鶴見区の住宅街の一角にある四季折々の植物が完璧に手入れされている「馬場花木園」とは?
ココがキニナル!
「馬場花木園」は四季折々の植物が完璧に手入れされた庭園。なぜこの住宅地にあり、一角にある屋敷は植物好きの誰かの寄贈か。無料とは思えない素晴らしさ、もっと評価されるべきだと思う(タロー先生さん)
はまれぽ調査結果!
馬場花木園は古民家と日本庭園を備える風致公園。横浜市が藤本家の屋敷を取得、整備して開園。多くの利用者を求め無料に。都市化で失われる自然と日本の歴史文化を残す素晴らしい空間だ。
ライター:久保 仁美
目的地「馬場花木園」への道のり
今回のキニナル投稿は、住宅地の一角に四季折々の植物が完璧に手入れされた庭園があるというもの。住宅地にそんな素敵な庭園があるなんて、もしかすると知る人ぞ知る穴場の無料庭園なのかもしれない。「馬場花木園(ばばかぼくえん)」とは、いったいどんなところなのだろうか。まずは現地に向かうことにした。
馬場花木園は、鶴見区の住宅街にある。JR鶴見駅から市営バスで「西寺尾建功寺前(にしてらおけんこうじまえ)」を目指し、そこから徒歩8分ほどの場所だ。だが、バス停周辺にはそれらしい看板を見つけられず、近隣の住民らしき人を捕まえて「馬場花木園はどこですか」と尋ねても「知らない」と首を横に振るではないか。キニナル投稿の「素晴らしい庭園」にたどり着けるのか、不安になってきた・・・。
筆者は以前「駅から3分」の目的地に1時間かかったことがある方向音痴。今回は、道を尋ねた4人目の人から指差しして教えてもらった方向に歩いて、何とか道しるべを見つけられた。そのおかげで目的地にたどり着けそうだ。
今回の目的地
100メートル手前に“道しるべ”があった
古民家ゾーンへ直通の門。公園の入り口にしては分かりづらい・・・
住宅街をずっと歩き続けたので不安な気持ちのままで探し続けることになったが、無事に馬場花木園に到着できた。古民家に向かう際は道が狭い場所もあり、車で行く場合は通れないようなところもある。訪れる時は注意が必要だ。
やっと着いた! 馬場花木園入口
馬場花木園とは
園内へ一歩足を踏み入れると、心地よい解放感を感じた。周囲に高い建物がないため、まるで天と地がつながっているような感覚と澄み渡る空気。園内の建物が日を遮断することもなく、一日中絶好の日あたりだ。
馬場花木園の開園時間は9時~17時(7月・8月は18時)まで営業し、入園料は無料。休園日は毎月第3火曜日と年末年始(12月29日~1月3日)。市内でも珍しい回遊式の庭園で、園内には茶室もあり、四季折々の花を楽しむことができる。
今回、馬場花木園についてお話を伺うのは、公益財団法人横浜市緑の協会管理部管理課・馬場花木園園長の河野真一(こうの・しんいち)さん。
園長の河野さん
「馬場花木園は横浜市により1999(平成11)年に開園された風致公園です。2019(令和元)年11月23日にリニューアルオープンし、広さが約2万2000平方メートルに拡大されました。四季折々の花とともに散策スポットとしてより好評を得ております」と説明してくれた。
広さとともに見どころも増えたという馬場花木園。まずは散策して園内の様子を確かめることにする。
公園の散策をスタート
当地は池を中心に土地の起伏を生かして、庭石や草木を配し、四季折々の景色が鑑賞できる日本庭園となっている。
こちらは案内図。赤枠部分は拡張区域部分(横浜市記者発表資料より)
散策を始めて感じたのは、季節柄、鮮やかな色の花はなく、葉が散っている木も多かったこと。1月後半からロウバイにウメを楽しめるはずだったが、取材した1月初旬ではお目にかかるにはちょっと早すぎたようだ。
池周辺の景色
春にはソメイヨシノ、シャクヤク、アヤメ。夏にはハスにサルスベリ。秋にはムラサキシキブにハギなど、辺り一面が紅葉を迎える。同園は、洋風庭園と区別するため、あえて日本(和風)庭園としているとのこと。
中心部の池には、夏に(6月下旬頃から)ハスが咲き乱れる。ハスの花は早朝に咲き、昼間に閉じてしまう特徴がある。時期が近付くと、見頃にあわせて朝6時に開園する特別デーを公式ホームページで告知するそうだ。
今回、目にできた花はこちら。
スイセンの花(11月中頃~4月)と庭園に流れる小川
ツワブキ(10月~12月)
北側の青々とした竹林。間から差し込む朝日が気持ちいい
野鳥を見に来た人が望遠鏡をかまえる姿が目に付いた。魅力的な植物ばかりではなく、珍しい野鳥を発見できる日もあるようだ。
休憩所に飾ってある風景と野鳥の写真
散策中に遭遇した、庭園を手入れ中のスタッフにも声をかけてみた。
専門学校で造園技術を学んだ山口光建(やまぐち・みつのり)さんにお話を伺った。
勤務して5年目の山口さん
「当園には約150種の植物があります。一年の手入れした成果が翌年にはハッキリ出ます。これまで根付かなかった植物だってありますから。肥料をしっかりとあげて、雑草はしっかりと取り除く。そこには特に気を配っています」
短時間の作業を見ただけでも、植物の管理を懇切丁寧にされているのがわかった。
もう一人のスタッフは、冬場の手入れにも抜かりなし! と言わんばかりに剪定バサミを動かしていた。
「サルスベリ」の枝を滑らないように剪定する佐々木さん
「顔は写さないでよ」と、はにかみながらも「花が咲いたときに少しでもきれいに見えるように、切り口がわからないよう剪定しているよ」とこだわりを語ってくれた。