本牧の夜のディープなスポットはどこ?
ココがキニナル!
本牧の深夜営業の酒場って、どんな感じ?(brooksさん)、本牧のアロハカフェが歴史に幕を下ろすそう。(zionzion)、ハワイ風カフェの元祖『アロハカフェ』のその後は?(おとうさん)
はまれぽ調査結果!
1976年開店のアロハカフェは2014年4月一時閉店。同年12月移転し再オープン!深夜営業のバーは個性派ぞろいでフレンドリーな雰囲気の店も多い
ライター:大和田 敏子
アロハカフェ誕生の秘密に迫る! IG八木さんにお話を伺う
アロハカフェで楽しんだ後は、やはり、当初の店のオープン時の話を聞きたい!
そこで、IG(イタリアンガーデン)の八木さんにお話を伺いに行くことに。
IGの店先に以前はなかったリースがあった。毎年12月と1月限定だという
今から40年ほど前、八木さんは元町でジーンズや古着を扱う洋品店とメーカーの仕事をしていた。原宿の有名店なども含めて、月7000本くらいのジーンズを全国に発送するなど超多忙な生活をしていたそう。夜中の2時くらいにやっと仕事が終わると、一杯飲みたい時間・・・。けれども、八木さんも一緒に仕事をしていた社長もお酒が飲めない。
「この時間に、お茶を飲んでケーキが食べられる店があれば・・・」と話している中「それなら、自分たちで作ってしまおう!」となった。それが「アロハカフェ」だ。
アロハカフェのことをたくさん話してくれた八木さん
小港町にある倉庫だった建物を発見。天井が高くてドアが大きく、ここを店にしたら、きっと気分がいいに違いないと思ったそう。
店のイメージは、初代社長がフィリピンに遊びに行った時に目にした海の家のような店。「アロハカフェ」という名の通り、ハワイ風の店なのだが、壁に葭簀(よしず)が貼ってある海の家のような感じも出した。店は、大工さん1人と八木さんと社長、アルバイト2人で、全て手作り。フィリピンから中古のテーブルや家具を買いつけ、オープンまでこぎつけたのだそう。
天井の高さを生かした店内(画像提供:アロハカフェ)
写真は今から10年ほど前のものだが、開店当時の店の雰囲気の名残りがある。カウンター上のランプ、ビリヤード台、ランプは現在の店にも引き継がれている。
40年ほど前の本牧は、東京からも人が集まってあふれかえり、多くの米兵たちが遊んでいた全盛期から、やや下火になった感じのころ。・・・とは言っても、今と比べれば、随分にぎわっていたという。
本牧ミッドナイト・ウォーキングとして紹介されたマップ(『タウン誌 浜っ子 1983〈昭和58〉年』より)
当時の本牧の雰囲気を無視して「アロハカフェ」はネオンをたくさんつけ、店の中にヤシの木があるようなトロピカルなデコレーションをし、今までになかった店にした。
アロハカフェ外観(一部)(『タウン誌 浜っ子 1988〈昭和63〉年』より)
アメリカンなメニューが多く、横長のパンにハンバーグをはさんだ「アロハバーガー」を目玉にした。
アロハバーガー(画像提供:アロハカフェ)
当初は、派手すぎて受け入れられず、何の店かわからないと言われたりして、全然、客が入らなかったそう。
そこで、以前、飲食店に勤めていた経験がある八木さんが店長になり、フロアに立つことにした。洋服の仕事を通じて知り合った東京の知人が次々に仲間を連れて来店するようになった。その中にはマガジンハウスの編集者、六本木のディスコの店長などもいたとか。3ヶ月ほどで繁盛店になった。
アロハカフェは「元祖カフェバー」と言われるが、八木さんたちは「カフェ」をやっているつもりだったそうで「カフェバー」と名付けたのはマスコミの方。マガジンハウスの『ポパイ(POPEYE)』など多くの雑誌で紹介され、さらに人気が高まり、店の前に行列ができるほどだったという。
アロハカフェのビリヤード台(『タウン誌 浜っ子 1985〈昭和60〉年』より)
ビリヤード台は、欧米のバーや遊び場に置いてあるのをまねて、オープン当初から置いていた。プールバーがブームになったのは、ずっと後のことだったそう。
『なんとなくクリスタル』(田中康夫著、1980年)の中で、主人公がアロハカフェに立ち寄る場面があることでも話題になり、映画化された時には撮影場所としても使われた。
1984(昭和59)年、八木さんはカフェ「ハビットハウス」をオープンさせ、独立し、アロハカフェを離れた。
お客さんと和やかに話している八木さん
その後は地元の人以外が店長になることが多く、うまくいかない時期もあったようだが、浮き沈みのある中でも『あぶない刑事』などのドラマロケにも度々使われるなど、話題を集めながら営業を続け、現在にいたっている。
深夜0時、本牧のバーをはしご!? スタイリシュな「本牧カナリアカフェ」
時間はすでに午前0時をとっくにまわっている。アロハカフェについての調査はひとまず終わったが「今日の取材は終了」とは行かなかった。実は、もう一つのキニナル「本牧で深夜営業しているバーの雰囲気を探る」というお題が残っている。
「本牧バー、はしごと行きましょう!」と、山岸の声が・・・。
午前0時半過ぎ。人影がない本牧通り・・・
寒い、さびしい・・・店はあるのか? 目指す店の地図を確認し、左折すると・・・
灯、見えてきました!
「本牧カナリアカフェ」に到着
入ってすぐテラス席が・・・、おしゃれな感じ!
「本牧カナリアカフェ」がオープンしたのは、2012(平成24)年。20年くらい前、別々のバーで働いていたオーナーのカナさん(吉澤佳奈さん)とバーテンダーのマサさん(平山雅之さん)が再会し、バーをやろうということになって始めた店と聞いて、思わず、「20年前? えっ、お歳は・・・?」とたずねてしまう。
マサさん、実は40歳を過ぎているのだそう。バーテンダー歴は20年以上
この場所に店を出したのは、グラフィックとwebのデザイナーをしているカナさんのオフィスが、ここの3階にあったことがきっかけ。なんと、この店はカナさんがデザインした店なのだそう。残念ながら取材当日は、カナさんは風邪でお休み。お会いできなかった。
カナさんのエプロン。きっとおしゃれな方ですね!
モニターでは『The World of GOLDEN EGGS』!
カウンターでは、常連さんが楽しげに飲んでました
テーブル席は落ち着いた雰囲気
インテリアが素敵!
入口から奥を見ると、こんな感じ
「canary cafe」と店名が入った奥は仕切りのようになっていて・・・
ゆったりとしたソファのある個室風です
ちなみに「canary」はカナさんのハンドルネーム。聖書の中で「カナ」は奇跡の場所というエピソードがあるそうで、この店が人と人の出会う奇跡の場所になればという思いがこもった店名だそう。
「人と人がぶつかって、人間らしく泣いたり笑ったりできる場所になれば」とマサさん。
店の名前が付いたカクテルを作ってもらいました!
カナリア(800円)。恋を呼ぶ石、アメジストをイメージしたジンベースのカクテル
情熱カナリア(850円)。紅茶とブランデーベース
このカクテルは日によって材料がそろわないこともあるので、通常メニューではないそう。
ちょっと甘みがあって、おいしい!
どちらも飲み口が良くおいしかった。けれども、アルコール度数は結構ありそうです。炭酸で割ってもらえるので、そういう飲み方もいいかも。
ここも四角いピザ(800円)です!
「今日はトリッパ(牛の胃袋の煮込み)があるので」とトリッパを乗せたピザを出していただく。生地がパリッと軽めで、この時間にまた、ピザはヤバイと思いつつ、どんどん手が伸びてしまう・・・。
マサさんは保土ケ谷出身。人生で初めてピザを食べたのは「本牧の四角いピザ」だったのだそう・・・。縁があったのですね。
フードメニューは豊富。手打ちの麺で作るラーメンは人気だとか
隣のお好み焼き屋さん「きんちゃん」から、お好み焼きを頼むこともできる。ご近所と仲良しな感じもいい!
地元のお客さんが多い店だが、最近はフェイスブックなどを見て遠くから来てくださるお客さんもいらっしゃるそうだ。
常連のお客さん楽しげな雰囲気に、去りがたい気持ちの中、次に向う店「ジェベルバーのマスターによろしく!」とマサさんに優しく声をかけていただき、店をあとにした。