きくなり、改定に伴う乗客や売上の変化を判断することができない状態。今は業界を挙げてコロナウイルス対策に力を入れている

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ライター:星野 憲由

2020(令和2)年2月1日より、神奈川県のタクシー運賃の改定が行われ、横浜を中心とした一部エリアの料金が変更した。これまで初乗り運賃が2kmまで740円(税込み・以下同)だったのが、1.2kmまでワンコインの500円に変わり、短距離利用の金額が安くなった。しかし加算運賃は288メートルあたり90円だったのが、新たに264メートルあたり100円に引き上げられる。これは、2km乗った場合、いままでは初乗りの740円だったが、改定後は、1.2km(500円)+792メートル(264メートル×3)で1.992km(約2km)は800円になる。以降は加算運賃が値上げになっているので、2km以上は事実上の値上げとなる。

 

「初乗1.2キロ¥500」のステッカーが貼られている
 

この運賃改定をタクシー利用者がどのように感じているのか、まずは取材をすべく2月28日(金)の23時30分に横浜駅西口のタクシー乗り場に出かけてみた。

 

給料日明けの花の金曜日。24時ごろはタクシー待ちの行列はなかった
 

給料日後の最初の金曜夜。さぞかしタクシー待ちの行列ができているだろうなと思っていたら、その行列はなかった。24時30分まで待ったものの5~6人の列ができては消え、できては消えるのを繰り返すばかりで、見慣れた100メートル以上の行列を目にすることができなかった。
これは、どうしたことか。運賃改定で、こんなにもタクシー離れが進んでしまったのか。それとも新型コロナウイルス騒動の影響なのか。驚きを隠せないまま、一般社団法人神奈川県タクシー協会を訪ねた。



神奈川県タクシー協会も想定外の騒動に困惑



取材に応じてくれたのは、神奈川県タクシー協会の石川治(いしかわ・おさむ)広報委員長、大野慶太(おおの・けいた)運賃改定小委員長のおふたり。

 

同協会が入る、中区の神奈川県ハイヤー・タクシー会館
 

左から石川広報委員長、大野運賃改定小委員長
 

まずは今回のタクシー運賃の改定について伺ってみた。
石川さんは、「今回の改定の目的は、ワンコインでの短距離利用という新しい利用方法の提案と長距離の運賃値上げに伴うタクシー会社への利益向上です。特に利益向上をタクシードライバーの給与に反映してもらうことが大きな目的となっています」と話す。
また、大野さんは、「タクシードライバーの人手不足を解消するため、待遇改善をしたいと思っています」という。

では、実際に運賃改定をして、お客さんの反応はどう変わったのだろうか?
石川さんは、「正直に言えば、反応が薄い。運賃改定が浸透していないという印象です」。
一方、大野さんは、「PR用のポケットティッシュを配ったり、専用特設サイトを立ち上げたりしたのですが、今ひとつ、周知が行き届いていないようです」とのこと。

 

「500円からタクる」のPR用ポケットティッシュ
 

前述の現地取材時に、タクシー利用者へ話を伺ったところ、運賃改定を把握している人は少なめだった。むしろ運賃改定の質問をしたことで、なんとなく運賃が高くなった気がするという反応が多いくらいだ。
大野さんは、「今回、全国48運賃ブロックで改定があり、全国的な運賃改定となった割には、神奈川県内のメディアも、あまり大きく取り上げていませんでしたからね」と話す。

運賃ブロックのエリアは神奈川県内でも、京浜地区、相模鎌倉地区、小田原地区と3つの地区があるが、京浜地区と相模鎌倉地区で運賃設定が異なっている。小田原地区にいたっては、今回の運賃改定はされていない。これはどういったことなのだろうか?

石川さんは、「まず、京浜地区と相模鎌倉地区の運賃料金については、従来から運賃の設定が異なっていました。また、小田原地区が運賃改定をしなかったことについては、そもそも運賃を改定するためのルールに理由があります。まず各運賃ブロック(京浜地区、相模鎌倉地区、小田原地区)ごとに、運賃改定を実施したい事業者が行政に対し、運賃の変更要請を行います。その結果、変更要請をした法人タクシー事業者の車両数の合計が、当該地区における車両総数の7割を超えた場合に運賃改定手続きに入ることになっています。このため運賃の変更要請のあった車両合計数が7割に満たない地域では運賃改定にはならないということになります。これは地域で事情が異なるので仕方のないことだと思います」

では、初乗り500円に運賃を改定し、利用者は増えたのだろうか?
石川さんは、「新しいタクシー利用の提案ですので、まだこれからでしょう」とのこと。

続いて、神奈川のタクシー業界の全体的な売り上げについて伺うと、大野さんは、「まだ一部のデータしか届いていませんが、1月上旬と改定後の2月上旬では、利用者数に大きな変化はありませんでした。ただ、長距離利用の場合は値上げになる影響で、売り上げ金額としては少し向上しました」という。

 

タクシーの運賃改定直後、タクシー利用者数に大きな変化は見られなかった
 

しかし、現地を取材した際に、タクシー利用者が減少しているように感じた。運賃改定の影響としては大きすぎると思うが、これはコロナウイルス騒動の影響が大きいのだろうか。
石川さんは、「大きいというより、それが全てでしょうね」という。また、大野さんは、「先ほどのデータで言えば、運賃改定後に大きな変化はありませんでした。横浜のタクシードライバーがコロナウイルスに感染したという報道があっても、あまり大きな変化はありませんでした」と話す。

横浜のタクシードライバーが感染した報道は、東京のタクシー会社に勤務していた横浜在住の男性が感染したという内容だ。少なからず「横浜」「タクシードライバ―」のキーワードが目立ち、横浜のタクシー業界にも影響があるように思えたが、利用者が激減したきっかけは何だったのだろうか。

「政府が不要不急な外出は控えるように指示を出してからです。そこから外出する人や宴会をする人が減り、タクシー利用者が激減したようです」と大野さん。
続けて、石川さんは、「そのため運賃改定で、どのように変わったかのデータ自体が取れていないし、お客様にも運賃改定が浸透しないまま、この騒ぎに飲み込まれてしまったというのが実際のところです」と話す。
さらに、大野さんは、「今回の運賃改定で各タクシー会社に利益を上げてもらい、ドライバーの待遇改善以外にも、ユニバーサルデザイン車両の導入、後席タブレットの他言語対応、ネット予約に伴う相乗り対応など、進めてほしい事案はいろいろあるんですけどね」と、新たな取り組みが進まないことにも懸念を抱いていた。