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横浜の秘境、田谷の洞窟近くの趣ある日本料理店「九つ井」のこだわりを教えて!

ココがキニナル!

栄区、田谷の洞窟近くにある「九つ井」。素敵なロケーションと美味しいお蕎麦で大好きなお店です。器も焼いてるようですし、あのこだわりをもっと深く知りたいです(katsuya30jpさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

食と文化を結び付け本物の空間を楽しんでもらいたいという社長のこだわりが生んだ九つ井は、手作りのぬくもりと遊び心があふれていた

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ライター:ほしば あずみ

こだわりの多い料理店?



田谷の洞窟」の近くにあるという「九つ井(ここのついど)」(横浜市栄区田谷)。蕎麦をはじめとした日本料理の店でありながら、自家窯のある工房を持ち、陶芸教室や吹きガラス体験を開催している。「山の上ギャラリー」という名の古民家を移築したギャラリーもある。さらに茶室もあるらしい。・・・ただの飲食店ではない?
 


本店、工房、茶室、ギャラリーはそれぞれ車で数分の距離(提供:九つ井)
 

茅葺門(かやもん)が非日常へと誘う本店入口
 

このランプシェードも、店の工房で作られたオリジナルらしい
 

足元の瓦やタイルも、一枚一枚すべて、店の工房オリジナルらしい
 

隠れ家に向かうような竹林のアプローチの先に・・・
 

「九つ井」本店が姿を現した

 
「九つ井のこだわりというのは、社長のこだわりなんです」と教えてくれたのは、山の上ギャラリーを担当する泉川さんと、創業当時からの九つ井を知る森田専務。
ちなみに九つ井という店名は、かつてのこの付近の地名に由来するのだそう。この辺りは湧水の多い地で、近くにあった小田原北条氏の拠点、玉縄城(たまなわじょう/現在の鎌倉市城廻にある清泉女学院中学高等学校付近)の飲料水として使われ、九つ井と呼ばれていたという。
 


今でも厨房に立つこともある森田専務

 
「九つ井は1968(昭和43)年に、離れ造りの8棟の個室で囲炉裏焼きのコース料理を供する店として始まりました。当初は夜だけの営業だったのですが、2、3年後にもっと気軽にご利用いただけるようにテーブル席で蕎麦などを出すランチ営業もはじめました。離れとテーブル席、という今の本店の形はこの時からです」
 


一枚板を切り出したテーブルが並ぶ店内。ゆったりとした店内の随所にこだわりが光る
 

打ちたて、茹でたてにこだわる蕎麦は日に3度、客の目の前で手打ちされる
 

蕎麦は800円より。一番人気は天ざるそばで、かき揚げと車海老の2種類がある
 

かき揚げの天ざるそば(1900円)。器はすべて自家製

 
森田専務自ら揚げてくださった、握りこぶし大のかき揚げは、エビの旨味や玉ねぎの甘味がからりと閉じ込められている。香り高い蕎麦を濃い口のつゆと一緒にいただき、蕎麦湯を飲み干すころには身も心も大満足だ。
 


打ちたて茹でたてと揚げたてを同時にいただく贅沢
 

人気デザートの揚げまんじゅう(200円)は毎朝つくる蕎麦まんじゅうを揚げたもの

 
皿もそば猪口も箸置きも、テーブルの上の調味料入れも店内で目に映るあらゆる陶器とガラスは本店からほど近い場所にある「陶郷(すえのさと)」という工房で作られる。

「日本料理は、舌だけでなく見た目でも美しさや季節感を表現します。料理を盛る器も料理の一部、その思いで器も自分たちで作っています。器だけでなく空間にもこだわって、テーブルも一枚板でそれぞれ違う形で作り、椅子も丸太から切り出しました」と泉川さん。
 


目に入るすべてが工房で制作したものか、オーダーメイドしたもの。既製品はない

 
「九つ井は現在、横浜駅西口にある横浜店、玉川高島屋の高島店、大和店という支店がありますが、最初は全員が本店で蕎麦打ちや料理を習得します。でも、腕が良くても素材が駄目だと台無し。素材の吟味にもこだわりを持っています」と森田専務。

蕎麦の産地は北海道や茨城県、長野県、福井県など各地からその年ごとにできのよさで選択しているという。
 


「美味しかったわ!」と常連の方

 
この常連の女性は茶道の先生で、九つ井の茶室「宇庵(うあん)」を借りて茶席を開いていた帰り。宇庵は流派を問わず貸し茶席として利用されている。
 


展示会として利用されることもあるという茶室、宇庵(提供:九つ井)