「ワシン坂」、「ガス山」、「イスパニア通り」の由来って何?
ココがキニナル!
中区には「ワシン坂」、「ガス山」、「イスパニア通り」などがあります。これらの由来が気になります。(enさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「ワシン坂」は湧水があるからという説が有力!「ガス山」はガスタンク、「イスパニア通り」は周辺建物がスペイン風であったことが由来です!
ライター:荒木 努
ワシン坂の真実発見!?
ガス山通りを引き返し本牧通りに戻って10分ほど歩くと、諸説があり由来を特定できないというワシン坂に到着。
坂の登り口には由来の一説にも挙げられている「湧水」がある。
ワシン坂にある「湧水」
湧水の看板。利用の際の注意事項が書かれていた
看板の説明によると、現在は水質が安定しないため、残念ながら飲用不可とのこと。
しかし、水場は奇麗で、今でも地元の人が大切に使用していることが窺われた。
湧水から見たワシン坂(左が湧水)
緩い坂を登り、カーブを曲がったところで標識発見。
ワシン坂の標識
標識付近からの眺め
標識の場所から海側の景色を眺めてみた。
正面のマンション群が目障りだが、視界は大きく開けている。昔は海まで見渡せたと思われるこの風景に「鷲」は、なんともシックリとくるじゃないか?自分の中で「鷲見坂説」が説得力を持ち始めた。
しかし、地元住人はどの説を信じているのだろう?
湧水の近くに住む男性に尋ねてみたところ、「鷲見坂説」が正しいのではないかと。また、この辺の住人は、みんな「鷲見坂説」を信じているだろうともおっしゃる。
やはり、鷲見坂説最有力!
少し先にあった松村カメラサービスのご主人の意見も伺ってみた。すると、アレ!?「日米和親条約説」だとおっしゃる。ご主人の話しでは、地元でも、みんなそれぞれ違う意見を持っているという。
松村カメラサービスのレトロな外観
わずか数十メートルしか離れていない住人同士でも、意見が分かれている……なるほど、やはりワシン坂の由来を特定するのは難しいのだろう、納得。
後日、横浜地名研究会の松澤会長に問い合わせてみたところ、横浜の坂や地名を調べられていた小寺 篤氏の『「ワシン坂」考』という資料を見せて頂けた。
「ワシン坂」考が記されている冊子、『地名と風土』
資料によると、
① 「日米和親条約説」→古くから使用されていた坂であるためわざわざ和親条約によって変える理由が見出せない。
② 「鷲見坂説」→「鷲見」と書かれた例が無いためこじつけの可能性が高い。
③ 「ワシンさんが住んでいたという説」→ワシンにあたる人物が住んでいたという事実がない。
④ 「湧水説」→ワシン坂周辺にも当時外国人住宅が20戸余り集中し、根拠としては確実性が強い。
ということで、湧水説が最も有力なのではないかということだった。
「イスパニア通り」でイスパニアを探せ!
ワシン坂をあとにして、小港2丁目の交差点から10分程歩くと、イスパニア通りに到着。
標識を発見
イスパニア通り
ん!?
「新本牧ショッピング街の建物がスパニッシュコロニアル調であるので」という由来がまったく嘘のような風景。
通り沿いにはマンションが建ち並んでいるだけで、「イスパニア」的な雰囲気はまったくない。
なにもないぞ!イスパニア通り!
先に進んでみると、本牧通りとの交差点に着いた。
かつての「マイカル本牧」(現在はイオン本牧)、いわゆるここが由来にもある「新本牧ショッピング街」の中心部分のはず。しかし、ここにもイスパニアはない、というか、なんだかとても廃れた雰囲気だ。
本牧通りとイスパニア通りの交差点。左上の1と書かれた建物が一番街
ここはかつての米軍住宅区域で、1982年の返還後に再開発が行われた土地。マイカル(当時はニチイ)がデベロッパーとして選ばれ再開発をおこない、バブル期にあたる1989年9月に開業した。当時はそれなりに「スパニッシュコロニアル」な雰囲気もあったのかもしれないが、今はその面影はまったくない。
なにか少しでもイスパニア的なものは残っていないのか探してみたところ、1番街の2階にイスパニア的な広場を発見。
イスパニア的な噴水のある広場
アンダルシア地方でみかけるようなライオンの噴水
……イスパニア通りの由来を少しだけ実感。
大航海時代に栄華を極め、その後衰退の道を辿ったスペイン帝国。「イスパニア通り」は、名付けられたときから、衰退する運命だったのかもしれない……。
まとめ
今回、「ワシン坂」、「ガス山」、「イスパニア通り」の名前の由来を調査し、現地にも実際に出向いて、それぞれの由来を実感することができた。どれもありふれた生活道路だったが、地名の由来を知って歩くことで、その通りはありふれたものではなくなるのだ、と感じた。
また、地名や通り名に関するキニナルがあれば、はまれぽまでどうぞ!
― 終わり ―
viva平塚さん
2016年02月27日 22時40分
山崎さんの背後にいる人が暇そうで気になる。
mimichanさん
2015年03月04日 06時58分
「わきしみずざか」が「ワシン」になるなんて音韻的にも無理。こじつけにしか過ぎない。それより、現在の横浜地名研究会の会長の櫻井澄夫説の「washing」から来たというほうが検討に値する。山手の居留地の住民が洗濯や馬を洗うのに使ったことからこう名付けられたという説だ。馬洗い場は、日本でも中国でも地名化する。またこの場所のすぐ近くに屠殺場が作られことなども重視すべきだろう。屠殺にも水は必要だ。washingのアクセントは、「a」にある。ウォッシング(ワッシング)でなはく、日本人には「ワシン」と聞こえたことだろう。Americanがメリケンになると同じようなこと。
HIDE862さん
2015年02月08日 22時21分
ワシン坂の話ですが、大変為になりました。私は途中の病院の名前からワシン坂というのかと思っておりました。