以前に、徒歩圏内で電車の駅がもっとも密集している場所はどこ？というキニナル投稿があり横浜駅、新高島駅、高島町駅、戸部駅、平沼橋駅の5駅が利用可能な西区平沼１丁目付近という調査結果が出た。

今回のテーマはその逆。

取材を始める前に、まず「陸の孤島」の定義を決めておこうと思う。

最寄りの駅からはとても歩けず、自転車で駅に行くのもキツい場所ってところだろうか。
駅から徒歩30分以上、自転車でも15分以上かかるだろう距離というところで、今回は駅から3ｋｍ以上という線引きをしてみた。

つまり周辺にあるどの駅からも半径３ｋｍ圏外にある町であること。ただし、貨物専用駅は含めない。以上を定義に横浜市各区の地図にコンパスで駅から３km圏の円を書きこんでみる。
　

各駅から3ｋｍ圏の円を書き込んでみる

その方法で洗い出してみたところ、旭区川井本町、戸塚区俣野町、栄区野七里、中区本牧ふ頭（D突堤付近）の4ヵ所が条件にあてはまる町として浮上した。

本牧ふ頭は人が通常、生活をする場所ではないので、本牧をのぞく「川井本町」、「俣野町」、「野七里」の3ヵ所に直接赴き、その孤島っぷりを目の当たりにしたいと思う。

旭区川井本町

まず最初に向かったのは旭区川井本町。
相鉄線三ツ境駅から若葉台中央行きの神奈中バスに乗り、東根というバス亭で下車した。所要時間は約10分。
　

三ツ境を出る神奈中バス


パチンコ屋とラーメン屋が多いが人気は少ない

ようやく見つけた通行人に声をかけると「川井本町はバスでもっと先までいかなくっちゃ」と言われてしまった。またバスに乗車し10分ぐらい行ったバス停「福泉寺前」付近の集落である川井本町に到着。
　

やはり、人通りが少ない

コンビニから出てきた若い男性二人組に声をかけてみたところ、「どの町に行くにも家から30分以上はみなくてはいけない」、「町のどこかに駅を作ってほしい」、「夜10時10分に終バスが来るから、飲みに行くといつも先に帰らなくてはならない」と不満たらたら。

飲みに行っても自分だけ先に帰らなければいけないとはお気の毒。不満が出るのもわかる気がする。一方で、静かで自然が残っていて居心地の良い町と地元へのエールもしっかり送っていた。
　

インタビューに応えてくれたAKさん（右）とお友達の方

帰りは福泉寺前のバス停から鶴ヶ峰行きのバスが出ていたので乗車。所要時間は15分といったところだった。昼間は約10分に1便とそこそこバス便も多いものの、終バスの時間が早く、深夜バス便もないことが地元の方に「陸の孤島」という印象を植え付けてしまっているようだった。

戸塚区俣野町

続いて向かったのは戸塚区俣野町。

大船駅西口から神奈中バスの立場ターミナル行きに乗車し、横浜医療センターで下車。ここまでの所要時間は約20分といったところ。番地表示を確認してみると、そこには「戸塚区原宿」の文字。まだ先だったか…。
　

立場ターミナル行きの神奈中バス

住民の方々に現地の方向を訪ねながら20分ほど歩くと、ようやく俣野町に到着。そこは何と横浜ドリームランドの跡地だった。本来の最寄りバス停は俣野公園・横浜薬大前である。バスで直接来るには大船駅西口から約25分といったところ。

もう既に夕方。誰かインタビューに応えてくれそうな人は…と探しているうちにあっという間に日が暮れてしまった。そこで半分やぶれかぶれで、近くにあったコンビニに飛び込み、店員さんに話を聞いてみた。

道路の人通りは少なかったが、コンビニの中はそこそこお客さんがいる。
お忙しいところ店長さん以下スタッフの方々が交代で色々答えてくれた。
　

お忙しい中、質問に答えて頂いた

「戸塚駅の方から働きに来ています。交通の便ですか？そうですねぇ…。昼間はバスの本数が多いんですが、終わるのが早いですね。特に駅まで行くバスが…。」

「店の前にある中央分離帯だけど、開業してあっという間に廃線になったモノレールの残骸なんです。あれがあるせいで、反対側の車線からお客さんが来れないんだよね。撤去してほしいなぁ」。
　

写真中央のスペースは「ドリームランド線」の駅だった場所

一瞬の栄華を誇りながらも、あっという間に廃れた「横浜ドリームランド」。はまれぽでも以前取り上げたこともあるが、今もこの町に住む人々の生活に何かしらの影響をもたらしているようだった。

帰りは俣野公園・横浜薬大前のバス停から大船駅西口行きに乗ろうとしたが、なかなかバスがやってこない。すると戸塚バスセンター行きのバスがやってきたので乗車。途中、渋滞もあり戸塚駅前までの所要時間は約30分だった。