横浜市内で一番敷地面積が広い学校ってどこ?
ココがキニナル!
横浜市内で一番敷地面積の広い学校はどこでしょうか? また、広さを生かした面白い取り組みなどもあれば知りたいです。(maniaさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
最も広いのは幼稚園から大学まで併設されている桐蔭学園で42万9000平方メートル。市立の学校も調査したが、いずれも特別な取り組みはないとのこと。
ライター:福原 麻実
公立校で最も敷地面積が広いのは?
私立だからこそ、といった印象の桐蔭学園。ほかでは得がたい学園生活を送れるのだろうな・・・と思う。
しかし一方で、大半の子どもたちが通うことになるのは、公立校であろう。
基本的に越境通学(義務教育において学区外から通学すること)でもしない限りはどこに通うかを選べないため、環境に大きな差を設けていないはずの公立の場合は、どんな感じなのだろう?
敷地面積が広いと、課外活動や部活動をする場所にも余裕があって、運動会や文化祭なんかの人が集まるイベントもやりやすそうだと思うが、そういう学校はどこだろう。そして、その学校では広さを生かした取り組みが行われているのだろうか。
横浜国立大学附属小学校(面積は約2万平方メートル)などの存在もあるため「学校」の定義に悩んだが、小学校、中学校、高校とすべて存在する横浜市立の小学校342校、中学校147校(いずれも分校含む)、高校8校に限定して調べることにした。
市立だけでもかなり多いのね、横浜の小中学校・・・(フリー素材より)
横浜市のウェブサイト内に、小中学校の児童・生徒数、クラス数、特別支援学級数、敷地面積の一覧表がある。
まずはそちらで、敷地面積の最も広い学校を確認した。
表によると、最も広いのは金沢区の金沢中学校で、4万2095平方メートル(横浜スタジアム約1.6個分)である。小学校は泉区にある中田小学校で、2万7881平方メートル(横浜スタジアム約1個分)だ。
ここが市立で一番広い小学校である中田小学校
市営地下鉄ブルーラインの中田駅近く
パノラマ写真。広さが伝わるだろうか・・・
中田小学校の2015(平成27)年度の児童数は806人。泉区では最も多いが、市全体で見れば少し多いくらいだろうか。ちなみに市内で児童数が最も多いのは都筑区の都田西小学校で、1126人である。
中田小学校では何か広さを生かした取り組みが行われているのだろうか? 問い合わせたところ「校庭の周りに走れるところがありまして、体力づくりのためにそこを走ったりはしております」とのことだった。特別なことをしているわけではないが、敷地面積を活用しているようだ。
続いて金沢中学校は・・・
こちらが市立中学校の中で一番広い金沢中学校
地図上で見ても広い!
金沢中学校の生徒数は939人、市内147校中8番目に多い、大規模な学校である。一人当たりの面積は45.31平方メートル。市内の中学校の平均値が32.5平方メートルであることを考えればかなり広いほうといえるのではないだろうか。
ずいぶん広い中学校だが、こちらでは何か取り組みをしているのだろうか? しかしこちらも「広さを生かして行っている取り組みはありますか?」と問い合わせたところ「特にそういったこともしていませんよ」とのことだった。
市立高校の敷地面積を調査!
では、横浜市立高校8校の中で最も広い高校はどこだろう? 県立で最も広かったのは希望ヶ丘高等学校で6万2938平方メートル。しかし県立の小中学校はないので今回の調査は市立を対象としておく。
横浜市教育委員会の教育施設課に問い合わせたところ、市立高校では港南区の南高等学校が最も広く、その面積は5万5389平方メートル(横浜スタジアム約2個分)。県立を含めた横浜市の公立高校の中でも、二番目に広い(一番は6万2938平方メートルの県立希望ヶ丘高等学校)。
附属中学校との中高一貫校(写真は南高等学校ウェブサイトより)
こちらでは何か広さを生かした取り組みを行っているのだろうか? 問い合わせたところ「部活に使えるグラウンドが広いとか、学内に少し小高くなっている場所があるのですが、そこに小学生が授業の一環として遊びに来たりはしていますが、特別な取り組みはないですね」とのこと。
いずれの学校も敷地の広さを活用した特別な取り組みは行っていないようだったが、横浜市立の中学校単体で最も敷地面積が広いことと、タイミング良く小学生向けの学内見学が行われるという理由で、横浜市立金沢中学校を取材させていただいた。
校内に一歩足を踏み入れると・・・広い!
お話を聞かせてくださったのは、金沢中学校に着任されて4年目の山﨑健志(やまざき・たけし)校長。
この日は金沢中学校の生徒と、校区の小学6年生の交流会と学内見学があり、筆者も見学させていただいた。私立中学校へ入学するなどのケースを除けば、5つの小学校から集まった300人超の子どもたちが、来年4月に金沢中学校の生徒となる。
体育館は広いのか、普通なのか、よく分からず・・・
交流会は山﨑校長による挨拶から始まった。短い挨拶だったが、一番のお願いとして語られたのが「健康に気をつけるように」という言葉だったのが印象的だった。
合唱(曲目は「証」)
その後も集まった小学生たちは、生徒会によるクイズを楽しみ、合唱や選ばれた生徒によるスピーチを熱心に聴いていた。
30分弱の短い交流会だったが、温かく、小学生たちに楽しい中学生活を想像させるものだったと思う。
半年後に始まる彼らの中学生活が、素晴らしい3年間になりますように
校内はどうなっている?
山﨑校長に校内を案内していただいた。こちらの学校では、公立中学校では珍しく、4つもの音楽系の部がある。
まずは木琴部。木琴だけで部が成立するの? と驚いたが、50年以上の伝統がある部だという。
こちらは1年生。半年でこんなにできるようになるんだなあ※画像をクリックで動画再生
1年生も上手だと思っていたが、2年生は素人が聴いてもハイレベル※画像をクリックで動画再生
見学の小学生だけでなく筆者も、華やかな音色に聴き入ってしまう。
木琴部の顧問の先生は2人。いずれもマリンバの経験はないという。指導は時折OGやマリンバ奏者の方の協力を得ているが、ほぼ先輩から後輩に伝承するように行っているそうだ。
そのような環境だが、3年生14人は今年のTBSこども音楽コンクールで優秀賞を獲得。恵まれた環境の私立校も多い中、自分たちでここまでできたのだという事実は、彼女たちの誇りだろう。
続いて弦楽部。こちらも珍しい部だ。そしてこの日は先生が不在で生徒だけで合奏していた。
指揮がなくても見事にまとまるんだなあ
ピチカートの軽快な音に後ろ髪をひかれながら、さらに校内を見学させていただいた。
・・・あれ?
廊下、長っ!
ここが教室前の廊下。長さに驚いた。教室は9クラス分(うち1室は空き教室)並んでいるという。8クラスある1学年が、上下階に分かれることなく並ぶ。やっぱり広い。
そしてグラウンドへ
グラウンドも見学させていただいた。この広いグラウンドは横浜市立中学校総合体育大会の会場にもなるという。
約2万平方メートルのグラウンド。広い!
このグラウンドでボールを見失うのはイヤだなあ・・・
人の多さにも驚いたが、「これが日常」だそうだ。
ハンドボール、サッカー、野球、ソフトボール、陸上、軟式テニス、バレーボール、硬式テニス。これらの部がひとつのグラウンドで同時に練習を行っているのだという。
広さもだが、人が多い・・・
輝かしい成績を残す部が多いようで、校舎には垂れ幕が下がっていたが、山﨑校長は「賞とか勝つとか、そういうことだけが大事じゃないんですよ」と語る。
そして「やりたい子がいるから廃部にできない。部を存続させるために指導者の確保が難しい」と苦笑する顔に、少しほっこりした。山﨑校長にとって、運動部も文化部も、あくまで子どもたちの興味や熱意の受け皿なのだ。
生徒ひとりひとりに挨拶しながら見送る山﨑校長
教職員の思想や意図、生徒自身や保護者の思いによって、「良い学校」の定義は変わるし、山﨑校長も金沢中学校を「特別どうというわけではない」とおっしゃった。
広さを生かした取り組みを行っているわけでもないとのことだが、敢えて広い学校の「ほかにはない良さ」を探すとすれば「全員が同時に自分たちの活動を行うことができること」で、生徒たちが望めばそれが毎日できることが各部の成果に繋がっているのだろう。
取材を終えて
私立である桐蔭学園は、私立らしい特色のある学校のようだ。学内には設備が充実していて、生徒たちは学内のものを利用すれば、自分の知的好奇心をいくらでも満たすことができるという恵まれた環境にある。というより、そのために敷地面積がここまで広大なのだろう。
一方、公立校は、生徒たちが限られた環境の中で、自分達で校風を作り出していく。広さは、言ってみれば偶然の産物である。取材をさせていただいた金沢中学校も、広さに関しては特別に思えるし、生徒たちに恩恵もあるが、教員数や備品の維持などで悩んでいるという意味では、ごく普通の公立校だった。
活用するための環境を大人が整備するか、それを児童・生徒たちが活用するか、いずれかをしない限り、敷地面積の広さだけではあまり差は生まれないのだろうと思った。
―終わり―
参考サイト
横浜市立中田小学校
http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/es/nakada/
横浜市立金沢中学校
http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/jhs/kanazawa/
横浜市立南高等学校/附属中学校
http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/hs/minami/index.html
桐蔭学園
http://toin.ac.jp/
教育年報 平成26年度版
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/data_catalog/dataset/edu_20150917_001
横浜市教育委員会 平成27年度義務教育人口推計表
http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/gakku/jinkou/
ぎるこさん
2015年11月28日 18時56分
子供が横浜一、校庭が狭い学校と言われているところに通っているので少し羨ましく思いました。広さをはかる基準が、「横浜スタジアム」ってところがステキ。
ushinさん
2015年11月10日 00時45分
ゴルフ場買収した横浜国大じゃなかったのか・・・。「もし図に文字がなかったら、これが学校だとはなかなか気付かないのではないだろうか。」適当に説明書き換えたら、まるでテーマパークだな(笑)
ホトリコさん
2015年11月09日 12時35分
広くなくたって森にか困れた高台の小学校も、ブラスバンドで有名な中学校も、スギ花粉症の人には地獄だが杉の森が背景になった静かな高校も、出身校ヒイキもあるが、一番だったと思っています。