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横浜にこんなすごい会社があった!Vol.1「日本で唯一のモペット・メーカー フキ・プランニング」

ココがキニナル!

横浜にこんなすごい会社があった! 第1回は日本で唯一のモペット・メーカー フキ・プランニングをご紹介!

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ライター:吉田 忍

モペットってどんなもの?

(続き)

畔柳さんの狙い通り、「若者向けばかりで、いい歳になって自分が乗れるバイクがない」と思っていた人たちが最初に注目してくれた。

実際、購入層は50歳代が多いが、ビーチクルーザータイプを追加してから、若い購入者も増えて、発売以来4000台近く売れているそうだ。大手メーカーのオートバイと比較すると少ないように感じるが、小さな会社で1台1台手作りされていて、年間260台ほどというのはかなりの数だ。  
 


ベーシックタイプ、FK310STDⅢ。7万8540円(画像提供:フキ・プランニング)


モペットは原付なので、免許やヘルメットの着用が必要。エンジンをかけないでペダルを漕いで走行することもできるが、エンジンを切っていても歩道を走ってはダメ。自転車通行可の歩道であっても走行不可だ。

法定速度は普通の原付と違って20kmだが、ペダルアシストする場合は20kmを超えてもよい。
ウィンカーの装着義務はないが、自転車と同様に手信号での指示が必要。基本的には原付としてのルールを守っていればOKとのこと。
 


原付なのでナンバーが必要で、自賠責保険にも入らなければならない




世界記録を出したスケート靴も作っていた



お話を伺っている時に、壁に飾ってある写真がずっと気になっていた。
 


スケート金メダリストの清水宏保選手の写真がたくさん飾られている


写真について尋ねると、なんと清水選手のスケート靴を作っていたのだという。

長野オリンピックの前、かかとの部分で刃(ブレード)が離れる「スラップスケート」という革命的なスケート靴が開発され、海外の選手がこのスケート靴でどんどん世界新記録を出していた。日本では開発が遅れていて、長野ではスラップスケートの使用を見送る予定だったが、従来の靴では全く太刀打ちできないことが分かり、急遽(きゅうきょ)導入を決めた。しかし、当時スケート靴を作る会社は1社しかなく、長野五輪まで半年、とても選手全員の分を作ることはできない状況だった。
 


清水選手から感謝を込めて贈られた楯も


スピードスケートの靴は下部がカーボンでできているので、カーボン加工技術を持つフキ・プランニングに話がきた。靴こそ作ったことがなかったが、カーボンはもとより、コンセプトカーの内装などで皮革を使うことには慣れていたので、やってみましょうということになった。

まず、ひとりの靴を作ったところ、評判がよく、清水選手や堀井学選手からも依頼が。

清水選手の靴は長野には間に合わなかったが、ソルトレイクのワールドカップで世界記録を出したときの靴はフキ・プランニング製だ。
 


赤い方が清水選手の靴。意外と? 小さかった
 

靴の下部から底はカーボン製で固い。足形にぴったり合わせて作られている


ところで、畔柳さんはどうしてこのような技術を持っているのか? そして、実はこの後、すごい話になっていく。