“もう一つの歴史”に触れる街。はま旅Vol.84「蒔田編」
ココがキニナル!
横浜市内全駅全下車の「はま旅」第84回は、新たな地下鉄出入り口も誕生した「蒔田編」。最初の地下鉄搬入口、忠臣蔵じゃない吉良氏・・・もう一つの歴史に触れてみた!
ライター:ほしば あずみ
鎌倉街道を渡って反対側へ
鎌倉街道を渡って今年3月に誕生したという蒔田駅の「第3出入り口」へ。
出入り口はマンションに直結しており、併せてエレベータやエスカレーターも新たに設置されたという。
マンションの1階に漬物屋さん発見
漬物清兵衛は、第3出入り口オープンに合わせて今年6月に開店した。
笑顔が絶えないアルバイト店員の岡崎さん
「季節ごとに旬のものを漬けるようにしています。有機農法の農家と契約したり、漬けるものにはこだわってますよ」と、店内にいた米田社長。
秘伝のぬか漬けのきゅうりとにんじんは1本100円
店頭では、珍しい国産のザーサイやぷっくりした水なすが人気だったが、「ザーサイも水なすも季節ものだから、もうおしまい」との事。常連の方は心得ているのか、次々売れていた。
おすすめは味噌漬け(写真左下、100グラム135円)だそう
漬物を選んでいた方に話を聞くと、「英和学院の学園祭帰りに寄ったけど、試食が美味しくて」との事。確かに、味見させていただいた「たくあん漬け」はコリコリと歯ごたえもよく、後をひく味わい。
だが「英和学院の学園祭」も気になる。380円でたっぷり入ったカブの漬物を買ってから、向かってみる事にした。
学校は城跡に建つ
小高い丘に建つ横浜英和学院
横浜英和学院は、男女共学の幼稚園、小学校と中高一貫の女学校。幼稚園以外は丘の上にある。
校舎が立つ広大な丘一帯は、蒔田城という城の跡だ。その城主は、東京・世田谷から蒔田にかけての一帯を本拠としていた吉良氏。忠臣蔵の敵役で知られる吉良上野介と先祖は同じで、蒔田吉良は分流である。
・・・という前情報があったので、ぜひとも訪ねたいところだったし、学園祭の様子もお伝えしたかったのだが、大変申し訳なさそうに取材のお断りをいただいてしまった。内容をお伝えする事はできないが、多くの人が訪れる温かな雰囲気の学園祭だった。
英和学院の麓には吉良氏の菩提寺、龍祥山勝国寺がある。お寺の裏山の墓地にある吉良家の供養塔は市の地域史跡に指定されている。
1929(昭和4)年に建立された勝国寺本堂
お寺の方に、本堂向かって左側の木戸の先に、裏山に登る石段があると教えていただく。
「お寺ができる前からある石段で、馬で登れるように一段の高さが少し高めになっている」そうだ。歴史散歩などで訪ねてくる人もいるという。
木戸奥に見えるのが、馬で登れるという石段
4基並ぶ供養塔
裏山には大きなどんぐりがたくさん落ちていた