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需要の読み違い? 賃貸部分の整備を取りやめた新市庁舎構想の詳細と現状は?

ココがキニナル!

横浜市の移転計画で民間賃貸部分の整備を取り止めるとか。賃貸収入は見込まず現市庁舎の賃貸も断念するので、その賃貸収入もない?理由は需要の読み違いのよう(ゆたかさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

賃貸予定だったフロアはオフィス用と商業用で、取りやめたのはオフィス用。市は理由を読み違えでなく「精査の結果」と説明。現市庁舎については白紙

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ライター:はまれぽ編集部

市民の負担は?



これまではシミュレーションの変更点を見てきたが、われわれ市民にとって最もキニナルのが、「新しい負担が生じるのでは」という点だろう。これについても中川担当課長にぶつけた。

2013(平成25)年に策定した基本構想では、新市庁舎への入居開始は事業年度9年目としており、建設費は約603億円(うち市債約457億円、一般財源146億円)。建設費とは別に、引っ越しによるシステム変更などに伴う一般財源負担は約251億円だった。
 


収支シミュレーション結果の比較(横浜市ホームページより)
<クリックして拡大>

 
先述のように現在、市役所機能は、本庁舎のほか20を超える民間ビルに分散しており、毎年20億円以上の賃借料を払っている。

その賃貸料と毎年の市債償還額の合計(約37億円)に対して、新市庁舎への移転後は、市が所有する建物・土地の賃貸収入、移転によって節約できる賃貸料、現市庁舎の維持管理費の合計(約40億円)が多いため、一般財源負担は「なし」とされていた。

さらに、毎年の収支の差額を積み上げると開業27年目(事業年度で35年目)には、その額が最初の9年間に一般財源として支出する251億円になる。

すなわち35年目で家賃を払い続けた場合の総支出金額と新市庁舎を立てた時の総支出額と同額になり、以降は新市庁舎を建てた場合の方が少ない支出で済むという試算になっていた。
 


市債返還までのシミュレーション(横浜市HPより)
<クリックして拡大>

 
新シミュレーションのパターン2ではオフィス床(1万6000平方メートル)を整備しないため、建物部分の総面積は減ったものの、消費税の増税などを理由に建設単価を引き上げたことなどによって、建設費が約10億円上昇して616億円となった。

このため、入居から市債償還完了までの29年間で新たに約90億円(年平均約3億1000万円)の一般財源負担が生じた。さらにオフィス床の賃料として見込んでいた年間約8億円の収入も無くなったため、一般財源相当額を改修するまでの期間が7年間延びた。

だが、中川担当課長は、毎年の建物の維持管理費と市債の償還額の合計と、建物・土地の賃貸収入とみなし収入の合計の関係について「基本構想と同様、収入の方が多いため、長期的にみれば実質的な負担は生じない」と説明している。



計画変更は需要の読み違い?



もう一つ投稿にある疑問、「需要の読み違い」についてはどうだろう。

市は2013(平成25)年度にデベロッパーなどからヒヤリングを実施。その結果、賃料については品川など東京都臨海部とほぼ同等であることが判明した。

賃貸部分については都心や羽田空港へのアクセス、リニアモーターカーの開業予定駅との兼ね合いから、横浜市以外に本社機能を置く企業の誘致には競合が多いと判断し、市内企業を入居させる案も出た。

しかし、不動産業者などから「行政が(企業の)市内転居を促すことは民間賃貸業への圧迫ではないか」、「空室になった場合(収入減)のリスクが大きい」との意見があった。
 


現在は都市型農業ドームがある移転候補地

 
これらを受け、市では「新市庁舎全体の規模を精査した結果、賃貸オフィス床を設けなくても計画に適合した建物になるため、収益を目的とした賃貸オフィス床は原則整備しない」ことを昨年11月27日の市会特別調査委員会で決めた。

このことから、市は「基本構想に基づいて、さまざまな意見を基にして精査した計画なので需要の読み違いというわけでない」と説明している。



現在の庁舎はどうなる?



さらに「現市庁舎の賃貸も断念する」という部分について尋ねた。
 


港町の現庁舎

 
結論から言うと、現市庁舎を賃貸するか否かについて、現段階では「全くの白紙状態」という。

中川担当課長によると、現市庁舎周辺の「港町地区」については「これまでの業務・商業機能に加えて、魅力ある立地特性を生かし、大学、文化・芸術・スポーツなどの新たな機能を導入することで、関内・関外地区全体の活性化やブランド力の向上を図る」との答え。
それであれば、「移転後の現市庁舎を改修したり解体したりして、建物と土地を民間に貸し出すという基本構想時の設定はおかしいのではないか」という意見も出る。

「パターン1」で、年間の賃貸収入は約11億円だが、このうち約2億円は新市庁舎に整備する商業施設の賃貸収入で、残り約9億円が港町地区(=現市庁舎)の土地・建物の賃貸収入ということになる。
 


「パターン1」のシミュレーション(横浜市HP)より
<クリックして拡大>

 
しかし、市が前提としている、賃貸活用を考慮しない「パターン2」では、9億円を「不確定なため除外」した。このことで、新市庁舎の商業施設を賃貸して得られる2億円と、みなし収入の合計額に対して新市庁舎の維持管理費と市債償還額の合計額が上回ることになる。

これらをまとめると、市が選択した「パターン2」の概要は以下の通りだ。

・入居開始から市債償還終了までの30年間の市債償還額の合計は約608億円となるが、これは仮に現市庁舎を利用し続ける場合は恒常的に支出しなければならない費用(民間ビルの賃料など、年間22億6800万円×30年分)約680億円より抑えられる。

・当初の一般財源負担額も含めた支出総額(新市庁舎の建設費、利息、維持管理費、計画修繕費など)と、仮に市庁舎を利用し続ける場合に恒常的に支出しなければならない費用(民間ビル賃借料と現市庁舎維持管理費などの合計=年間約25億2600万円)の総額との関係は、開業47年目で逆転する。

また、自治体の財政健全化の指標となり、自治体の収入に対する負債返済の割合を示す「実質公債費比率」への影響は平均0.3ポイントとなり、市は「基本構想と同じ比率であり、新シミュレーションが市の財政に影響を及ぼすものでない」としている。



取材を終えて



市の説明を要約すると「賃貸に住み続けるより新築したほうが将来的に安い」というもの。
特別委員会で林文子市長は「(2020年の)東京オリンピックまでには新市庁舎を完成させたい」との意向を示したが、そうなれば計画の前倒しや作業員の大量雇用などさらに費用が膨らむことも懸念される。
はまれぽでは今後も引き続き、市庁舎問題について注視し、随時レポートしていきたいと思う。

※役職は取材当時のもの


―終わり―
 

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  • 北仲は関内とMMとの結節点であるし横浜都心再生にとって市庁舎を置くことは意味が有る。賃貸床を設るのは新築費用の減価償却だけでなく民間事業所を集積させることで都心機能の強化という主目的があるはず。大手デベロッパーに所有してもらい市が入居する形態でもいいし、三セク運営でもいいと思う。ただ港町から移転するのなら関内の企業集積や老朽ビル新築といった再生計画を策定して欲い。オフィス需要は丸の内や渋谷の歴史が示すとおり民間が需要を創り上げてきた。市も大手デベロッパーと深く連携してほしい。東京都は予算を積み上げ港湾整備、都市計画道路整備、再開発事業を進めている。東京一極集中と地方疲弊や格差は益々進むだろう。横浜市が地方の均衡発展の先駆けとして都市再生することは意味が有る。都市機能も港湾も道路も脆弱では都市でなくなる。横浜市は民間大手や中央官庁との連携をもっと強化して先人が築いた横浜の骨格を守ってほしい。

  • 人件費などの高騰は計算に入っているのだろうか?寧ろ、オリンピック後まで建設を先延ばしにした方がいいのでは?

  • 市役所の機能が分散し、莫大な賃貸費用負担やそれに伴うコストは全て税金や市債などの借金である。この期に及んで新庁舎建設もやむを得ないのであれば致し方ないが、市民の理解が得られるよう情報公開はすべき。市政は市民のためのものであるからしても、移転するなら建設費やその他コスト削減や移転により収支が改善するよう図ってもらいたい。

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