横浜市内に謎のオブジェが多いのはなぜ?
ココがキニナル!
横浜の街を歩いていると、いたる所で不思議な彫刻やモニュメントを見かけます。なんでこんなに多いんですか?(はまろうさんからのキニナル)
はまれぽ調査結果!
行政がキッカケをつくり、民間もそれに触発された結果だった!
ライター:坂田 正樹
『横浜彫刻展』開催にその秘密が隠されていた
なるほど、街への“設置”を目的にした『横浜彫刻展』!
これがすべてとは言わないが、横浜に謎のオブジェが増えたひとつの明確な動機がやはり存在していた。さらに注目すべき点は、横浜市がいち早く「都市デザイン室」という部署を設置し、建物、道路、公園、河川など、街全体を対象に都市空間を演出する、という観点から様々な試みを行っていたこと。
この都市デザインの発想が“彫刻の生きる街づくり”という発想へと結実し、想像力豊かなオブジェが横浜のあちこちに出現しはじめる“キッカケを作った”というワケだ。
各地に設置された『横浜彫刻展』作品例
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プリーズ・リクエスト(大倉山)第1回優秀賞 |
まかせなさい(大倉山)第1回優秀賞 |
※第1回大賞は「ヨコハマ・トライアングル」(大倉山・太尾堤緑道沿いに設置)
次元のリング(港南台)第2回大賞 |
三つの扉(鶴見)第3回大賞 |
何をしているの?(鶴見)第3回入賞 |
木のポートレイト(栄区)第4回大賞 |
WOMEN(栄区)第4回入賞 |
急がば回れ(栄区)第4回優秀賞 |
ところで、1996年以降、彫刻展は行われていないが、文化振興課では、今後こういったオブジェを街に設置する計画はあるのだろうか。
「現在当課では、文化施設の管理、ソフト面の事業が中心となっていますので、こういった街の彫刻やモニュメントの製作、展覧事業の予定はないですね。また、オブジェの製作は都市開発に付随しているものですので、単体で作ることは今後もないと思います」
ちなみに文化振興課の平成22年度の予算は、4,099,558,000円…つまり、約41億円!!一瞬、目を疑ったが、『横浜美術館』や『横浜みなとみらいホール』をはじめとする文化振興課所管の文化施設15館の管理運営費に加え、施設建設中の経費も含まれているらしく、一般市民の我々には、多いのか、少ないのか、見当もつかない額。
「彫刻に関しての業務をしいて挙げれば、安全管理ですね。日常的な見回りはもとより、遊歩道や公園、河川など、場所によっては土木事務所などと連携をとり、落書きや破損に対応するようにしています。屋外に設置されていますので、時代とともに劣化するのは仕方のないことですが、いまのところ、一部移動はあったものの撤去した作品はありません」
オブジェは横浜のアイデンティティ
約41億円…予算を聞いて驚いた方も多いと思うが、今回の取材を通して、横浜市が謎のオブジェを浪費的に作っている、という事実はまったくなかった。むしろその逆、『横浜彫刻展』のしくみはある意味感動的でもあった。あらかじめ彫刻を設置する場所を厳選し、その場所にマッチする作品をテーマに据える発想は実に効率的。
さらに公募というスタイル(入選作は賞金と制作補助費で主催側が購入)で市民を巻き込み、展覧会というスタイルで横浜市の意気込みを表現し、そして最終的にオブジェを設置することによって街を楽しく彩り、新たなコミュニケーションを育んでいく…まさに都市デザインをみんなで作って行こうというひとつの理想的な方法である。
山下担当係長は最後にこう締めくくった。
「横浜市は開港当初、小さな村だった状態から大規模な整備によって街づくりを始めました。当然、新しい街を起こすわけですから、味気ない街よりも何か付加価値のある街にしたい。そういった意識が横浜市民の根底にあるので、自治体主導、民間主導、各種団体がクロスし、その相乗効果でいろんなオブジェが街に溢れていった、と言えるかもしれませんね。また横浜は、アイスクリームとか、ガス燈とか、様々な発祥の地でもありますし」
横浜の街を彩るオブジェ、記念碑、公共サインetc
アイスクリーム記念碑(太陽の母子) |
馬車道サイン |
イセザキモール・オブジェ |
横浜公園・銅像(R・H・ブラントン) |
確かに『横浜彫刻展』から街へ飛び出したユニーク作品たちが、謎のオブジェ増殖のキッカケを作ったすべての要因とは言い切れないが、その口火を切った大きな文化振興事業であったことは間違いない。
また、発祥の地が多い横浜ならではの記念碑や、商業・文化施設、ビル・マンション、さらには商店街単位で作られるユニークなオブジェが競い合うように街を彩ったり、都市デザインの発想から生まれたおしゃれな公共サインが道行く人の目を奪ったり…そういったことが相乗効果を生み出し、現在のような“オブジェの多い街・横浜”となって、私たち市民の、目を、心を、楽しませてくれているのだ。
冒頭の巨大モニュメントを改めて見上げてみる。声高らかに横浜を謳うオブジェたちは、実は謎でも、不思議でも、なんでもなくて、つまりは“横浜のアイデンティティ”。自分たちの街を作ろう!という夢と希望。自治体、民間が時には刺激し合い、時には手を取り合いながら作り上げた、その心意気の産物なのだ。あえて言うなら、夢の数だけオブジェがある、希望の数だけオブジェが生まれる、横浜とは、そういう街なのだ。
―終わり―
うなぎさん
2013年08月31日 01時15分
芸術というには余りにも珍妙なオブジェが多過ぎると思うのはモダンアートに理解のない私だけ?特に「急がば回れ」は…うーん…としか言いようがない。本当にこのオブジェが存在することでその地域の人の精神的豊かさに寄与しているのだろうか?批判を恐れず言えば、本当にこのオブジェは必要なの?「芸術」という名の下に全てがまかり通ってしまっている気がしてならない。(勿論素人の私もおおと思う位素晴らしい物があることも否定はしません。)横浜市の限られた財源を利用するに当たってもう少し生きたお金の使い方はなかったのかな?と感じてしまいました。
ushinさん
2012年12月24日 02時02分
つい最近、中区で商売している商店主と似たような話をした。歴史的建造物保存に関して「こんなもんに税金を使うのは・・・」と言うので「そういう金を使えてこそ横浜の度量だし、観光客も呼べる」と返事をした。「でもウチの客には観光客は関係ないよ」と言うから「その観光客でメシ食ってる横浜市民を相手に商売しているでしょ?」と言ったら「あ、そうか」と納得したようだ。
sakuragichoさん
2012年07月19日 22時17分
「文化施設15館の管理運営費に加え、施設建設中の経費」の合計が41億円ということなので、まぁまぁだと思いますけどね…。このレポートのP.4の「3.参考」によれば、政令市美術館の施設維持管理費は一館2億円強ぐらいかかってますよ。安くあげられてるところもありますけど。横浜市がこの数の文化施設を運営する必要があるかどうかの議論は別にして、この数を運営するんだったら妥当な価格なんじゃないでしょうか。 http://www.city.osaka.lg.jp/shiseikaikakushitsu/cmsfiles/contents/0000109/109825/21.pdf