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ドヤ街宿泊レポート第2弾!ライター井上がドヤ街の実態を調査!

ココがキニナル!

ライター井上が、身一つでドヤ街を調査。その実態をレポート!(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

ドヤ街宿泊レポ第2弾!ドヤ管理人に突撃インタビューを敢行!日雇い労働者の街は今、手彫りヤクザと生活保護受給者の街と化していた

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ライター:井上 こん

むやみに撮影できない街



ドヤから3分ほど歩くと、街中心部に「寿公園」がある。そこには、ビールを片手に談笑する2~3人の男性が5グループほど、うつろな目でタバコを吸う人がちらほら。その男性たちの間に存在感を消しながら入り、筆者も缶チューハイを片手にしばし人間観察。

公園の前にある「ことぶき保育園」の生徒だろうか。母親に手を引かれ、バナナの皮やタバコの吸殻が転がる小便臭い道をスキップする子ども。心無しか、母親は足早にその場を立ち去ろうとしているように見受けられた。
 


中年男性たちとゴミ、自転車。そして親子・・・(イラスト:井上 こん)

 
時折、神奈川県警のパトロール車とすれ違う。筆者を見つけると、「何してるんだあいつは」といった顔をする。ここ寿町では「普通の女子」こそ異質な存在として不審者認定される。
 


寿労働福祉会館近くの飲み屋通り

 
四方からジロジロ見られている状態のため、昼間でも撮影に苦労する。なんせちょっと顔を上げるとドヤの2階から身を乗り出してこちらを見ている男性がよくいる。

中には指名手配の人間もいるかもしれないし、ワケありな人間の街である以上、むやみに人を撮影するのは控えるべきだろう。

 
 
 
寿町を形作っている「超高齢社会」

 


「車椅子OK」の文字によく出会う


世の中から断絶されたかのような寿町では、街の約9割が団塊世代以上という特殊な社会構造を形作っている。住人の高齢化を象徴するように、デイサービスの看板をよく見かける。とはいえ、生活保護を受けている(寿では「標準的な」)住人に言わせれば、そういったサービスは高過ぎて利用するに至らないという。
 


場外舟券発売場。人の出入りが盛ん

 
ドヤは1日平均2000円。単純計算で家賃は6万円にもなる。生活保護を受ける人のその使い道を先の管理人に聞いたところ、半額ほどを家賃として支払って残るお金はノミ屋(競馬)や競艇、女と酒代に使う人が大半だという。日雇い労働者の街は今、住民の8割ほどが生活保護を受ける人の街となっている。
 
ただ街を歩いていると、電動車イスに乗る超高齢者や片足を切断した人など、身体的なハンデを抱えた老人も度々見かけた。それ以外にも、目には見えない精神的なハンデを抱える人もいるだろう。こういった本当の弱者もいるが、街の大半が生活保護受給者であるという現実を目にすると、相変わらず不可解な福祉の実情を再認識せざるを得ない。

移住・通勤という面において、圧倒的にヒトの流出が少ない寿町だが、炊き出しや訪問介護を中心に行うNPOのような活動グループが年々増えている点は、今後の寿町の行く末を考える上で重要な基幹部となる。

おそらく、この面においては行政側の構造改革よりも、民間団体による活動の風速の方が速いだろう。
 


半裸男性はさほど珍しくない(イラスト:井上 こん)


ドヤへ帰る途中、半裸の男性に呼び止められる。半裸や全裸の男性を見ても驚かなくなったということは、どうやら寿町に入って2時間ほどで感覚が狂ってしまったようだ。それにしてもこの人はなんて眼球が黄色いのだろう。ガサガサに荒れた唇を不器用に動かし男性が聞く。

「ねぇ、お姉さんちょっと聞いていい? このカートン、2000円で買わない・・・?」

「たばこ、吸わないので」

「・・・なんでかなぁ・・・」

ブツブツ・・・ブツブツ・・・。重い足取りで歩き出す男性を見送りながら、自分が大量の冷や汗をかいている事に気が付いた。もし男性の気に入らない返答をしたら、突然襲われるかもしれないし、ここでは誰も助けてくれないであろう恐怖感があった。

当たり前なのかもしれないが、この街ではより一層「自分の身は自分で守れ」なのだろう。