西区藤棚町にある「今村銃砲店」ってどんなお店?
ココがキニナル!
西区の藤棚町にある「今村銃砲店」という猟銃の販売店が昔から気になっています。その筋では有名な店らしいのですが、店が店だけに冷やかしには行けないので入ることもできません(aghdさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
来年60周年を迎える老舗で、業界メディアに登場するなど確かに「その筋では有名」。取材を通じ猟に対する思いが伝わってきた。
ライター:久保田 雄城
銃砲店って、どれくらいあるの? 個人輸入もアリ?
銃砲店の最盛期というのは、今から30年ほど前の頃だという。現在、全国で300軒あまりの銃砲店があるが、当時はおよそ800店が営業していた。
その後、緩やかに減少し、さらにインターネットの普及により、個人輸入が増えて販売が落ち込んでいったという。
といっても、今は少し落ち着きを取り戻しているとのこと。9.11事件以降、アメリカの輸出規制が厳しくなり、個人輸入もかつてほど簡単ではなくなったのが原因だという。アメリカ政府としては、武器・弾薬をどんどん輸出していると、それらが使用されて自国を攻撃される、という考えに立っているようだ。なかなか興味深い話である。
NHK大河ドラマ「八重の桜」で主人公・八重が
使用しているスペンサー銃(非売品)
「サバイバルゲーム」について、どう思っているんだろう?
少し話題の矛先をかえて、「サバイバルゲーム」に興じる人たちについてどう思われているのかを聞いてみた。今村さんは、腕を組んで天井を見上げ、少し考えてから、「サバイバルゲームをする人と猟師の最大の違いは、前者は人が出てきたら撃つのが基本、対して猟師は、どんな時でも絶対に銃口を人には向けないということなんです」と静かに話してくれた。
それは当然なことだなあ、なんて心の中で僕は思っていたのだが、実際に、山でサバイバルゲームをしている人が、同じく山で狩猟をしている場所に入ってくることがあるそうだ。彼らの習性なのか、不意に人が現れると、反射的に銃口を猟師に向ける者もいるという。これが今村さんは本当に怖いという。
そりゃあ、そうですよね。モデルガンとはいえ、サバイバルゲーム用の防具も付けていないのに、銃を向けられたら、僕なんかはそれだけで倒れてしまいそうだ。狩猟とサバイバルゲームというのは、本物とおもちゃという差があるにせよ同じ銃を扱うということで、何となくイメージが近かったのだが、今村さんいわく「全く正反対」であるということであった。
図々しくも「八重の桜」の銃を持たせていただく久保田
(※この銃は、登録証付きです)
老舗店主を悩ます「丹沢のシカ問題」
お話しをしている間に、あっという間に2時間以上も経過してしまったので、最後に、今、一番の今村さんの「キニナル」を伺ってみた。すると「丹沢のシカの増加問題」とのこと。戦後の一時期、神奈川県ではシカの狩猟が解禁されて、シカの数が減ってしまい、1955(昭和30)年からの15年間、シカ猟は全面的に禁止され、保護動物に指定された。
ところが、その後、今度は逆に増え過ぎてしまい、1970(昭和45)年にオスジカ猟解禁に合わせて猟区を設定し、狩猟による捕獲頭数の規制を行うことで、農林業の発展とシカの保護を図った。しかし、それだけでは効果がなく、人が植えた苗木を食べたり、森林の下草を食べ尽くしたりして、いわゆる「シカ害」を起こすようになる。
そして、2003(平成15)年から、保護管理という名目で計画的な捕獲が神奈川県によって行われるようになったそうだ。しかし、なかなか捕獲が目標数に追いついていかない、というのが現状のようである。シカにとってもこれは問題で、頭数が多すぎると食糧難となり、今村さんが山の奥まで入って行くと、やせ細ったシカを目にすることも多いという。
やはり、シカの数をある程度減らして、植物の生育を回復していかなくてはいけないということ。そのためには、銃刀法の規制緩和や、猟師の若返りが必要であると今村さんは考える。なお、シカの増加は、神奈川県だけではなく、千葉県や静岡県、北海道、長野県などでも問題になっている。
「神奈川県鳥獣保護区等位置図」(神奈川県webサイトより)
「銃刀法の規制緩和」については、確かにシカの頭数を減らしたり、猟師の若返りを促したりという見地に立てば必要なことだと思われる。しかしながら、規制が厳しくなった根本的な原因である佐世保市での散弾銃乱射事件がもたらした意味について忘れてはならないし、「規制緩和」がはらむ危険性についても考えをめぐらせなくてはならない。
取材を終えて
シカの話題になった時に、捕獲するには手間暇が大変だと今村さんがおっしゃるので、罠をしかけるはどうなのでしょうか? と質問すると、罠だと、シカが絶命するまで時間がかかり、その間ずっともがき苦しむことになるので、それは避けたいとおっしゃった。
そして、県から依頼される捕獲はただ撃っておしまいで、何か後味が悪いので苦手だが、狩猟の時は、シカを持ち帰り調理するので、山の恵みをいただくというありがたい気持ちになれるとのこと。
このふたつのお話で、今村さんの人柄が垣間みえた気がした。
「八重の桜」のスペンサー銃は、実に重く、何と3.8キロもの重量。この銃は、かつて「南北戦争」で実際に使用されたもので、9.11以降のアメリカの銃の輸出規制に思いをはせながら持つと、さらに重くなったように感じられた。
―終わり―
今村銃砲店
所在地/横浜市西区藤棚町1-43
電話/045-231-2561
営業時間/10:00~18:00
定休日/日曜、祝日
すぎさんさん
2013年04月19日 10時57分
角さんへ~友人の自衛官に東北のクマ被害がひどいので駆除したら、と言ったら、「自衛官は人を撃つことは許されているが、動物を撃つことは法律で禁じられています。」と半分冗談で答えてくれました。それだけ駆除する当事者にもためらいがあるということでしょう。法律で駆除の裏付けをして、使命感を持つようにしなければ、いくら銃を持つ職業でもたまらないと思います。逆に平気で野生サルやキツネにエサをやったりする人間の無神経さや無知に腹が立ちます。それは野良猫でも同じです。可愛かったら責任もって自分で飼うこと。従弟はそれを実践し、捨て猫をきちんと保護しています。
角さん
2013年04月18日 01時42分
昔、日ノ出町駅の近くにも銃砲店があったように記憶しています。 あと、次元大介が1stルパン三世最終回で銃砲店お店主だったな~。 で、鹿問題。猟友会にはいる人が減っているのは数年負けからテレビでも言われていました。まあ、殺生はやはり嫌ですからね・・・。 最終的にはこの問題は警察とか自衛隊などの職業的に銃を扱う人の仕事になるんじゃないかと思います。 あと、佐世保であったような猟銃による事件。それ以外でも自宅で子供がいたずらをして発泡なんていうのも読んだことがあります。これを防ぐには銃弾の個人所持を禁止して、必要な時に銃砲店に買いに行くか、警察で保管するようにしないといけないような気がします。面倒だし、預かる場所の確保も問題ですがね。
駅馬車さん
2013年04月17日 14時44分
他の方のコメントを読んでいると実に皆さんよくお分かりです。正直言って驚きでした。ライターの方の質問内容も的を得ていてよく理解される記事でした。さて、この世界を取り巻く状況から言うと、鹿の問題があるので管轄の県は狩猟者を増やしたい、逆に銃の犯罪を減らす(元から多くは無いのだが)ために銃の管轄の警察は銃の保持者を減らしたい、という矛盾があります。銃の保持は難しくは無いのですが手間が多くて面倒なので皆さん手放してしまっています。車で言うと車検に当たる銃検査は毎年、免許の更新は3年に一度で所持している銃一丁毎に行います。車は期間が長くなっているのにね。合理化の世の中でここだけ逆になっているのはどうしても納得いきません。もっとも警察の現場の方も手間が増えて大変そうですよ。上層部だけの問題ですな。