「ワシン坂」、「ガス山」、「イスパニア通り」の由来って何?
ココがキニナル!
中区には「ワシン坂」、「ガス山」、「イスパニア通り」などがあります。これらの由来が気になります。(enさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「ワシン坂」は湧水があるからという説が有力!「ガス山」はガスタンク、「イスパニア通り」は周辺建物がスペイン風であったことが由来です!
ライター:荒木 努
以前、本牧の「ハロー坂」の由来について調査したが、今回は中区の「ワシン坂」、「ガス山」、「イスパニア通り」の由来についての調査だ。
いずれもカタカナ地名……、「ガス山」、「イスパニア通り」(“イスパニア”はスペイン語で“スペイン”のこと)はなんとなく意味がわかるが、「ワシン坂」は、字面だけではまったく意味が不明だ。なんとなく手強そうな予感も抱きつつ、いざ調査開始!
とりあえず、横浜市道路局へGO!
まずは、由来がわかりそうなところということで、横浜市道路局施設課の山崎さんにお話を伺ってきた。
横浜市道路局施設課の山崎さん
まず、3カ所の地名の由来については、道路局が保有する「愛称道路」という資料から意外とあっさり判明。この「愛称道路」とは、市民に親しまれ、分かりやすい道路にするため、昭和51年からはじまった道路に愛称をつけるという事業のこと。
その「愛称道路」の資料によると、それぞれの地名の由来は以下のとおりとなる。
■ワシン坂 (山手町~小湊町一丁目/延長250m)
道路の種類:市道
由来:ワシンの語源に諸説があり、和親条約のワシンからきたとするもの、鷲見坂がなまってワシン坂とするもの、ワシン(ウシン)という外人がこの付近に居住していたからだとするもの、又坂下に清水が湧き出るところから「ワキシミズザカ」が外国人達に口によって「ワシン」坂となったとするものなど、いずれにしろ慶応2年に山手居留地に指定されているのでこの頃からの呼称と考えられている。
■ ガス山通り (本郷町三丁目~本郷町三丁目/延長800m)
道路の種類:市道
由来:本郷町3-308(現在東京ガス本牧社宅)に戦前から東京ガスの丸いタンクがあり、そこから地元の人々はガス山通りと呼ぶようになった。なお、このタンクは、10数年前取りこわされている。
■イスパニア通り (本牧原~本牧原/延長810m)
道路の種類:市道
由来:新本牧ショッピング街の建物がスパニッシュコロニアル調であるので。
なるほど、どれもみな納得の由来だ。ちなみに、山崎さんによると、これらの由来は、当時相当の労力をかけて調査したもので、これ以上調べてもなにもでてこないだろう、とのこと。
ということで、通りの由来は簡単に判明したが、とりあえずどんな通りなのか実際に現地に行ってみることにした。
地図で調べたところ、「ワシン坂」、「ガス山」、「イスパニア通り」は比較的近いようなので、JRの山手駅から徒歩でガス山、ワシン坂、イスパニア通りの順で巡ってみることにする。
横浜市中区 「ワシン坂」、「ガス山通り」、「イスパニア通り」付近の地図
ガス山通りのガスタンクは今……
山手駅から歩いて15分程度、本牧通りから一本入ったところに「ガス山通り」はひっそりと佇んでいた。
ガス山通り開始点
緩い上り坂が住宅地へと続いている。車の通りもあまりない。
数十メートル上ったところに「満天星舎」という陶芸教室を発見したので、「ガス山」について尋ねてみた。
陶芸室「満天星舎」のご主人と愛犬
ご主人のお話によると、確かに昭和30年後半まで、このすぐ先に東京ガスのガスタンクが一基あったそうだ。
大きさは巨大で、色は淡い緑色だったとのこと。
そして、「満天星舎」からしばらく上がった本郷三丁目のバス停前にガスタンクの跡地と思われる場所を発見!
通りがかりの人に確認もしたが、間違いなくここがガスタンクのあった場所。
当時ガスタンクがあった場所
ガスタンクが昭和30年後半くらいに取り壊れた後は、東京ガスの社宅となっていたとのこと。
その後、社宅も取り壊され、現在は公園を作っているところだと言う。
公園整備の看板
「ガス山通り」中間にある標識