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湘南唯一の酒蔵・茅ヶ崎の熊澤酒造がユニーク?

ココがキニナル!

茅ヶ崎市で地ビールや日本酒を作っている熊沢酒造さんが変わっています。是非取材してみてください。キニナル。(にゃんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

変わっているのは、日本酒界の常識を変えた若社長が、文化の中心となる蔵元を目指し、酒蔵にパン工房、レストラン、ギャラリーを展開しているところ。

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ライター:吉岡 まちこ

六代目蔵元が日本酒の世界を変えた!?



こんなセンスの良い経営をする蔵元はどんな人だろう、と思ったらダンディな若社長が登場。
 


熊澤酒造株式会社 代表取締役の熊澤茂吉さんは、六代目蔵元 


「父も継がなかったしぼくも継ぐ気はなかったけれど、24歳の時、突然やりたくなったんです。入社した19年前は、先代だった叔父さんが蔵を廃業しようとしていた時でした」と、六代目蔵元の熊澤茂吉さん。
一刻の猶予もないような状態だったそうだ。

その頃の日本酒造りのスタイルは、新潟や青森、兵庫などの寒村から冬場の寒仕込みの時期だけ派遣される出稼ぎ杜氏(とうじ)を雇うのが常識。熊澤酒造でもそういった農閑期だけの出稼ぎ杜氏を呼んでいたという。

「彼らは村に帰って全国清酒鑑評会で何位を取ったかを競いたいわけですよ。うちの会社のためにとか、湘南の酒をという考えはまったくなかった。鑑評会の酒だけ力を入れ、普段売る用の酒はぽってりとした田舎っぽい味しか造らない。地元には必要とされていない酒だったんです」(熊澤さん)
 


19年前は廃業も考えたという酒蔵


日本酒の世界には、一般の消費者には飲むことができない鑑評会用の酒がその酒蔵の代名詞として一人歩きする風潮があるという。
「ぼくはそれを逆転させたかった。鑑評会に出す酒と市販する酒を一致させたかった」。
今でこそ傾向は社長の願い通りになってきたが、当時は全国的にもあまり前例はなかったそうだ。

湘南にふさわしい涼やかな味の酒に造り変えるには手間がかかる。でも酒蔵として残すには、地元で必要とされおいしいと言われる酒に変えないといけない。
「そしたら、杜氏は“やめてやるぞ!”となって、やめちゃった。あとはバーン!と若い杜氏たちにやらせて、それから5年間は試行錯誤ですよ」
 


12年前、若い杜氏たちの手で創り出された熊澤酒造の新しい酒「天青」(てんせい)シリーズ


ちょうどバブルがはじけ、東京農業大学などの醸造学部出身の若い人たちは、手に職を持ち自分でモノづくりをしたいという願望があった。募集にはすぐ人が集まったそうだ。
 


レストランのすぐ近くにある酒蔵に案内してもらった。予約見学可
 

今年の仕込みが始まったばかり。新米を蒸す若い蔵人さんたち


こうして12年前に、今の熊澤酒造の代表銘柄「天青(てんせい)」が商品化された。
“瓶燗(びんかん)一回火入れ”という、通常は
鑑評会の出品用にしかしない手作業で手間のかかる手法をすべての「天青」商品に採っている。
できるだけ生酒の風味を生かすため、酒を瓶に詰めたあと一度だけ湯煎殺菌するというものだ。

出品用の酒は造らず、手作りの少量生産にしぼると損もするが「営業マンを置かない・広告宣伝費をかけないことで釣り合っているかなぁ」と熊澤社長。いい物を作れば声がかかる、という強気の発想だ。
 


製造された酒は敷地内の和食レストラン「天青」で消費されるほか、全国40の酒店で売られる