横浜市が小学校1年生から実施している英語教育って効果があるの?
ココがキニナル!
横浜市の小学校1年生からの英語教育は効果は?もっと遊ぶ時間があった方がいいのでは。英語科の免許のない先生が教えていると聞きます。遊びながら英語に慣れるといっても先生は負担では。(虹子さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
正式教科でないため免許は不要。講師は外国人なので現場の教諭は負担は感じていない。数字など明確なデータはないが、市は手ごたえを感じている
ライター:はまれぽ編集部
筆者は「英語の勉強」と聞くと、中学生のころ、辞書を片手にアルファベットを調べながら文法やら単語などと“格闘”していた苦い過去を思い出す。
結果、筆者の語学力は「英検準2級」(フリー画像より)
そのためか、必要に迫られて英語で話さなければならない場面に遭遇した時などは、いわゆる「教科書英語」になってしまい、相手に「Sorry, I don’t understand・・・」などと余計な気を遣わせてしまうことが多々ある。
こうした筆者のような声を知ってか知らずか、文部科学省は2011(平成23)年度から日本全国の小学校で「新学習指導要領」を実施。
「外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う」ことを目標に、5・6年生で年間35単位時間(1単位時間=45分)の「外国語活動」が必修化された。
新学習指導要領に基づく「外国語活動」のイメージはコミュニケーション重視
(文部科学省ホームページより)
2013(平成25)年10月には東京オリンピックと同じ2020年までに「外国語活動」でなく、国語や算数、体育などと同じ正式な「教科」に格上げし、対象も小学3年生からにするという方針を固めた。
「国際都市」横浜の取り組み
ここでキニナル横浜市の取り組みを聞くため、横浜市教育委員会指導企画課の平久(たいらひさし)担当課長をたずねた。
平担当課長(左)と鈴木薫・主任指導主事
横浜市では国の基準に先駆けて、早い段階から小学校児童への英語教育を実施してきたそう。
平担当課長によると、横浜市では小中学校9年間を通じた英語教育を実施するため、小学校での英語教育として「横浜国際コミュニケーション活動(YICA=Yokohama International Communication Activities)」という取り組みを行っている。
その一環として、1987(昭和62)年度から一部の小学校で、市が嘱託した非常勤の外国人講師(IUI=International Understanding Instructor)による「小学校国際理解教室」を開始。
IUIは、英語はもとより、日本語と国や地域によっては母国語が話せることが採用条件。今年度はアメリカ、ヨーロッパ、東南アジアなどから約100人が活躍している。
もともとは帰国子女教育として始めたものだが、多くの児童が英語に触れる機会を設けようと、1999(平成11)年度からは市内全343校で実施しており、対象となる児童も小学校1~6年生となる。
YICAについても規定がある横浜版学習指導要領
小学校段階でのYICAの目的は、文法や単語の詰めこみでなく、「コミュニケーション能力の基礎づくり」。1・2年生は英語に「ふれる・知る」、3・4年生は「楽しむ・興味を持つ」、5・6年生は「楽しむ・理解する」ことが狙いという。
IUIは1人で複数の学校を受け持ち、英語と母国語で、それぞれの文化や伝統を対話やゲームなどを通じて伝える。担当する学校は毎年変わるため、児童は6年間で6つの国や地域の外国人講師と触れることができ、多くの異文化を直接体験することができる。
市の英語教育の概要がわかったところで、投稿にあった疑問を聞いてみる。
まず英語科の免許については、「理解教室」は正式な「教科」ではないため、IUIのような講師や免許をもっていなくても教えることに問題はないという。
「英語科の免許がない先生が教えている」という点だが、YICAにおいて、学級担任はあくまでサポート役。授業時間はIUIのほか、AET(Assistant English Teacher=英語指導助手)という外国人講師が行う。
授業時間については、YICAは2010(平成22)年度から、小学校での英語の授業を1~4年生は年間20単位時間、5・6年生は国と同じ同35単位時間と定めている。小学校は長期休暇などを除くと授業を行うのは35週間程度なので、1.5週間に1単位時間増える計算になる。1年生については6時間目の授業を実施しているところは「ほとんどないのでは」ということだ。
4時間目が英語の授業。3年生以上になると6時間目も
この点について、平担当課長は「私見だが」と前置きしたうえで「この程度であれば、子どもたちの負担になるとは思っていない。遊ぶことはもちろん重要だが、YICAによって得られることも大きいはず」と話す。
とはいうものの、実際にどのような授業が行われて、現場の教諭はどう感じているのかも確認しなければならない。「授業風景を見て、現場の声も聴きたい」とお願いしたところ、神奈川区の神奈川小学校で行われる授業に鈴木主任指導主事が同行していただけることに。