マニアックな城郭のジオラマを制作する綱島の「お城ジオラマ復元堂」とは?
ココがキニナル!
パートナー産業株式会社がやってる「お城ジオラマ復元堂」がキニナル。これまで長篠城、高天神城のジオラマ模型を制作していて、第三弾も企画しているとか!調査を!(信(しん)さん)
はまれぽ調査結果!
お城ジオラマ復元堂のジオラマは「地形」と「歴史」にこだわった作品。長篠城、高天神城に続き上田城と竹田城の発売を企画中
ライター:人見 静馬
筆者は、幼いころより妙にミニチュア模型が好きな少年であった。少年向け少女向けを問わず、小さな家や小さな食品などを見ると心が踊ったものである。
残念ながら不器用だったので制作の道に足を踏み入れるまでには至らなかったが、今でもミニチュアを見かけるとついつい足を止めてしまう。それがカッコイイお城となればなおさらである。これは取材しなければなるまい。
日吉と綱島
「お城ジオラマ復元堂」は、東急東横線沿線、日吉駅と綱島駅の丁度中間らあたりにあるとのこと。駅からのアクセスはあまり良くない。人目につく所にドーンと飾られたジオラマを想像していたので、ちょっと意外。
ともあれ、早速現地へと向かう。
歩きだと厳しいので、綱島駅からバス。「南綱島住宅」で下車
周囲は住宅街といった様子
住所を間違っているのでは、としばしウロウロ。ジオラマを飾っている様子はない。いや、軒先にジオラマを飾っているというのは勝手なイメージなのだが。
その内に、当該住所に建つ建物を発見。
周りには町工場らしき会社が居並ぶ。ジオラマは飾られていない
バス停から3分ほどで到着。看板にはパートナー産業(株)との文字
うーん、謎である。しかし、お城ジオラマ復元堂との屋号もキチンとある。間違いではないらしいが・・・。考えていても仕方ないので取り敢えず門を叩く。
取材の場となるらしい2階へと続く階段にはホビーショーのポスターが
ほかにもさまざまな各種展示会のポスターが張られている。かなり精力的に出品している様子である。
これは地形の模型だろうか? 建物らしき物も点在しているが
城郭復元マイスターとは何ぞ
担当者がまだ来ていないとのことでしばらく待つ。その間落ち着きのない筆者はフラフラと散策していたのだが、そこかしこにさまざまな資料が見受けられた。
これがそのジオラマ? 「駿府城(徳川家康が築城)」だから違うか?
本屋の歴史コーナー風
真田幸村を調べているのだろうか?
そこに、お待たせしました――の声。担当者の登場である。
戦国武将で言えば、猛将よりは知将タイプの雰囲気
それが、パートナー産業株式会社の社長であり「城郭復元マイスター」の二宮博志(にのみや・ひろし)氏であった。背筋を伸ばした姿勢で歩くその姿を見て一瞬緊張したが、挨拶を交わしてその物腰の柔らかさに安心する。硬軟併せ持った雰囲気である。
そんな二宮氏に、筆者は早速疑問をぶつけた。
ひとつキニナっていたことがあったのだ。
お城の資料に紛れてフロアに置かれた謎の部品は一体何なのか。まさか、お城の復元に必要な部品というわけではあるまい。
戦国時代の城にギアは使われてないだろう・・・と思う
フェルト式クラッチは確実にないだろう! フェルト式クラッチが何かは知らんが
その質問に対する返答はこうであった。
「給紙機構のギアですね」(?)「プリンターの部品です」(?)プリンター? 城に何の関係が?
二宮氏の説明によれば、パートナー産業株式会社は、主にOA機器のギアを制作する従業員数22名の会社なのだという。カセットテープの部品、ビデオテープの部品、そしてOA機器の部品と、1975(昭和50)年の設立以来、世の進歩に合わせてその業務を少しずつ変えてはきたものの、基本的にはギアの制作が主だということである。
そしてお城ジオラマ復元堂とは、そのパートナー産業株式会社が行っているプロジェクトのひとつということらしい。
なるほど・・・。しかし、なぜOA機器の部品を作っている会社が、お城のジオラマ制作に乗り出したのだろうか。
取材の裏では通常業務が行われていた
これがパートナー産業株式会社の主力商品である
そこには並々ならぬ決意と決断があった。一瞬でも、道楽なのか――と思った筆者は、もうこの濁った目で二宮氏の真っ直ぐな目を見られない。