横浜の学校、病院など公共施設の耐震化はどの程度進んでいるの?
ココがキニナル!
4年以内に70%の確率でM7級の首都直下型地震が来ると言われていますが、横浜の学校、病院など公共施設の耐震化はどの程度進んでいるのでしょうか。(ときさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
平成19年3月に施行された横浜市耐震改修促進計画に基づき、耐震化が進められています。平成23年3月末時点で公共建築物の耐震化率は約95%。
ライター:吉川 ゆこ
横浜市の耐震化対策はすでに始まっている
昨年の震災をきっかけに、自分の暮らす町の地盤や普段使っている施設等の耐震化が気になっている人は多いだろう。横浜市は海が近い。マグニチュード7クラスと想定される横浜市直下型地震や、マグニチュード8クラスと想定される東海地震が起こったら、いったいどうなってしまうのだろう…不安が募る。
そこで横浜市内の公共施設の耐震化がどこまで進んでいるのか聞いてみることにした。取材を受けてくださったのは横浜市建築局の建築企画課だ。
横浜市役所から歩いて5分。相生町のJNビルに建築局の一部が入る
震災の影響でにわかに耐震化が注目されるようになり問合せの電話も多いという。横浜市の耐震への対策はすでに始まっている。現在は、平成19年3月に「横浜市耐震改修促進計画」を策定し、順に改修工事が進められているのだ。
この計画の概要などは横浜市のサイトからダウンロードできるので詳しく知りたい人は、こちらも参照に。
▶ 横浜市耐震改修促進計画
取材にご協力いただいた小林さん(左)と小倉さん(右)
平成7年1月17日に起きた阪神淡路大震災を受けて、平成7年12月25日に耐震改修促進法が施行された。地震による被害から国民を守るために建築物の耐震改修の促進を目的にした法律で、平成18年1月に一部改定になり、耐震改修促進計画の策定が課せられた。
そこで横浜市でも耐震改修促進計画を策定し、横浜市にある市・区役所、病院、小中学校、ホールなどの3,433棟(平成23年3月現在)ある公共建築物の耐震強化に取り組んでいる。
昭和56年5月31日以前・以降で基準が違う
ここで建物の強度が足りないと聞くと、一時期話題にもなった建築業者の手抜きや欠陥住宅なのでは?とつい思ってしまう人もいるかもしれない。しかし必ずしもそうとはいえない。
実は昭和56年に耐震基準の見直しがあり、それまでは良しとされていた強度では通用しなくなったのだ。基準が上がったことで、木造建築だけでなくコンクリート建築であっても新基準に満たない建物が出てくることになった。
「ですから横浜市耐震改修促進計画でいう耐震診断は、新基準に変わった昭和56年5月31日以前の建物が対象です。新基準実施以降に建てられた建物はすべて耐震基準を満たしていなければ建たないですから」と小倉さん。
昭和56年5月31日以前の建物で耐震改修促進法の認定をとって改修工事を済ませた建物には「耐震改修済証表示板」を交付する制度がある
横浜市所有の公共建築物は、昭和56年5月31日以前の建物を対象に耐震診断を進め、優先順位の高いものから改修作業を行っている。平成27年度には耐震対策が終了する予定だ。しかし、この耐震改修促進計画は平成23年5月に一部改定がされている。これは震災を反映してのこと?
「震災があったことを受けて改定したものではありません。耐震改修促進計画では平成18年から平成27年度までの10年間を計画期間としています。平成22年度までの進捗状況をまとめ再検討し、計画内容の見直しが必要な箇所を改定しています。その見直し部分の改定を平成23年5月に発表したのであって、震災が大きな理由ではありません。なお、耐震改修促進計画で公開しているとおり、公共施設の耐震化率は95%と非常に高くなっています」(小林さん)
(図1)は平成23年12月に総務省が発表した「防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況調査」からの抜粋だ。(図2)は平成23年度に文部科学省が発表した「公立学校施設の耐震改修状況調査の結果」だ。お隣東京都と比較してみる。
(図1)
全国平均 | 東京都 | 神奈川県 | |
耐震化率 (平成22年度末) | 75.7% | 91.7% (全国1位) | 90.6% (全国2位) |
(図2)
全国平均 | 東京都 | 神奈川県 | |
耐震化率 (平成23年4月1日時点) | 80.3% | 94.1% (全国5位) | 97.7% (全国2位) |
公共施設の耐震化率はかなり高いが、災害時に重要な拠点となる公共施設に関して横浜市は耐震化率100%を目指しているという。