南区にある一見廃墟のような自由すぎる外見の民家に突撃!
ココがキニナル!
南区に一見怖そうな民家があります。まるでクモの巣のようで恐ろしいです。中からたまに人が出てきたのを見かけたことがあるので、できれば住人の方にお話を聞いてきてください(ふんわりハミングさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
家の外周がロープで結ばれているのは、耐震などの補強の効果と、家を変わった外観にして人目に付くようにしたいというファッション的な意味がある。
ライター:小方 サダオ
住人に話を伺う
奇妙な外観にとまどいながらも、住人にお話を伺おうと、門を開けて呼び鈴を鳴らすが、応答がない。そこで扉を叩いたり、扉につけられた紐に鈴のつけられた呼び鈴を鳴らしたりするが、家の中からの返事はない。
扉につけられた呼び鈴(?)
板には「さとやま山小屋」と書かれている
そこで「留守なのかもしれない」とあきらめかけたがふたたび「すいません」と声をかけると「はい」という返事があった。
縁側の近くで作業中の山下さん
住人は窓を開けて、縁側の近くで座り作業をしていた。奇妙な外観の家の住人ということで怖い人を想像していたが、語り口がやさしい、まじめそうな印象の人であった。
そして名刺を渡すと「あーっ、ちゃんとした人なんですね」と安心した様子。縁側に置かれたソファに座ることをすすめられた。
さきほどからしつこく声をかけていた筆者に不安を感じていたようだ。
家の裏へとつながる門
家の周囲には、フライパン、レンガ、植木鉢などが雑然と置かれている
取材を申し込むと、意外なことに「喜んで」と受けてくれ、実名を出すことも承知してくれた。そこで山下金一(きんいち)さんに、まずは個性的な家の外観についてお話を伺った。
「この飾りつけは10年くらい前から始めたんだ。今はありきたりの家ばかりでしょ。見た目を変わったものにしようとしたんだよ」とのこと。
家から垂れ下がったロープが竹竿や木材で出来た門構えを支えている
なぜかスナック菓子の袋が下げられている
しかしこれらは、飾りの意味だけではない、という。
「これは大工さんが一人で作った1965(昭和40)年ごろの古い家だから、鉄骨が入ってなくて、強度が心配なんだ。本当は耐震工事をしたいんだよ。だけど一級建築士に頼んだりすると費用が大変でしょ。だから材木を買って素人なりに補強の柱を立てたりしてるんだ」
補強のために家の外周に立てられた木の棒や板がロープで結ばれている
「紐はファッションの意味もあるけれど、耐震補強用の柱を結んだり、塀と塀、塀と家をつないで強度を持たせたりするためのものなんだ。うちは瓦が重いからね。あと庭の上に張られたロープは2階から飛び降りた時にクッションになるかもしれないしね。家の中の天井に張られたロープも網棚代わりになって便利でしょ」とのこと。
家ベランダと木がロープで結ばれている
部屋の中の撮影をお願いすると、快諾してくれた。
部屋の中に張られたロープは天井が落ちた時の支えになるという
発見した絵に関して伺うと「それは僕が描いたものなんだ。昔はアーティストをやってたんだけど、上手くいかなくてね」と答えてくれた。
山下さんが描いた絵が飾られている
庭に吊り下げられた写真にも独特なセンスを感じる
天井にロープを張ることで網棚代わりになる、という
「あと家の強度が増すから、庭もコンクリートで固めたいんだよね。今は土だから、雨の日とか川ができてドロになって土が流れて陥没しちゃうんだよ。だから排水のための池や溝を作ったんだ」と答えてくれた。
家の外周は土のため強度が足りない、という
排水のために庭に掘ったという池
「どしゃさいがいたいさくのはいすいこうかんせい」
庭に溜まる水が家の外へと流れるようにつくられた排水溝
玄関の板に「やまごや」と書かれていることについて伺うと「家を山小屋風にしているからだよ。2階は手すりをとって、屋根の上で寝られるようにしたりしているんだ。山小屋とかは屋根の上で寝たり、布団を干したりするでしょ。また裏庭もキャンプファイヤーができるようにしているんだ」とのこと。
裏口のドアに書かれた「キャンプファイヤ」の文字
レンガ積みのかまどの上に鍋が置かれている
庭などに置かれているさまざまなものについて伺うと「これらはすべて粗大ゴミで捨てられていたのを拾ってきたんだよ。もったいないよね。傘もよく捨ててあるでしょ。それらをロープの上にかけていると下は濡れないでしょ」とのこと。
粗大ゴミで捨てられていたという、フライパンややかん
さまざまな本が並んだ棚に位牌が置かれている
通路の上のロープに引っかけられた傘