金沢文庫駅と金沢八景駅周辺は開発事業でどう変わるの?
ココがキニナル!
金沢区の金沢文庫駅と金沢八景駅周辺で再開発工事が行われていますが、どのように変わるのか特集していただけませんか?(おかちゃんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
金沢文庫の再開発事業案はいまだ合意に至っていない。金沢八景の土地区画整理事業は平成28年のシーサイドラインと京急の連結などに向け整備中。
ライター:山口 愛愛
シーサイドラインと京急線連結までの長い道のり (つづき)
こうして現在の計画のように、二路線を接続し、駅前広場と区画街路も確保し、土地を5街区に分けて整備する工事が平成22年にはじまった。
写真の赤で囲まれている部分が右の図のように整備される
取材した結果、平成28年完成予定で、大きな事業内容は以下の通りだ。
・京急線と金沢シーサイドラインの接続。京急の駅舎は高架上にあがる。
・駅前広場の整備、道路の拡幅。(これにより、国道16号上の歩道橋は撤去)
・駅の東と西をつなぐ自由通路が整備され、東西の行き来もしやすくなる。
「現状は駅前広場がなく、道路も狭く駅前のギリギリまで車も入り、双方の乗り換えの人で混雑しています。雨の日は傘がぶつかったりします。シーサイドラインの福浦には病院があり、お年寄りの乗り換えも目立つので、不便さが改善できると思います」と中出所長。
駅前の歩道のない道。学生の横を車がすりぬけていた
しかし、事業計画はスムーズに進んでこなかった。この事業は「土地区画整理事業」なので、宅地を作ったら、権利者に土地を返すため、移り先を確保しないといけないのだ。
当初の計画では駅前広場や道路を広げるため、権利者が所有している土地の約30%(減歩率)を差し出してもらわないと事業が成り立たなかった。だが、所有している土地が狭い方は、削られると生活に支障をきたすと声があがったのだ。
そこで、市が、土地を売却してくる人を募り、買取した土地を公共用地にあてた。その結果、約30%から減歩率が下がり権利者の了承が得られた。
工事が進んでいる1街区の様子。ほぼ更地になっている
こうして平成22年より工事に着手した。
この整備は、ほかにもメリットがあると中出所長はいう。
「現在は規制があり、木造か、鉄骨建物の3階までしか造れないんです。しかし、造成工事が終わって土地を権利者にお返ししたところから、規制が解除され権利者はボリュームのある建物も造ることができます。大型店舗や上階を住居にするなど資産の有効活用もできるのではないかと思われます。学生が多い街なので、その層をターゲットとした商売で街に活気が溢れるといいと思います」
駅前には飲食店や本屋など昔ながらの個人商店が並んでいる
地区内に58あった店舗は、転出した店もあり、37店舗となった。整備区域にあった店は、仮設店舗で営業している店もある。工事の都合でまた場所が変わる可能性もあるそうだ。
プレハブのような建物で営業をしている店も
「事業期間内に営業継続希望のあった店は仮設店舗で経営してもらっています。将来については営業しているお店と大家さんとの話し合いで決めていただきます。いずれにしても街が活気にあふれることを願っています」
住人の間では賛成と反対意見が飛び交う
ここまでの経緯は理解できたが、実際に住人はこの開発事業についてどう思っているのだろうか。駅周辺の通行人や商店に話を聞いてみた。顔出しはNGだったので本音をぶつけてもらった。
・通行人A 女性30代
「駅ビルができるのかと思っていました。乗り換えは不便なので接続はいいと思う。小さい商店がなくならないか心配」
・通行人B 40代男性
「乗り換えも不便だと思っていないので、今さらという感じも。駅ビルができるならわかるが、配置を換えるくらいで街が栄えるとも思えない。中途半端な気がする。たしか再開発事業と聞いていたが、いつの間に土地区画整備になったのか?」
・通行人 30代女性
「道が狭く、とくに雨の日は車が入ってくるのが大変。ロータリーができるのは歓迎。開発事業の情報が少ないのでアピールしてほしい」
・商店D スタッフ
「オーナーから借りている身なので従うしかなく、建物が新しくなればおそらく家賃が高くなるのでやっていけるのか不安。大家はデベロッパーに任せることが考えられ、大型店が参入すると厳しい状況も考えられる。地元民と30年ももめ、今さらやる必要があるのか。逆に古い商店街を残した方が集客にならないだろうか。誰のための開発なのか・・・」
・商店E スタッフ
「局所的に駅の周りだけ整備するより、もう少し広い範囲でみんなが一緒にやるべきでは?」
学生が多かったが、幅広い年齢層の人から話を聞けた
再開発事業ではなかったか?との声があったので、再び、中出所長に聞いてみたが、
「始めから土地区画整理事業ですが、1番大きな第2街区で再開発事業ができないかと検討した時期はありました。合意形成が得られなかったので土地区画整理事業のみとなりました」と地元との協議の上で決まったとのことだった。
これらの声に対し、中出所長は「まちづくりに関して、いろいろなご意見があるのは当然です。みなさんそれぞれご事情が違いますから。でも、金沢八景の駅前が、着工前の状態でいいのかと考えるとどうでしょうか。関係権利者の皆さんのご協力がないと進まない事業ですが、駅はたくさんの方々が利用なさるところでもあります。私どもは事業が順調に進むように努力しています。一日でも早く、横浜市南部の拠点駅としてのまちづくりが進むことを願っています」と語ってくれた。
取材を終えて
街に歴史あり。金沢八景は再開発事業ではないとのことで、街のデザインはそれぞれの権利者の意識によっても変わっていく。
当然、すべての人が満足するのは難しいが、借家で経営している店は、これまで街を支えてきた個人商店が多いので、継続していけるような街になればと思う。
どんな風に街が活性化されていくのか楽しみだ。
― 終わり ―
papantsuさん
2016年03月07日 16時33分
シーサイドラインと京急が繋がるのは便利になるし、駅前も整備されてよくなるようですが、三井不動産のマンションやパチンコ屋さんなどが既に完成しています。駅前の開発デザインやコンセプトはどうなっているのか?駅ビルができる訳ではなく駅舎が2階に上がるだけで、金沢八景という地の玄関らしい開発になるのか?非常に期待しています。「30年もかかった結果がこれか!」などとならないように他の見本となるような開発をお願いします。それにしてもパチンコ屋さんとパン屋はほとんど時間差なく旧店舗閉鎖と同時に新店舗開店という感じだった交渉上手??優遇されている?
なかぢぃさん
2015年05月17日 12時44分
もともとは京急の金沢文庫と金沢八景を一つの駅にする事業が頓挫したことから始まった話ですよね。総合庁舎が駅の中間にあるのは新駅予定地の正面に作ったせい。文庫にしても八景にしても、再整備するにはごちゃごちゃしすぎて結局こんな形になっちゃった。杉田と新杉田もそんな感じで、やっと落ち着いたみたいですが、文庫と八景は最終的にどうなるんでしょう?
たかとりさん
2015年01月15日 03時33分
この事業が終わってしまえば、もう当分は街を作り変えるなどというチャンスはおとずれません。諸外国の観光事業を見習って、建物などの統一感を図り「街自体をデザイン」するという大きな視点で進めていかないと、いち早く出来たパチンコ屋さんを中心に、単に新しい建物がゴチャゴチャ立ち並ぶ、少し大きな駅前にしかならないと危惧しています。エリアの統一感を出す手法としては、川崎のチネチッタ周辺や、東京スカイツリー等が参考になると思います。歴史ある「金沢八景」として歴史的風貌を重視するのか、シーパラ等と協力して新しい海沿いの街を作り出すのか、他にも色々と意見があると思うので、もっと話し合いがあってもよいのではないでしょうか。