横浜から世界のなでしこジャパンも誕生? 横浜にある大学サッカーの事情を教えて!
ココがキニナル!
マリノス、横浜FC、YSCCと来年からJリーグのチームが増えますが、横浜の大学サッカー事情はどうなってるんですか?(yumaryoさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜市内の大学の男子サッカーは6校が活動しているが、二極化が進んでいる。女子サッカーでは3校が活躍し日本体育大学は全国制覇も達成。
ライター:三輪 大輔
神奈川の大学女子サッカー事情とは
「神奈川では女子サッカーも盛んに行われています。なでしこジャパンのメンバーには、神奈川出身の選手も多くいますね」
神奈川の女子サッカー事情について、そう話してくれたのは日本体育大学の女子サッカー部監督である矢野晴之助(やの・せいのすけ)さんである。ちなみに矢野さんは、2010(平成22)年の南アフリカワールドカップの代表であった矢野貴章(やの・きしょう)選手のお兄さんだ。
自身も小学校の3年生からサッカーを始め、オランダやドイツでそれぞれ1年ずつプレーしている。2005(平成17)年から日体大で指導するようになり、なでしこジャパンの川澄奈穂美(かわすみ・なほみ)選手が4年生のころはコーチをしていたそうだ。
その「なでしこジャパン」が優勝した2011(平成23)年のFIFA女子ワールドカップでは、21名のメンバー中、神奈川出身の選手は6名いた。また神奈川にゆかりのある9選手が県特別表彰を受賞し、横浜ゆかりの5選手にスポーツ栄誉賞が贈られている。
女子サッカー事情について解説してくれる矢野さん
「なでしこジャパンが優勝したことで、新たに女子サッカー部を創設する大学も増えています。現在、女子サッカー部のある横浜市内の大学は、日本体育大学(青葉区)と神奈川大学(神奈川区)の2校です。神奈川県下を含めると東海大学(平塚市)を加えた3校になります」
大学の女子サッカー部の主戦場も、30校の大学が参戦する「関東大学女子サッカーリーグ」になるそうだ。神奈川の大学では、1部リーグに日本体育大学と神奈川大学、2部リーグに東海大学が在籍している。リーグ戦の上位校には「インカレ」と呼ばれる全日本大学サッカー選手権大会の出場権が与えられ、全国一を目指することになるのは男子と同じだ。
関東大学女子サッカーリーグの所属チーム
ただU15までの世代と大学サッカーでは、全国でも屈指の強豪となる神奈川であるが、高校生の世代で問題があるという。
「大学では首都圏に強豪校が多いため、有望な選手が集まりやすいのですが、高校の強豪校は、兵庫、大阪、そして九州地方など首都圏以外にも多くあります。そのため県内の実力がある選手が、県外の高校に進学するケースもありますね」
県内では藤沢清流(藤沢市)、湘南学院(横須賀市)など女子サッカー部が強いチームはある。しかし、もっと上手くなりたいがために県外に人材が流出しているのも事実だ。そのため日本体育大学では、ある構想を実現しようとしている。
日本体育大学女子サッカー部の壮大なビジョンを語ってくれる矢野さん
「日本体育大学では『日体大SC横浜』というチームを作り、プロチームが加入している『なでしこリーグ』にも参戦しています。現在、なでしこリーグに参戦している大学の女子サッカーチームは、静岡産業大学(静岡)と吉備国際大学(岡山)、そして日本体育大学の3校だけです」
なでしこリーグは、10チームずつが参戦する1部リーグと2部リーグ、そしてそれぞれ6チームが参戦する東西のチャレンジリーグの3部構成だ。日本体育大学は、2部リーグに所属し、社会人チームを相手にして戦っている。
「なでしこリーグに参加する『日体大SC横浜』をトップチームにして、その下に各世代のチームが存在するピラミッド型の組織にしたいと考えています。現在、日体大では小中学生を対象にしたサッカースクールを行っていますが、こうした体制になることで全世代がトップレベルの練習をすることが可能です。遠くに行かなくてもサッカーのできる場所と指導がある。そうした環境を提供していきたいと思っています」
サッカーに対する多くの人の思いがあってチームは実現する
現在、高校生世代に関しても、日本体育大学の姉妹校で取り組みが始まっているそうだ。サッカーをしたい子が、しっかりと続けられる環境が着々と整えられていく。
最後に矢野さんは、将来のビジョンについて、このように話してくれた。
「『日体大SC横浜』の『横浜』の文字は、あえて入れました。横浜のチームとして地域に根付くことで、サッカーを通して地元に恩返しをしていきたいと考えています。将来的には、サッカー観戦専用の3000人規模のスタジアムを作りたいです。横浜がホームタウンの女子サッカーチームとして、日本一のクラブになれれば最高ですね」
監督室の前の掲示板に貼られた、選手の熱い気持ち