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東急東横線の武蔵小杉駅、誕生までの紆余曲折物語! 幻の駅「グラウンド前駅」「工業都市駅」の歴史について教えて!

ココがキニナル!

東急東横線には昭和28年ごろまで「工業都市」という名前の駅があった。川崎市の工場街が名前で近隣の駅と統合になり廃止したが、なくなるまでの経緯が知りたい。(ねこぼくさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

1939~1953年まで存在していた東急東横線工業都市駅は、利便性のうえから隣接していた仮駅の武蔵小杉駅と統合したためその名を失った

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ライター:ほしば あずみ

工業都市駅、だけじゃない。消えた駅たち(つづき)



だが連絡通路を結ぶ計画では工事が大規模すぎるので、資材も費用もかかるということになり、結局、仮設的な構造の駅が府中街道の上に1939(昭和14)年12月11日に東急東横線の「工業都市駅」が完成した。
「工業都市」という駅名は、当時の東急が分譲地に名づけていた「田園都市」と対になるものだったという。
 


新丸子駅と元住吉駅の間に工業都市駅がある


それまで元住吉駅か新丸子駅を利用していた通勤客約1万5000人がその便益を得て、駅周辺もしだいに栄え商店街も形成されていった。
 


その場所は、現在の武蔵小杉駅から約300メートル元住吉駅側。おもかげはない
 

駅のあったあたりから現在の武蔵小杉方面を向いたところ


しかし、現在のGoogleマップ上で見てもわかるとおり、それぞれの駅間の距離は非常に近い。しかも、最も近い南武鉄道グラウンド前駅とも直接連絡しているわけではなかったので、乗り換えるには改札を出て一般道を数100メートル歩かなければならなかった。
 


青丸は現在の横須賀線武蔵小杉駅


実は、今も乗り換えのたびに「やけに歩くなあ」と思うJRと東急の武蔵小杉駅の距離と、当時のそれぞれの駅間の距離は、さほど変わらない。

1940(昭和15)年には、新丸子駅の乗降場をグラウンド前駅に近づけ、連絡通路で結ぶという工事計画が東急側にあったが、南武鉄道や川崎市との調整の遅れや資材不足などで実現しないうち、戦時下の政策で南武鉄道が国有化され南武線となる。
国有化にともない整理統合が進められたグラウンド前駅は武蔵小杉駅となり、当初の武蔵小杉駅は廃止された。
 


1944(昭和19)年の武蔵小杉駅周辺状況


東急が当初目指していた、新丸子駅の乗降場を120メートルほど変えて裏口駅舎を新設し、武蔵小杉(もとグラウンド前)駅と連絡距離の短縮を図るという工事申請は、1945(昭和20)年に・・・

・戦時中は工事を実施してはならない
・戦時中は南武線との交差個所(『東京急行電鉄50年史』原文ママ)直上付近において、南武線と連絡できる簡易な設計に改めて駅の新設をすること

という条件付きで認可された。
戦時下という特殊な状況とはいえ、認可というより実質、「駅の新設」というまったく別の方法をとるよう命じられたともいえる。その結果、工業都市駅から442メートル、新丸子駅から422メートルという距離に東急は新たに武蔵小杉駅を開業させる。
 


1945(昭和20)年、歩行可能圏内に駅が新設された
 

あくまで仮設として開業した武蔵小杉駅(『東京急行電鉄50年史』より)
 

悪化する戦況の中の仮駅で上家もない(『東京急行電鉄50年史』より)

 


その後の駅の統廃合



戦後しばらく存続していた工業都市駅だったが、『東京急行電鉄50年史』によると1952(昭和27)年には工業都市駅を新丸子方面に261メートル移設して新たな駅をつくり、既設の武蔵小杉駅は廃止、工業都市駅と統合する工事がはじまったが駅名は「武蔵小杉駅」となった。

これが現在の武蔵小杉駅である。南武線との連絡の利便性を考えれば統合も駅名の選択も合理的な判断といえる。
 


新駅設置位置付近は谷間だったので、線路を高くする工事が行われた
(『東京急行電鉄50年史』より)


工業都市駅は戦時中の仮駅だった武蔵小杉駅と統合した。現在の武蔵小杉駅の半分は工業都市駅でできているのだ。
 


参照してきたGoogleマップも、やっと現在の位置関係にたどりついた

 


取材を終えて



東急の武蔵小杉駅の半分は工業都市駅でできている。そして、JR南武線の武蔵小杉駅の半分はグラウンド前駅でできている。
東急もJR南武線も、当初の武蔵小杉駅は現在とは違う場所にある違う駅だった。

そんな武蔵小杉駅に、さらに2010(平成22)年には、横須賀線の武蔵小杉駅も新設された。
「武蔵小杉」という駅名、本当は「武蔵濃すぎ」なのではないかという気すらしてくる、そんな幻の駅調査だった。
 

―終わり―
 

 

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  • ああ、もしやと思えば、ここにも青森県の記述が・・・

  • 小杉生まれ•育ちとしては、興味深い内容でした。南武鉄道の最初の武蔵小杉が、そのままなら自宅から至近の距離で、理想的な環境でしたが。

  • 何代か前の武蔵小杉駅の設計者を知っています。既に故人なのですが、利用者の不評も知りつつ「制約との折り合いが大変だった」とのことでした。

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