超個性派横須賀B級グルメパン「ポテチパン」とは?
ココがキニナル!
横須賀のパン屋にはノリ塩のポテトチップとキャベツを挟んだポテチパンがある。中井パン店や浜田屋などにあった。ルーツは?いつから?マップも作って!給食や海上自衛隊でも提供されてる?(まさしさん/スさん)
はまれぽ調査結果!
ポテチパンが誕生したのは1970年代初頭。菓子問屋の依頼に応えて横須賀市内の老舗パン屋さんたちが考案したアイデアパンだった。
ライター:やまだ ひさえ
もう1軒の元祖といわれている、ワカフジベーカリー
中井パン店と並んでポテチパンで知られているのが、ワカフジべーカリーだ。
横須賀市舟倉(ふなぐら)にある(Googlemapより)
最寄駅は久里浜駅
ワカフジベーカリーは、京浜急行の「京急久里浜駅」とJR横須賀線の「久里浜駅」のどちらからでも歩いて行ける。
久里浜街道に面している
久里浜街道、国道134号線
駅を降りてから久里浜街道を京急の北久里浜駅に向かって10分ほど歩くと、ワカフジベーカリーが見えてくる。
ワカフジベーカリー。久里浜街道に面している
ワカフジベーカリーは、戦後まもなく創業した横須賀市内でも古くからあるパン屋さん。中井パン店とともに菓子問屋から余ったポテトチップを託されたパン屋さんの一つだ。
学校給食用のパンも手掛けており、市内では大きなパン屋さんとしても知られている。
横須賀市、三浦市、横浜市の学校にパンを提供している
店舗はおもいのほか、こぢんまり
裏に工場があり、販売用、給食用のパンを作っている
ワカフジベーカリーのポテチパンはどういうものなのか。
3代目の弓削力(ゆげ・つよし)さんが待っていてくれた。
3代目、弓削さん
弓削さんのお話では、きっかけは菓子問屋からの持ち込まれた余ったポテトチップ。
中井パン店で聞いたものと同じだ。
祖父の時代のことなので、こちらも詳しい経緯は分からないという。ただ、発売以来、人気商品として定着しているという。
ポテチパンは店内でも一番目立つ場所にある
ポテチパン1個124円(税抜)
同じポテチパンでも店によって個性がある。
まずパンの形。ワカフジベーカリーではドッグタイプを使っている。
キャベツはざく切り
キャベツは地元産のものを使用。包丁を使い、ざく切りにすることで歯応えのある口当たりにしている。さらに食感を楽しんでもらうために、キャベツの芯の柔らかい部分を細かく切って加えている。
オリジナルマヨネーズ
企業秘密のオリジナルマヨネーズに、塩、コショウを加え、キャベツをあえる。
メイン具材のポテトチップ
ポテトチップは「うす塩味」を使用。最後に加えて、混ぜる。
具材はスーパーなどで市販されている一般的なポテトチップとキャベツだけ。だが、ワカフジベーカリー伝統をの味付けをすることで見事に調和。素材の味を何倍にもグレードアップさせたポテチパンになる。
味の好みが二分されるワカフジベーカリーのポテチパン
ワカフジベーカリーのポテチパンは、好みが2分される。
ポテトパリッと派と、ポテトしっとり派だ。
パリッと派はポテトチップス本来の食感が好きな人に、しっとり派は具材の一体感を好む人に人気がある。お客さんは、好みの質感にポテトチップがなるよう自分で時間を調整しているらしい。最後のひと手間を自分で加えられるのも、ポテチパンの魅力の一つだ。
好みの違いだが、しっとりしたポテトチップは、茹でたジャガイモのような柔らか過ぎない独特な食感で癖になりそうな歯ごたえだ。味付け自体はさっぱりしているのに、ポテトチップのボリュームと中種で作られた甘めパンがマッチングした食べごたえがあるものに仕上がっている。
学校などにもパンを納入している
ワカフジベーカリーでは、学校給食用のパンも手掛けていると書いたが、横須賀市役所に問い合わせをしたところ、横須賀市で学校給食を行っているのは小学校だけ。しかし、残念なことに小学校の給食でポテチパンは作っていないとのことだった。
ただ、中学校や高校では昼食用のパンを販売しているので、その中にポテチパンがある可能性がある。ワカフジベーカリーに聞くと、横須賀市の中学校と高等学校、横浜市の高等学校でポテチパンの販売を行っているという。
横須賀市の中学校用のメニューにポテチパンが加えられている
ポテチパンを販売している横須賀市立横須賀総合高校
横須賀市内の高校では、私立横須賀総合高校、県立横須賀高校、私立湘南学院高校などで販売。
さらに、自衛隊の久里浜駐屯地でも販売されている。
久里浜の自衛隊駐屯地にも毎日納品している
ワカフジベーカリーでは、1日に店売りで50~100個。学校や自衛隊の駐屯地で合わせて300~400個。
ワカフジベーカリーのポテチパンは、毎日500個近くを売り上げる、不動の人気パンだ。
ワカフジベーカリー人気ナンバーワン
老舗の挑戦 パン市場はまだぶんてん
中井パン店のポテチパン再ブレークのきっかけとなったのが日本テレビの『秘密のケンミンSHOW』だと紹介したが、その番組を見てポテチパンの販売を決めた店がある。
横須賀市浦賀にある「パン市場はまだぶんてん」だ。
浦賀にある(Googlemapより)
京急の浦賀駅前
駅前に延びる浦賀ドック沿いの道の途中にある。
角を曲がる目印、浦賀警察署
浦賀警察署が見えたら、角を右折。路地の先に「パン市場はまだぶんてん」がある。
左手に駐車場がある
住宅街の路地。ほかに店のようなものはない。本当にここにパン屋さんがあるのかと心配になってきたころ、駐車場が見えてきて一安心。
カーブの右にあった。「パン市場はまだぶんてん」
カーブの目の前まで行かないと店を確認できない、という奥まった場所にある「パン市場はまだぶんてん」だが、京急の浦賀駅から歩いて10分かからない。ご近所の方はもちろんだが、車でわざわざ買いに来る客が多い人気店だ。
店内はいつもにぎわっている
オーナーの河西勝一(かさい・かついち)さん
実は「パン市場はまだぶんてん」は、店の外観や店内の様子からは想像が難しいほど歴史を重ねているパン屋さんだ。創業は1914(大正3)年。100年以上の歴史を誇っている。
しかし、店名がなぜに「ぶんてん」なのかというと、横須賀市には1893(明治26)年創業の浜田本店というパン屋さんがあり、初代がそこで修業していたため独立にあたり「浜田分店」としたそうだ。
ただ、浜田本店は、現在では、株式会社ハマダと社名を変更し、学校給食やスーパーなどのパンを販売する横須賀市でも有数の大手パンメーカーになっており、ポテチパンを作っているという話は聞かない。
100年を超える街の老舗パン屋さん
浦賀の地で創業した浜田分店は、大正、昭和、平成と浦賀の街とともに歩んできた街のパン屋さんだ。
歴史を感じさせてくれる広告
浦賀ドックが米軍に接収されたいたころは米兵の客も多かった
店の歴史はあるが、ポテチパンの歴史は、これまで取材した中で一番新しい。『秘密のケンミンSHOW』を見て作ったというだけあって、中井パンのスタイルを踏襲している。
中井パン店スタイルのポテチパン(1個120円・税抜)
ポテチパンをはじめ調理パンは、全てオープンスタイルになっているキッチンで作られる。在庫数を常に確認しながら補充していくので、出来立てが買えると好評だ。
出来立てを提供できる
ポテチパン担当の木村真理(きむら・まり)さん
ポテチパンの基本的な作り方や材料は、中井パン店と一緒だが野菜の切り方に個性がある。
キャベツは太めの千切り
ニンジンもキャベツに合わせて太い
ポテトチップは湖池屋の「のり塩」を使用
オリジナルマヨネーズであえる
「パン市場はまだぶんてん」のパンは、前日から発酵させた中種と、当日作ったストレート生地をミックスしたもの。熟成した粉の美味しさと、パン独得のふんわり感を味わえる。
千切りキャベツを使っているのでキャベツのシャキシャキ感はちょっと物足りない部分があるが、ポテトチップの味は、これまで食べた中で一番強かった。あっさり目でしつこくないので、サクッと食べられてしまう。
平日で25個、土・日曜で50個の限定販売