横浜市のいじめ対策はどうなっているの?
ココがキニナル!
大津市のいじめ問題、横浜市や横浜市教育委員会はどう考えているのでしょう。同じようなことが横浜で起きたときにどういう対応をするのかとてもキニナル!(濱のホタルさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
2013年に独自で策定した「いじめ防止基本方針」を根幹に未然防止策を実施。児童支援専任教諭制度を活用するなど早期発見・解決を目指している
ライター:藤井 涼子
横浜市が行う「いじめ防止」対策とは?
横浜市の基本的ないじめ防止策は、前述の「横浜市いじめ防止基本方針」に定められている。
その内容は、
第一章 いじめ防止等のための対策の基本的な考え方(いじめの定義や、市、学校、保護者、子ども、市民・事業者・関係機関、それぞれに対し、いじめ防止に向けた方針)を定め、実施する。
第二章 いじめ防止等のために横浜市が実施する施策
第三章 いじめ防止等のために学校が実施すべき施策
第四章 重大事態への対処
となっている。
第二章に、実際にいじめが起きた場合の対応について細かく記載。いじめに対する措置や学校の指導のあり方、警察への通報・相談による対応についても項目別に説明されている。
同法では、学校ごとに「いじめ防止基本方針」の策定を義務付けているが、現在の横浜市内の小中学校ではすべての学校が策定を完了しているとのこと。
「国の法律、横浜市や学校の基本方針が完成したからといって、いじめが無くなるわけではない。どう活用するか、それをいかに実行していくかが、最も重要なんです」と片山さん。
「いじめの『未然防止』目指します」
「いじめの未然防止」と「普段から、いじめを起こさない風土づくり」に非常に力を入れている、というのが横浜市の特徴的な取り組みとのこと。
いじめの問題を学校だけで抱え込むのではなく、家庭、地域を巻き込んで社会全体で取り組んでいく、ということを総括しているのが「横浜市いじめ防止基本方針」となっているということだそう。
保護者がいじめに気付けるような啓発を進めたり、子どもたち自身のいじめ根絶への意識づけなども行っている。
保護者に対して配られるリーフレット
学校が保護者向けのリーフレットには、子どもが出すサインのチェックリストやいじめに気付いたときの対処法、家庭での取り組み方や、学校以外のいじめに関する相談窓口が掲載されている。
いじめ未然防止のための具体的な活動とは?
子どもたちが、いじめを自らの課題ととらえ、主体的に取り組むことが必要だとの考えから、昨年数回にわたり市が主催する「横浜こども会議」が開催された。
小学生と中学生、高校生が主体となり、いじめ根絶についてテーマに沿って話し合い、行動につなげていくことを目標とした。
会議後、その内容が書かれた広報紙を作成。横浜市立学校28万人の全児童生徒に配布された
会議に参加した子どもからは「会議に来る前は、いじめられている人を見ても声をかける勇気はありませんでした。でも今なら声をかけずにはいられません。私は『だめなことはだめと言わなければ』という言葉を元に、学校でいじめをなくす活動をしていきたいと思いました」という感想があった。
「横浜こども会議」は今年度も同様に開催され、今後も続けていく予定だそう。
今年度も多くの子どもたちが参加し、積極的な意見交換が行われた
また、すべての小学校に配置されている「児童支援専任教諭」の存在もいじめの問題の防止や解決に有効に機能し始めている。
全国でも初めての試みという「児童支援専任教諭」について、以前にはまれぽでも取材させていただいた。
いじめ解決の一翼を担う「児童支援専任教諭」(写真は過去記事より)
2010(平成22)年度から段階的に配置され、本年度には市内に351校あるすべての小学校に配置が完了した。
児童支援専任教諭の存在により、子どもたちが相談しやすい環境ができるということと同時に、クラス担任を持つ先生たちにとっても、クラスの問題を一人で抱え込まず、組織的に問題解決を行いやすいというメリットがあるとのこと。そのため、いじめの早期発見、早期対応につながっている。
先に示した横浜市内のいじめ認知件数が、2013(平成25)年から急に増加した要因のひとつが、この児童支援専任教諭の設置だと考えられている。