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横浜市内なのに市営バスの走ってない区があるのはどうして?

ココがキニナル!

横浜市営バスが瀬谷区、泉区、戸塚区、金沢区に走っていないのはなぜなのか調べて下さい/瀬谷区は横浜市なのに、どうして市営バスが通ってないのか知りたい(タッカーさん、ゴーヤさん)

はまれぽ調査結果!

多くのバス会社が路線を持つ横浜では、歴史の中でそれぞれのエリアがおおまかに決まっている。そのため、郊外部には市営バスの路線が少ないという事情があった!

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ライター:田中 大輔

実はされてるエリア分け!?



では、なぜ市営バスのない区があるのか。それも18区中3区だけ。
核心に迫っていくと、お二人は1枚の地図を見せながら話を聞かせてくれた。

お二人によれば、「横浜市には、我々のほかに主だったところで7社の民営バス会社があります」とのことで、これだけの数のバス事業者がしのぎを削っている都市は全国的にもあまりないそうだ。
 


京急もあるし
 

東急もあるし
 

神奈中だってある。これら以外にも数社が市内を走っている


つまり、どういうことかと言うと、それだけの事業者が入り組んでいると住み分けが進むか、仁義なき戦いが始まっちゃうかのどちらかというわけだ。
幸い横浜市内ではバス会社の住み分けが進み、お二人の言葉を借りると「歴史の中でそれぞれのエリアが形成されていった」のだそうだ。
 


横浜市内のバス事業エリアのイメージ図


この図はそのエリア分けを示したもので、市の中心部が市営バスエリアになっている。そこから郊外にいくに従い、混在エリアを経て各民営バスエリアとなっている様子が分かる。
明確に「ココからココまでがうちの領分!」と線引きしているわけではないが、おおまかな縄張りが決まっているというわけだ。

市営バスが横浜の中心部や臨港部に強いのは、1928(昭和3)年の運行開始当時、あるいはそれ以前の市電時代からの市域に路線が集中しているから。

逆に、市営バスの走っていない瀬谷、泉、栄の3区は、いわゆる郊外部で、1939(昭和14)年に戸塚区の一部として編入されるまでは鎌倉群だったこともあり、市営バスが入り込むよりも前に民営バス会社が基盤を築いていたというわけだ。

このエリア分けこそが市内に市営バスの走っていない区が存在する理由で、平たく言うと民営バス会社の路線が充実している場所には市営バスの路線が作られないということなのだ。



瀬谷、栄にもかつては市営バスが



しかし、郊外部にまったく市営バスがないかと言うと、そういうわけでもない。

象徴的な例は、港北ニュータウンの南側だ。
市の六大事業のひとつしてニュータウンの開発が進められるに当たり、事業とリンクしながら市営バスの路線を伸ばしたため、あの辺りには市営バスの路線が今でも生きている。
 


このセンター南駅より南側には市営バスが走っている


これはバス事業者であると同時に市の一局でもある交通局ならではの出来事で、ビジネス的な観点とは別の側面から生み出された路線とも言える。

ただ、それでもやはり郊外部は民営バスが強いというのが基本。
実は、瀬谷区と栄区にはかつては路線が敷かれていたのだが、現在では民間事業者に譲渡されている。これは、2003(平成15)年に市が設けた有識者組織「市営交通事業あり方検討委員会」での議論を受けてのものだ。

当時、経営が芳しくなかった市営バスの路線計画を見直す目的で、設置翌年の2004(平成16)年に「民間事業者と重複している路線から市営バスが撤退すべし」という答申が出された。
 


現在、栄区の本郷台駅を通る神奈中バス138系統はもともとは市営バスとの競合路線だった


これを受けて、交通局は21の路線を移譲対象としてピックアップ。
そのうち、上の写真の本郷台駅(栄区)から港南台や上大岡を結ぶ路線や、三ツ境駅(瀬谷区)から若葉台中央へ向かう路線など、17路線が民間事業者に移譲されたという。
その結果として瀬谷区と栄区から路線がなくなり、市営バスの姿が区内から消えたのだそうだ。

これ以降、もともと路線のなかった泉区と合わせて3つの区で、市営バスのない状態が続いている、という現在の図式が出来上がったというわけだ。



取材を終えて



「かつては事業者同士で競争もありましたが、現在ではそれぞれのエリアでそれぞれの責任を果たすという機運が高い」とお二人は言う。

確かに、瀬谷区、栄区、泉区に市営バスはないが、その分は民間バス会社が頑張ってくれている。横浜市内ではわずかな例外を除き、市営も民営も運賃は同じだし、市営バスじゃないから損をするといったこともないだろう。

「無理に他社がいるところに路線を伸ばして共倒れというのが、いちばん良くない」とお二人が話すように、交通局には市営バスを18区全部で走らせるといった目標はない。

必要な場所に必要なバスを走らせて利用者の利便性を確保しながら、ビジネス面も考える。

このコンセプトは市営バスだけでなく、民営バスも同じはずだ。そのために生まれた市内のバス会社の住み分けは、多くのバス事業者が入り組む横浜ならではの光景と言えるものだったのだ。


―終わり―
 

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  • 市民税も支払っているのに、市営バスどころか市営地下鉄さえ走ってない。しかも藤沢の湘南台や次には川崎新百合ヶ丘に市営地下鉄を延ばすとのこと。だったらもう栄区は鎌倉市に戻してくれ。鎌倉市栄町として、いや「栄」ってダサいから名称も変更して鎌倉市本郷にでもして下さい!

  • 横浜市営バスはなぜか、川崎市に越境している路線もありますし、「市営」という名前が混乱の理由かもしれませんね。地下鉄が藤沢市に越境したりしているのを考えると、いずれ完全民営化が必要なのかもしれませんね。

  • 横浜市交通局は、横浜市の行政組織の中ではなく、1事業体です。それよりも横浜市に路線バスに関する行政権が無い事が不思議です。民間のバス会社に対しても横浜市は市民要望に対して行政指導をする機関が有りません。360万人の市民を抱える横浜市が市民生活に応じた行政指導をバス事業社に出来るようにすべきではないでしょうか。

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