臨海の女神をさがして・・・はま旅Vol.108「弁天橋・鶴見小野」編
ココがキニナル!
はま旅第108回は、JR鶴見線「弁天橋」駅、「鶴見小野」駅。京浜工業地帯にかつて祀られていた弁天とは? はたして何が見つかるのか・・・
ライター:ほしば あずみ
鶴見小野駅へ
旧「潮田」駅付近から、鶴見小野駅方面へ歩くと、赤い鳥居が見えてくる。
小野弁天(弁財天)神社
江戸時代、堤防工事の無事を祈って鶴見川河口の防波堤の起点に、江ノ島の弁天を祀ったのが由来。その後、鶴見線敷設のため遷座、現在の場所に祀られるようになったという。
弁天橋の弁天と同様、ここでも海の守り神として漁師たちから信仰されていたようだ。
明治初期に、闇夜で水路を見失った漁師を不思議な光で導いたという伝説のある、豊受開発稲荷神社も境内にある。
漁師たちが感謝して奉納したという手水鉢(ちょうずばち)
大正時代の埋め立て地宅地化の功労者、小野重行の記念碑
「汐田(しおた)」と呼ばれたこの地は、戦国時代から小野氏が住み、江戸時代末期から明治初期にかけて小野高義、鱗之助親子が新田として埋め立てた(小野新田)。小野重行はその孫で、町や駅の名は彼らに由来する。
社殿の中には、江ノ島の裸弁天を描いた大きな彫刻画が、崇敬者によって奉納されていた。
鶴見小野駅へ到着
商店街でテコンドー
さて、ここから潮田の杉山社が合祀されている潮田神社をめざして北上。しばらく進むと「本町通(ほんちょうどおり)」という商店街に至る。
京急鶴見駅前から続いている本町通商店街
どんなお店が並んでいるんだろう、と歩いていると、中が見えない一角から何やら掛け声が聞こえてきた。外にはテコンドーの張り紙。道場なのだろうか?
伺ってみると、突然の訪問に驚きながらも快く取材に応じてくださった。
洪人館テコンドーの洪君錫(ホン・グンソク)師範
テコンドーは蹴る、跳ぶなどの足技と、突く、受けるといった手技を特徴とする韓国の国技。武道でありスポーツとしても、小さな子どもからお年寄りまで親しめる競技なのだそう。
生徒さんたちに技を見せてもらった
カメラを恥ずかしがりながら、次の瞬間には技を繰り出す!
洪人館はこの本町通の道場を本部とし、川崎や都内にも支部がある。
9年前に来日し、当初は川崎の体育館やスポーツセンターなどで指導していた洪君錫師範が、本町通商店街の空き店舗を道場としたのが2009(平成21)年。
本部道場では会員が約60人、高校生以上の大人クラスも合わせると約80人がテコンドーに親しんでいるそうだ。
生徒のみなさん。来月のお祭りで披露するデモンストレーション用の稽古をしていた
今日いた生徒さんは全員、いろいろな大会でメダルを獲っているつわものぞろいだそう。
「テコンドーは、まだ日本では競技人口が少ないですが、世界中でたくさんの人が親しんでいます。興味を持ったら気軽に体験してもらいたいです」と洪君錫師範は語ってくれた。
おもちゃたちが夢見る店
洪人館を後にして、さらに商店街を進むと、本町通4丁目交差点の角でひときわ目をひくお店を発見。
ぎっしりとおもちゃのディスプレイ
店内も所せましとおもちゃが並ぶ
「おもちゃ・人形のたまや」は、1872(明治5)年からこの地で続くおもちゃ屋さん。現在のおかみさんで4代目。80歳になるおかみさんはお店を60年続けている。
「私の代でお店を辞めちゃったら申し訳ないから続けているけど、今は親も子どもを預けて働きに出ちゃうし、子どもたちも忙しいでしょう。みんなおもちゃで遊ばなくなっちゃったのねえ」とおかみさん。
おもちゃたちは子どもたちに遊んでもらうのを待っている
今はむしろ、かつて子どもだった大人の男性が「子どもの頃にほしくて買ってもらえなかったおもちゃ」を懐かしんで買っていくそうだ。
確かにこのお店には、新旧とりまぜておもちゃが並んでいる。
子どもの頃に欲しかった、かも・・・
大きくなった良い子たちはここから文字通りの「掘り出し物」を探す
子どもの頃欲しかったあなたの夢も、「たまや」に眠っているかもしれない。