石川町のレトロな洋菓子店「アルプス」、話し出したら止まらない看板娘の「しずこばぁ~ちゃん」が作る絶品洋菓子の味は?
ココがキニナル!
石川町にある洋菓子「アルプス」の看板娘「しずこばぁ~ちゃん」に鳥の空揚げをもらいましたが絶品です。楽しいおばぁ~ちゃんなので、取材してください。(TAKAさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
創業49年の洋菓子の店・アルプスの看板娘、静子お婆ちゃんはお喋りと料理が大好き。取材に伺うと、あっという間に半日が経過してしまった。
ライター:細野 誠治
石川町で二人三脚のお店。そんなケーキは懐石料理
投稿には「話し出したら止まらない」とあった。本当にその通りだと思う。静子お婆ちゃん自身「私は話好きだから」と言って憚らない。
ここまで聞いてきて思うのは、辛いことも、楽しいことも分け隔てなく「話す」人なんだな、と。
話に人が出る、静子お婆ちゃんは「分け隔てない」素敵な人だと思う。
そんなことを思っているとお客さんがやってきた。
ご近所のTさん。月に数度、訪れるそうだ
Tさんはプリン・ア・ラ・モード(300円)を購入
取材していることを告げると「ここは美味いですよ。保証しますから」とTさん。そろそろアルプスのケーキをしっかりとレポートしなくちゃな。
静子お婆ちゃん、アルプスのオススメって何ですか?
「そりゃサバラン(マイヤーズ)よ」と。ひとつ300円
パン生地にラム酒に漬け込みカスタードクリームで仕上げた逸品。
いただくと・・・ぶわ~っとラム酒のいい匂い。ひたひたのパン生地が冷たくてジューシー、カスタードクリームは甘すぎずスッキリ。口のなかで嫌な残り方など一切なし、さっぱりする味わい。
美味いっす!
「ウチははじめ、バームクーヘンの店だったの」と静子お婆ちゃん。
「4年間、バームクーヘン作ってたんだけど、これじゃ食べていかれないと思って生もの(ケーキのこと)を売ることにしたの」
バームクーヘンを4年、生もの(ケーキ)の店として45年の歴史!
「大変なのよ、バームクーヘン。ぐるぐる回して作るんだけどね、夏は暑くて暑くて・・・。これはやってられないって(笑)」
—当時、売れ行きはどうだったんです?
「あのころはね、何を売ってもよく売れたのよ」
昔ながらの苺のショートケーキは300円
ガトーショコラは350円
レアチーズケーキは330円
静子お婆ちゃんが言うところの「生もの」、ケーキ販売を始めて45年。昔は子どもの数が多く、忙しかったそうだ。
「今はぼちぼち、よ」と静子お婆ちゃん。
カステラの端切れをいただく。濃厚なバターの香りがすごい
細野的オススメはレアチーズケーキ!
厳選した無塩チーズにレモン果汁でスキッとさっぱり。舌でとろけるレアチーズがタマラン美味しさ。
サバラン、カステラの端切れ、レアチーズケーキ(欠けたクッキーもいただいた)と食べてきての印象は、昔ながらの懐かしい味。
濃厚な味なのにキレがある。それに持ったとき、ずっしりと重い。今どきの「とにかく何でもフワフワ」とは一線を画している。
美味いなぁ・・・
「ウチのケーキはパティシエの範疇(はんちゅう)じゃないの。昔ながらのフランス式のケーキなの。パティシエはケーキを“料理”しちゃうでしょ? ケーキは“料理”しちゃ、駄目」
—駄目なんですか?
「ケーキはね、懐石料理なの。自然のものだけで作ってこそよ。香料も保存料も一切なし。パティシエさんたちはケーキを“料理”して高級なものにしちゃった。ウチはスタンダードなもの、普段に食べられるもの、ね」
「懐石」には、一時の空腹しのぎの軽い食事という意味がある
こんなケーキを45年間、旦那さんと二人三脚で作っている(旦那さんは取材NG)。
懐かしさの一端が見えた気がする。変わり続けてきて、いつの間にか慣れてしまった自分と、変わらない石川町のケーキ屋。
ケーキは懐石料理なの
そろそろ仕込みに戻らないと、と言う静子お婆ちゃん。
—あともう少しだけ! 料理がお好きで、得意なんですか?
「好きよ、料理。揚げ物とか、得意かな」
—キニナル投稿の方が、唐揚げが絶品だって・・・
「唐揚げはね、ニンニクを擦っちゃ駄目。肉に味がこびり付いちゃうから。細かく刻んで入れるの。あと生姜と長ネギ入れて漬けてね。それで揚げ油にチューブのラードを半分入れるといいのよ」
—そんな簡単に教えちゃっていいんですか?
「いいわよ。私は誰にでも教えてるし。店のケーキもね、作り方を教えてあげてるの。もう年だし、あと2年で店を閉めようと思ってるから」
跡継ぎはおらず、あと2年だとか
取材を終えて
「それじゃあ、ね」と静子お婆ちゃんが言って、店の奥へ消えていった。
午後一番に訪れたのに、気づけばもう夕方。投稿の通り、話の好きなお方だとよく分かる。
帰り際に「ネットに載ってお客さんが来ちゃったら困るわ」と言っていた静子お婆ちゃん。
「ぼちぼちの記事にしてね」と
終戦のもののない時代から今までを語っていただき、時にしんみり、ふっと笑い出したりと、とても楽しい取材でした。
そして最後に「今が一番、幸せかもね」と言った静子お婆ちゃんが印象に残りました。
皆さま、ケーキが昔ながらの味で美味しくて、気のおけない楽しい会話に華が咲く、面白いお店です。お近くの折にはぜひ一度、(ぼちぼちと)訪れてみてくださいませ!
—終わり—
※2015(平成27)年10月9日に閉店しました※
洋菓子の店 アルプス
住所/横浜市中区石川町3-108-4
電話/045-641-7231
営業時間/9:00~19:00(水曜定休)
PLUS・M
住所/横浜市中区石川町3-107
電話/045-664-3699
※近日オープン
ないとらいだーさん
2015年10月16日 14時39分
2015年10月9日をもって閉店となりました。寂しいですね
わいちゃん2さん
2015年08月21日 11時54分
サバラン好物なんですが、最近美味しいサバランを食べた事ないので、是非行きたいと思います。
カレン♪さん
2015年08月18日 20時44分
この記事を読んで初めアルプスさんに買いに行きました。静子さんではなくご主人が接客してくださいました。サバラン、レアチーズケーキ、プリンアラモードにモンブラン。こういう昔懐かしいケーキ屋さんがまだあったんですね。ショートケーキや他にも試したいケーキがあったのでまたお邪魔したいです。2年と言わずまだ続けてほしいですね。