TOKYO2020!豪華参加者による神奈川県聖火トーチキスセレモニーの模様を徹底紹介!後編
ココがキニナル!
全国聖火リレーの代替として開催された、聖火トーチキスってどんな内容だったの?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
沿道を走るリレーが感染対策で中止となったため、各会場に舞台を設置し、舞台上でトーチからトーチへと火を渡す「トーチキス」という方式に。さまざまな参加者によるその模様を取材!
ライター:山本航
聖火は神奈川県最終地の横浜に到着
聖火トーチキス横浜会場は、海沿いにある芝生エリアに巨大なメインステージが組まれ、そこに向かうようにまっすぐトーチキスが行われた。
周囲はパーテーションやテントで封鎖され、事前申請済みの登録者しか入場出来ず、外からは様子が一切見えなくなっている。
会場には巨大なメインステージが
その手前にある赤レンガ倉庫前の広場には、オリンピック公式記念グッズ売り場や、オリンピック公式スポンサーによるたくさんのブース出展があり、人だかりができていた。
雨模様になっても賑わう各ブース
メイン会場周辺はテントやパーテーションでしっかり囲まれて、一切中が見えなくなっている。密を防ぐために、周りに立ち止まって音を聞いたり、撮影することも禁止。
事前登録された関係者だけが、専用入り口から入場。
緊張感が走る入り口付近
中に入ると、奥に巨大なメインステージが組まれていた。トーチキスはそこからまっすぐにある海に面した芝生で行われた。
プラスチック柵で分断して、家族席が設けられ、参加者が替わるごとにその家族も入れ替わり、拍手を送り晴れ姿を撮っていた。
区間ごとに参加者とご家族が待機
横浜会場は参加者数が多いため、予定されていた8区間を前後半の2部に分け、区間ごとにトーチキスを行う。
スタート地点で第一走者がランタンから聖火を移され、トーチキスが開始。そしてメインステージ向かって横一直線に参加者が並んで、トーチキスが進んでいく。
メインステージの手前でひとつの区間が終了し、区間ごとのアンカーがスタッフの持つランタンに移され、また次の区間へと渡される。
横浜の聖火トーチキス開始 photo by TOKYO 2020
横浜港をバックに爽やかなトーチキスのスタート
本来、第1区間の第一走者予定だった、ももいろクローバーZの神奈川県出身メンバー3人である、佐々木彩夏(ささき・あやか)さん、玉井詩織(たまい・しおり)さん、高城(たかぎ)れにさんらが、ランタンで相模原から運ばれてきた聖火をトーチで受け取った。
続いて、元横浜ベイスターズ監督のアレックス・ラミレスさん、元AKB48の高橋(たかはし)みなみさんへと繋がっていった。
ラミレスさん(左)と高橋みなみさん(右) photo by TOKYO 2020
神奈川県は、有名人著名人の出身が多いので、横浜会場は実に豪華な顔ぶれとなった。一般参加者の方々と楽しくポージングを決めてトーチキスを繋ぎ、まさに全ての垣根を越えた繋がりができていた。
誰もがひとつになって聖火が繋がれた photo by TOKYO 2020
リレーのバトンを模したポージング photo by TOKYO 2020
最高齢参加者は、なんと93歳の五島(ごとう)シズさん。曇天模様がむしろ良かったようで、ガイドにサポートしてもらいながら笑顔で楽しんでいた。
最高齢の五島シズさん(中央)
お笑いタレントの出川哲朗(でがわ・てつろう)さんも、生まれ育った横浜の聖火ランナーに選出されたことを誇りに思い、ご家族が応援に来られていることに対し、「姉が亡き母の写真を持っていてくれた」と感慨にふけっていた。
嬉しさと緊張が入り混じった出川哲郎さん photo by TOKYO 2020
女優の草笛光子(くさぶえ・みつこ)さんは、生まれ育った横浜の思い出や聖火ランナーへの憧れだけでなく、友人であるアカデミー賞女優のジュディ・デンチさんが85歳で現役バリバリなことを例に挙げ、次のように語った。
「海外では高齢者でも力いっぱい活躍しているが、日本では高齢者が仕事を続けるのが難しい現状に対して、自分の姿を見てたくさんの同世代の方々が、何歳になってもチャレンジを忘れず前向きに生き抜いて行くことをお伝えしたい」と。
元気いっぱいの草笛光子さん photo by TOKYO 2020
「=LOVE」(イコール・ラブ)の瀧脇笙古(たきわき・しょうこ)さん photo by TOKYO 2020
崎陽軒、TOHOシネマズ、ENEOSなど有名企業の社長参加が多いのも、横浜の特徴といえる。
以前取材に応じていただいたこともある、横浜出身の谷原章介(たにはら・しょうすけ)さんは、爽やかな笑顔で会場の雰囲気をいっそう明るくした。
笑顔で挨拶する谷原章介さん photo by TOKYO 2020
介助犬も大活躍 photo by TOKYO 2020
元チアリーダーで脊髄損傷の障害を抱える正木楓(まさき・かえで)さんがゆっくりと歩み、バレエダンサーの上野水香(うえの・みずか)さんに聖火が渡された時は、会場に感動が広がった。
正木楓さん(左)と上野水香さん(右)
区間ごとの最後はランタンに移される photo by TOKYO 2020
川崎在住の岡本清治(おかもと・せいじ)さんは、お子さんが聖火リレー募集を知って応募をしてくれたそうで、最高の親孝行をしてもらったと喜びを噛み締めていた。
その岡本さんから聖火を受け取ったのは、根岸公園で人気の車椅子紙芝居を行う、杉田勇(すぎた・いさむ)さん。
岡本さんは闘病中で奥様がサポート
岡本さんから区間アンカーの杉田さんへ
そうして神奈川県在住やゆかりのある方々で繋がれていった聖火は、いよいよアンカーから聖火皿に移されるクライマックスへ。その舞台は、会場メインステージに用意された。
メインステージではグランドフィナーレの準備が着々と進められていく。冷たい雨の中、GENERATIONS from EXILE TRIBE(ジェネレーションズ・フロム・エグザイル・トライブ)の出番を心待ちにしている客席は、熱気を帯び始めた。
貴重なGENERATIONSのリハーサルシーン
EXILEと東北三県、そして聖火ランナーたちとの絆
15時からはメインステージでのイベントの、NTTのスポンサードによる「東京2020オリンピック聖火リレーセレブレーション ~ CONNECTING WITH HOPE ひとりひとりの、希望の光をつなぐ ~」が開催。
雨足が強まり肌寒いなか、横浜市消防音楽隊の演奏と、神奈川県立市ケ尾高校ダンス部による爽やかで元気なパフォーマンスで幕を開けた。
続いて登場したのは、EXILEのÜSA(ウサ)さんとTETSUYA(テツヤ)さん。
復興支援で絆を深めた福島県相馬地方と、熊本県益城町・西原村のキッズダンサーたちと「NTT2020 special Dance」と銘打った「Rising Sun -2020-」のスペシャルバージョンで、息もぴったりな素晴らしいダンスを披露。
東北三県と今も交流を深めている
そしてステージは、聖火リレーのエンディングの準備に。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会・橋本聖子(はしもと・せいこ)会長、神奈川県・黒岩祐治(くろいわ・ゆうじ)知事、横浜市・林文子(はやし・ふみこ)市長(当時)、東京2020聖火リレー公式アンバサダー・田口亜希(たぐち・あき)さんと石原(いしはら)さとみさん、EXILE TETSUYAさん、JOC(日本オリンピック委員会)会長の山下泰裕(やました・やすひろ)氏などが登壇。
石原さんと田口さんは日本中でご挨拶を
奇跡的に雨も上がり、入場者に配布された、5Gで光るタイミングがコントロールされたリストバンドが点灯し始め、最終ランナーのÜSAさんをホタルのようなたくさんの灯りが出迎えた。
光の花道が美しく続く
SAMURIZE from EXILE TRIBE(サムライズ・フロム・エグザイル・トライブ)と名付けられた、この日のためのLEDダンスパフォーマンスチームとÜSAさんがフラッグパフォーマーが作った花道を駆け抜け、メインステージに登壇。
神奈川県最後のトーチキス
聖火が聖火皿に灯されると、会場内の参加者全員のリストバンドが真っ赤に点灯していき、会場が大きな聖火のようになった。
ついに神奈川県の繋がりが結ばれた瞬間
会場がまるで大きな聖火へと変化していく
誰も見たことがない最新鋭のド派手パフォーマンス!
そして、プログラムは再びパフォーマンスステージへと移った。ここで、会場がどよめいた。空中に謎の光る球体が出現!空中を自由自在に浮遊しながら、360度全方向に映像を加工表示できる「浮遊球体ディスプレイ」の登場だ。
SF映画のワンシーンのような光景
書道家の武田双雲(たけだ・そううん)さんによる、力強いライブペインティングが始まり、白い墨汁で「希望」の二文字が書かれた。
躍動感がほとばしる
すると、その模様を撮影した球体が後方のモニターの中に映し出された。なんと、ライブペインティングしている最中の筆の動きに合わせて、流れるビジュアルに加工された。完成した作品だけでなく、書いている最中まで、アートになった。
書道と映像のアートコラボ
次にGENERATIONS from EXILE TRIBE(以下、GENERATIONS)が登場し、一気に会場は熱気を帯びた。
オープニングを飾る「You&I」では、全国の聖火ランナーを応援する沿道の笑顔がスクリーンに映し出され、うるっときた。
会場は興奮のるつぼ
武田双雲さん、田口亜希さん、石原さとみさんが飛び入り参加し、「Choo Choo TRAIN」での体を回転させる振り付けをすると、映像がその場で合成され、なんと全員が一緒にくるくると回っている映像に!
会場だけでなく踊ったご本人たちもびっくり
GENERATIONSのボーカルの片寄涼太(かたよせ・りょうた)さんと数原龍友(かずはら・りゅうと)さんが被写体抽出され、イベント広場に設置されたトレーラーのビジョンの中へテレポーテーション。関口(せきぐち)メンディーさんがダンス中に切り取られて何人も複製されたりと、イリュージョンを見ているようで、会場はそのたびにどよめいた。
メンディーさんが分身!
ラストを飾った「Y.M.C.A.」では、聖火ランナーとステージ上の関口メンディーさんが、客席で一緒に踊っているような加工がされ、まさに会場が一体となって盛り上がった。
今後のイベントに多用されていくであろう、斬新な技術がてんこ盛りで贅沢なライブを楽しめた。
次々と繰り出す新技術とパフォーマンスに熱狂
神奈川県聖火トーチキスセレモニーは無事に大団円を迎え、44道府県目となる千葉県に託された。
そして全都道府県を回った聖火は、7月21日にあの新国立競技場での開会式で全世界が見守るなか、長嶋茂雄さんや王貞治さん、松井秀喜さん、医療従事者の方々、福島県被災地の子どもたちなどが聖火を繋ぎ、テニスプレイヤーの大坂なおみさんの手に渡った。
世界中が固唾を飲んで見守った
しっかりとした足取りで最後の聖火台へと移され、コロナ禍に苦しんできた全世界の人々の心に、明るく力強い希望の炎を灯した。
太陽をイメージした聖火台に点火された
東日本震災による「復興」をテーマに掲げて招致を開始したTOKYO2020だったが、まさかの世界的な未曾有のパンデミックに見舞われ、結果として全世界の復興を願う大会となった。
さまざまな意見が飛び交い、全国各地で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されるなかでの開催となった今回のオリンピック。世界中に感動と未来への希望を与えたTOKYO2020大会は、9月5日のパラリンピック閉会式をもって、無事に幕を閉じた。
武田双雲さんによる「希望」の文字が胸に響く
有楽町駅前でオリンピック気分を味わえる
この原稿を仕上げたのは、有楽町ショーケースの上にある東京都メディアセンターという施設。メディア専用フロアには、海外メディアに日本の文化を紹介するためのブースや企画がたくさん用意されていた。
東北三県の状況を外国メディアに紹介するパネル
イングランド出身スタッフが日本酒のコーナーの解説をしてくれたのだが、全都道府県の酒蔵を暗記していて、県ごとの細かい状況まで網羅していて、驚いた。
個人的に一番興味を覚えて長居した日本酒コーナー
日本人の色に対するわびさびを伝える
デスクで原稿を書いていたら、今から日替わりワークショップで生花が始まるとスタッフさんに誘われた。せっかくなので、生花を人生初体験。
異国の文化に真剣な眼差し
池坊の佐藤明(さとう・あきら)先生に、バランスなどの基本から草花との対話まで、短時間でたくさんのご指導を教わり、生花の奥深さや楽しさを垣間見れた。あれこれと苦戦しながらも、佐藤先生のアドバイスを受けながら、なんとか完成。
佐藤先生、ありがとうございました!
今回の講師である佐藤先生
完成した作品は記念に持ち帰れる
2〜3階はメディア専用だが、一階の有楽町ショーケースは一般解放されていて、オリンピック・パラリンピック開催期間中は、公式グッズショップも出展されている。
この日は和食懐石の紹介として、飾り包丁によるデモンストレーションも行われていた。
春夏秋冬の食材を使った美しさを解説
全都道府県の名産品の紹介と販売もあるので、ぜひ立ち寄ってみて、神奈川県の知られざる名産品や文化を発見してみよう。
ミライトワとソメイティのフラワーアレンジメント
ー終わりー
東京オリンピック
2021年7月23日(金)~8月8日(日) 開催
日本メダル獲得数
金27 銀14 銅17 (過去最多獲得数)
東京パラリンピック
2021年8月24日(火)~9月5日(日) 開催
日本メダル獲得数
金13 銀15 銅27 (過去2番目の獲得数)
- 前へ
- 1
- 次へ