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市営バスの「○○前でございます」という車内広告アナウンスって効果ある?

ココがキニナル!

市営バスで次の停留所のアナウンスがあった後に「○○前でございます」とか「○○へはこちらが便利です」などの広告が続くことがあります。採用する事業所の基準、広告料や広告効果は?(だいさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

交通局のさだめた広告審査基準によって法人または店舗などのある広告主が掲載可能。料金はバスの本数によって決定、広告主は効果を感じている。

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ライター:小方 サダオ

バス停の案内人、専属アナウンサーのキニナル素顔とは?

さらにアナウンスを担当している方について伺った。

「阿南貴恵(あなんたかえ)さんが、15年以上アナウンスを担当してもらっている専属アナウンサーです。『声が聞きやすい』と定評があります」とのこと。

テレビ・ラジオのパーソナリティーやレポーターを含め、講師などでも活躍されている、経験豊富な人である。仕事で市営バスに乗った際、運転手に「この声、私です」と言いそうになったという、お茶目なエピソードも。
 


専属アナウンサーの阿南さん




案内放送の将来とは?

案内放送の展望について聞くと、

「2年前、デジタル音声合成によるアナウンスの聞き取り具合のテストを、半年間バス内で実際に流し、行いました。すると『聞きづらい』という感想が多かった。テストで使用したのが聞き慣れない男性の声であったこと、バス内という密室空間であったことで違和感を感じたのかもしれませんが、肉声のアナウンサーが聞きやすかったと結果が出ました。しかし例えば『小児科の広告の場合は子供の声を使用する』など表現にバリエーションが広がるため、将来的には人工音声での案内を考えています。それでもアナウンサーを使わなくなる、ということではありません」とのこと。

丁寧に対応してくださった交通局の方々と高田さんにお礼を言って、交通局を後にした。
 


交通局事務所内の市営バスグッズ
 

事務所内の気の利いた案内板
 

横浜市営バスのマスコット・はまりんグッズ




バスの案内放送の広告主に直撃!その効果のほどは?

それではバスの案内放送で流されることの実感や広告効果とはどんなものなのだろう? 広告主に生の声を聞いてみた。

まずは本数が多いという25系統「保土ケ谷駅~横浜駅」に乗ってみた。しかし放送に耳をそばだてて聞いているのだが、バス停名は聞き取れるものの、つづく案内放送のすべての内容は聞き取りづらいことに気づいた。ブザー音や運転手のアナウンスなどが入るせいもある。もう少し音量が大きいと聞き取りやすい気もするのだが・・・。それでも聞き取れた内容から広告主を探して話を聞いてみた。
 


保土ケ谷駅、横浜駅間を走る、25系統


まずは「明神台(みょうじんだい)」の広告主、杉山神社の山下宮司にお話を伺った。
 


明神台のバス停


「この神社は表通りより奥まった場所に位置するので、参拝者のための道案内として役に立っています。参拝者には『バスの案内で流れるバス停で降りてください』と説明が簡単で、助かっています」と答えてくれた。
 


木々に囲まれた杉山神社
 

杉山神社の社殿


つづいて103系統「横浜駅前~本牧車庫前」に乗ってみる。しかし「伊勢佐木町」などにぎやかな地域を通るにもかかわらず、意外と案内放送は少なかった。
 


横浜駅前と根岸台間を走る103系統


「長者町1丁目」の広告主、「ナーシング・ホーム」を訪れた。
 


長者町1丁目のバス停


有料老人ホーム、ナーシング・ホームの青柳(あおやなぎ)さんは、「3年前のオープン当初、地元ラジオ局のCMや駅前の看板などさまざまな広告活動をしましたが、その中の一つとしてバスの案内広告を流すことを決めました。
 


ナーシング・ホーム


地元に密着したバスという乗り物の広告媒体に意味があると考えました。また、繰り返し流れるバスの案内放送には、『この名前どこかで聞いたね』という聴覚による刷り込み効果があるように思います」と答えてくれた。
 


バス道路沿いに建つ、ナーシング・ホーム


バス停の少し手前になるが、堂々としたその姿は、「長者町1丁目」のランドマーク的な存在にふさわしい。

さらに本数が多いという、104系に乗った。鶴見駅と新横浜駅間を結んでいる。
乗ってみると、予想以上に案内放送の回数が多い。
バスのアナウンスが流れるたびに、案内放送が多いことをひそかに喜んでいる筆者の姿は、周りから見ると気持ち悪いことであろう。
 


鶴見駅と新横浜間を結ぶ104系統


まずはバス停・佃野(つくの)でアナウンスされる、鶴見純福音教会の角和(かくわ)牧師に案内放送について伺った。
 


バス停・佃野
 

住宅地の中に静かにたたずむ鶴見純福音教会


この教会は、1953年(昭和28年)にスウェーデンからの女性宣教師によって建てられたとのこと。
 


鶴見純福音教会の礼拝室


角和牧師に案内放送を聞いて教会に来た人はいるか、と伺うと、

「今までに数名いらっしゃいます。5~6年前にここを訪れた女性は、バスの案内を聞いてこの教会を知った、とのことでした」と答えてくれた。バス内に流れる「心と心のふれあいの鶴見純福音教会は…」というわかりやすいフレーズは印象的で、耳に残るのだろう。
 
キニナルバスのアナウンスの音声はこちら
※音が出ます 

つづいて上末吉郵便局前でアナウンスされる「照繁(てるしげ)工務店」に話を伺った。
 


上末吉郵便局前のバス停


経理課長の内田さんは、

「バス会社の方から案内放送を薦められたのは、3~4年前です。私達の工務店は50年以上地域密着の店として続いていますが、ちょうどそのころ宣伝活動に力を入れようとしている時だったのでお願いすることにしました。さらに、広告料が安かったことも決め手になりました」とのこと。
 


照繁工務店・経理課長の内田さん


つづいて、地下ホールで作業中の同社社長に話を伺うと、「案内放送を流し始めたころ、『バスの放送を聞いて来た』という、飛び込みのお客様が見えたことがあります。ある事情で契約は流れてしまいましたが・・・」とのこと。

案内放送は公共交通機関であるバス内で流れるため、地域、地域外のどちらの利用客の耳にもとまる可能性を持っているといえよう。

さらに三ツ池公園北門(新横浜駅から鶴見駅に向かう側)のバス停の広告主である、「華リハビリ・デイサービス」の代表取締役・高田さんに話を伺った。
 


三池公園北門のバス停


「昨年、この会社を立ち上げたばかりの時、名前を知ってもらうにはどうしたらいいか、と考えていました。バス会社の方から、お誘いがありました。施設前を通る通行人に『何をやっているか外からはわからなかったけど、バスの案内で聞いて知った』という人がいました。また『バスの放送にのってるねぇー』など、地域の人達との話題になりますよ」と答えてくれた。

バス利用者の通行人にとっては、視覚と聴覚の両面によって施設を理解する効果を生んだようだ。
 


「華リハビリ・デイサービス」の代表取締役・高田さん
 


リハビリ体操を準備中の施設内


また「あのバスで流れる店だね」と地域の人との交流手段や話題作りとしても利用できるようだ。

つづいて駒岡車庫のバス停でアナウンスされる、スパ・リブールの山下さんに話を伺った。
 


バス停・駒岡車庫


「当施設がオープンしてから1年後に案内放送という広告手段を思いつきました。オープンから8年目に入りますが、コメント内容は変えていません。それは地域の人達への刷り込み効果を期待しているからで、同じもののほうが、効果が高いように思うからです」
 


天然温泉が自慢のスパ・リブール


広告料について伺うと、「私たちは鶴見駅から新横浜駅、新横浜から鶴見の両線とも広告を入れていますが、料金はそんなに高くないと思います」とのこと。

前出の工務店もそうだが、広告媒体として料金がリーズナブル、という意見が多く聞かれる。

最後に旭広告社の高田さんに紹介してもらった、バス停「根岸駅前」の広告主、「AB薬局」の店長・小尾(おび)さんに話を伺った。案内放送では『どちらの処方箋もお受けします。AB薬局は駅隣2階にございます』とアナウンスされる。
 


根岸駅前に停車中の78系統・磯子駅行


案内放送を始めたきっかけを伺うと、
「以前はバスの後部の看板に広告を出していましたがあまり効果がないように感じていました。そこで『アナウンススペースが空きました』との広告代理店からのすすめで、案内放送をお願いすることにしました。当店は駅から見える位置にあるので、看板よりも耳に残る放送案内のほうが効果的なのかもしれません」と答えてくれた。
 


根岸駅前にあり目立つAB薬局の看板


広告効果に関して聞くと、
「放送案内を始めて今年で12年目になりますが、効果は感じています。まずは始めて間もなく、新規のお客様で『バスのアナウンスで聞いて、ずーっとどこにあるんだろう?』と思っていた、という人が来客しました。また年に一人くらいは『バスのアナウンスで気になった』ということをいう人はいます」とのこと。
 


ビルの2階にあるAB薬局


また

「新山下の『みなと赤十字病院』の患者はバスを利用する人が多いです。そこで病院で薬を買わなかった人が根岸駅で買いたいと思った時、アナウンスで流れる当店は良いタイミングで耳につきやすいかもしれません」と付け加えてくれた。

これからアナウンス内容を更新の際に変える気はあるか、について伺うと、

「問題はないので内容を変えるつもりはありません。また広告料も高くはないので、このままお願いするつもりです」とのこと。
 


店舗内には奇遇にもお客さんからもらったという“はまりんグッズ”が!




取材を終えて

案内放送は何度も聞く機会があるため、繰り返しの刷り込み効果が高いといえよう。またバス停の前にある店舗の場合、バス利用者に視覚的な宣伝ができているようなものなので、それを補う聴覚的な宣伝方法として効果的なのではないだろうか。

また公共交通機関であるバスのバス停のランドマーク的な存在となることは、地域への貢献度を重要視する「この町のお店」的印象をアピールしたい店舗にとって意味があるといえよう。

さらに広告料もお手頃ということで、自分の店舗をバス停の案内に載せてみるのも地域住民との話題作りによいのではないだろうか?
  

―終わり―
 

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  •  わざわざ宣伝効果のほどを調べに広告主を訪問したり、これほど丁寧に調査していただけるとは思わずとてもうれしいです。市バスの広告は派手でうるさいテレビのcmなどとは違い、地味でささやかなものですが、地域密着、生活密着で好感の持てるものだと感じました。調査お疲れ様でした。

  • 以前は「○○入口でございます」っていうアナウンスがありましたが、あれは違和感がありました。たぶん「○○はこちらがご便利です」に変えたんですね。少しずつ良くなって来てるんですね。

  • 日本で有数の乗降客数がある駅構内に広告を出しませんかと言う宣伝メールが来た時、駅の柱に貼る看板で年間500万円前後と書かれてました。通り過ぎるだけで見られないことが多い看板より、地元密着で年間50万前後の音声放送ならお得感があるなと感じました。

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