治安の悪さは首都圏イチ!? 川崎競馬場周辺の夜を体験!
ココがキニナル!
ネットで見たんですが、某雑誌?で川崎競馬場周辺が治安のヤバい街ナンバー1に選ばれていました。昼間行ってそう感じたことがないので、夜がヤバいのかな?一晩体験してきてください!(ところてん太郎さん)
はまれぽ調査結果!
終電から始発までの間を一晩過ごしてみたが、リアクションは職務質問1度のみだった。たった一晩ではあるが、ヤバい街ではあると感じた
ライター:はまれぽ編集部
川崎競馬場周辺の治安がヤバいらしい。しかも首都圏でワーストワンのヤバさらしい。それはすごい、ヤバい。
筆者は川崎育ち20年、ブレーメンの動物たちはだいたい友だち、オシャレデビューは川崎ルフロンの古着屋さんからという川崎ボーイ。川崎競馬場そばには大型ホームセンターやカー用品専門店があり、度々利用している。
友だちです
長年川崎に住んでいる筆者個人としては、JR川崎駅や京急川崎駅周辺を治安が良いとは言いきれない。しかし、今回投稿にあった「川崎競馬場周辺」がそこまでヤバいという実感がなかった。はたしてどうヤバいのだろう?
ワーストワンの理由とは
神奈川県警の「犯罪統計資料平成28年1月~4月累月暫定値」によると、川崎区の犯罪総数は県内トップ。窃盗犯が最も多く、次に粗暴犯が続く。「犯罪数=治安の悪さ」と見れば確かに治安は悪い。しかし、警視庁の「東京都の自治体別刑法犯発生状況」と比較すると歌舞伎町などを有する新宿区の方が犯罪数は多い。
犯罪数=治安の悪さなのか?(画像はフリー素材より)
どのような観点から首都圏内でワーストワンを選出したのか、該当記事が掲載されている雑誌編集部に連絡を取ってみたが、「情報提供者保護の観点から、ソースの詳細や順位付けの理由についてはお答えできない」と丁重なお断りをいただいた。
詳細が分からないのならば、キニナルでいただいた通り、一晩、川崎競馬場周辺で過ごし、そのヤバさを体験してみるしかない。
・・・しかし、体験するには心の準備が必要だ。まずは日があるうちの川崎競馬場に向かい、周辺を調査しつつ住民に話を聞いてみた。
川崎競馬場周辺ってどういうところ? 地元の人はどう思う?
川崎競馬場第2入場門
周辺には京急川崎駅、京急大師線港町駅、川崎競輪場、堀之内がある(Googlemapより) ※クリックして拡大
川崎競馬場は川崎区富士見一丁目に位置する地方競馬場だ。ナイトレースも開催されているが、居酒屋さんは川崎駅近くに密集しているためすぐに人が流れるそうで、喧騒は長く続かないという。また第一京浜を挟んだすぐ隣には東京・吉原に次ぐ規模のソープ街、堀之内がある。
午後4時過ぎ、巡回バスから降りてくる人が増えてきた
この日は5月13日(金)、最終レース発走は午後8時50分
川崎競馬場の周囲にはマーケットスクエア川崎イーストなどのショッピングセンター、大型マンションや建築途中のアパート、日立やNECの大きなビルも立ち並ぶ。
競馬場の真裏、完成目前のアパート
整然としたマンション地区
ぐるりと川崎競馬場を歩いてみる。一見整然としているようにも思えたが、競馬場前や大通りの脇にホームレスが非常に多くいて、一周で12人と出会った。そのすぐそばには綺麗なマンションや公園で遊ぶ子どもたち。清濁併せ呑む、といった趣を感じる。それでは、周辺住民の声を拾ってみよう。
「慣れかもしれないけど、そんなに治安が悪いと思ったことはないよ。保育園もすぐそばにあるし、駅も近いし」と、45年以上川崎競馬場近隣にお住まいの男性。
その“すぐそば”の保育園にお子さんを通わせている20代の女性3人は「この辺りはそうでもないですよ。駅前なら確かに治安が悪いと思いますけど・・・」「本当に治安ワーストワンなら子育てする前に引っ越してるって!」「多摩川まで行けば若い子がたむろってるんじゃない? ゴミが多いのは気になるけど、何かあるってわけじゃないし」と話す。
ゴミは確かに多く、競馬場周囲にはこのように放置されていた
不法投棄に対し「廃死願います」の一文。強い憤りを感じる
岩手県から2年前に引っ越してきた宮田さんは「都会はこんなものだと思ってました。あそこ(堀之内)は避けて通りますね。でも地元の人は自転車か車に乗っている人が多いから気にしないんじゃないですか」とのこと。
周辺にお住いの30名ほどに話を聞いてみたが、皆さん「そんなに治安が悪いと思わない」と口をそろえて言っていた。
「近くに住んでても競馬は興味ないです」と宮田さん
近隣に位置する堀之内に対しても「行かないから気にならない」「通ったことがないから知らない」という意見が多く、「治安が悪いって、川崎駅周辺じゃなくて?」と逆に尋ねられることも多々あった。これは「周辺」の定義が大変だ。
京急川崎駅と川崎競馬場は直線距離で約600メートル。そこで今回はその半分にあたる約300メートル以内を“川崎競馬場周辺”とする。
水色の範囲内を基本として巡ります(画像はGooglemapより) ※クリックして拡大
また、その範囲に入る関東屈指のソープ街・堀之内と、地元の方から「治安が悪いのでは?」と声が挙がった、オウム真理教事件実行犯であり特別指名手配被疑者だった高橋克也(たかはし・かつや)被告(現在、控訴中)が勤めていた会社があった川崎区大島付近と京急港町側の多摩川を、防犯ブザーを携帯して徒歩で巡る。
そして京急川崎駅の平日上りが午後11時56分、下りが午前0時36分で、土曜始発の上りが同4時52分、下りが同5時2分。上りの終電から始発までの間を一晩として「ヤバいらしい川崎競馬場周辺」の夜をスタートする。
スタートは堀之内へ
まずは京急川崎駅から堀之内に向かう。
駅前案内板にサイン。幸先が悪い気がする
中央改札を出て左手へ
2016(平成28)年4月にオープンした「ウィング川崎」の横道を進むと人通りが急に減り
ラブホテルが見えてくる
京急川崎駅から川崎競馬場へ向かうルートはいくつかあり、もちろん堀之内を通らず抜けることもできる。
堀之内は川崎市役所北口のすぐそば
堀之内中心地に向かう途中にもパブやスナックがあり、道自体はまだ明るいが・・・
堀之内中心地は眠りについている
風営法によりソープランドは営業時間を制限されているため、午前0時を回ると各店シャッターを下ろし、煌々としていた看板のライトが消される。営業時間を過ぎれば店前の客引きもいなくなり、終電以降に帰宅する地元の方は別ルートを使うため、堀之内は無人の街へと変わる。
終電前の堀之内は明るい
深夜との比較として午後10時から11時までの堀之内も探索したところ、中心地を真っすぐ歩くだけで6回ほど客引きに声を掛けられたが、断りながら進むためかセリフが「写真だけでも見ていきませんか」から「きょうはご完了ですか」と変化し、6回以降は会釈のみで見送られるようになった。
静まり返った堀之内
しばらく歩いては立ち止まってはみるが、まず人通りがない。はたから見ると筆者が不審者な状況だ。
閉店作業中のスタッフの方に話を聞いてみると「もともと警察の監視がきつい地域だし、駅前と比べたら治安は良いと思いますよ。客引き自体、最近は些細なことですぐに問題になるから強引なことは絶対にしませんね。興味ない人はすぐに分かりますし・・・お兄さんも見るからに興味ないから、あまり声掛けられなかったでしょ。探偵かなにか?」とのこと。
なるほど探偵か、ちょっと格好良いなと思いつつ堀之内を後にした。
堀之内中心地で常に明るい川崎警察署稲毛通連絡所