謎に包まれた学校? 防衛大学校を徹底取材! ~訓練とクラブ活動編~
ココがキニナル!
横須賀の防衛大学校。訓練として、遠泳、実弾射撃などもやってるそうで、普通の「大学」とは別世界な印象。実態が分からないので、ぜひ取材を(タロー先生さん)
はまれぽ調査結果!
幹部自衛官を養成するための防大。授業は将来、自衛官になったときに必要な講義や訓練が課せられる。目的意識を持った学生たちが多い
ライター:やまだ ひさえ
陸から海へ
校舎のある小原台のふもと、走水(はしりみず)にある海上訓練用の施設へ案内してもらった。
学校からは少し距離がある
防大・走水海上訓練場
防大から訓練場まで車でも10分近くかかるのだが、防大生たちは走水通用門という裏門を通り、徒歩10分ほどでやってくる。これも日頃の訓練のたまものなのだろう。
訓練場の沖は共通訓練の1つ、遠泳の訓練場になっている。
1学年は約8㎞の遠泳にトライする(提供:防衛大学校)
いきなり8㎞を泳がせるわけではない。入校時、水泳が苦手の学生は、まずはプールで訓練。徐々に距離を伸ばし、7月までに完泳に必要な力を身につける。
また、この訓練場には海上自衛官になるために必要な船や設備が整っている。
1・2学年が使う手漕ぎボート、カッター
カッターは、司令役を務める艇指揮1人、舵を取る艇長1人、漕ぎ手12人、予備2人の構成。基本操法に加え、指導法も学ぶ。
夏季定期訓練で3学年が使うヨット
エンジンも付いているが、セール(帆)を使っての基本操法を中心に学ぶ。
夏季定期訓練で4学年が使う機動艇
機動艇はエンジン付きの小型船。4学年になると自分たちで航路を計画し、横須賀沖まで巡航する。取材では、機動艇が出航する様子を見学させてもらえることになった。
出航前のブリーフィング
天候や波の状態、航行する船舶の情報など、航行上の注意が告げられる。ブリーフィングが終わると、いよいよ出航。ライフジャケットを装着し、乗船する。
現職の海上自衛官(左)がサポートする
計器、操舵、前方の安全確認、全て学生たちが行う
機動艇を出航させるとき、もっとも気を使うのが舫(もやい=船をつないでいるロープ)を離す瞬間だ。
2隻ならんで停泊している場合、船同士を舫でつないでいるため、タイミングが悪いと衝突させてしまう危険があるのだ。
慎重に舫をはずす
出航! 機動艇は東京湾に向け出航した
海上訓練場には、4学年が航行訓練をするためのシミュレーターがある。今回はスクリーンに投影した広島県江田島近海の映像で訓練を行う。
目の前に江田島の海が映し出される
操舵、エンジン、レーダーなどの操作を学ぶ
チャートも自分たちで記入
武器としてではない銃の使い方
防大には一般の学校の部活動にあたる「校友会(こうゆうかい)」がある。中でも防大を代表する校友会の一つであり、校外でも広く活躍するので人気が高いのが儀仗隊(ぎじょうたい)だ。
儀仗隊とは天皇や皇族、大臣、外国からの賓客につけられる儀仗兵で組織された部隊こと。防大の儀仗隊では、小銃を使った「ファンシードリル」を行っている。
ドリルとは軍事教練のこと。その教練をもとに演技を行うのが「ファンシードリル」だ。
儀仗隊顧問・山崎1等空尉
隊長の唐川光輝(からかわ・こうき)学生は、4学年。海上自衛官を目指している。
将来は人の役に立つ仕事がしたいと考えていたという唐川隊長
防大を志望したのは、儀仗隊のファンシードリルを見たから。「武器以外の銃の使い方があることに感動した」ことが大きな理由だ。
儀仗隊がドリルで使っているのは「M1ガーランド小銃」。第2次世界大戦や朝鮮戦争で米軍が使っていたものを警察予備隊に供与。1964(昭和39)年まで自衛隊が使っていたものだ。
重さ4.3kg。空包も発射可。旧式だが形の美しさから使われるようになった
1回の演技で使う弾は各自1発。練習が終わるたびに使用済みの薬きょうを回収
また、空包を使い演技をする隊員を「列員」、演奏を担当する隊員は「ドラム」と呼ばれている。
ドラム担当の隊員
一糸乱れぬパフォーマンスが展開される
空包発射直後。白煙がたなびく
練習中、突然、隊員たちが居住まいを正した。えっと思っていたら、午後5時15分、国旗降下の時間だった。
どこにいても、何をしていても国旗のある場所に向かって姿勢を正す
国旗降下後は、ドラムに合わせて練習再開。
空包とはいえ発射音はすさまじい。披露するときは事前に注意を促すアナウンスをするそうだ。
儀仗隊の正式なユニフォームを着用してのパフォーマンス(儀仗隊HPより)
正式なユニフォームを着用しての開校祭でのパフォーマンス (提供:防大)
一朝一夕で規律のとれた美しいパフォーマンスを披露することは不可能だ。毎日の練習に成果であることはもちろんだが、学生隊での規律ある集団生活と訓練課程、防大での学生生活の全てが集約、実を結んだ結果だ。
取材を終えて
防大の取材をしていて驚いたことがある。休憩時間や放課後、キャンパスでおしゃべりに興じている学生がいないということだ。
学生の本分は勉強。という言葉を再認識した学校訪問だった。
今回は動画をアップしたが、映像だと迫力は十分も伝わらないと思う。人気がある儀仗隊なだけに各地の自衛隊で演技を披露する機会も多い。
取材時点で確実に出演が決まっているのは、例年、11月に行われる「開校記念祭」で一般公開される。「開校記念祭」にはほかにも「観閲式(かんえつしき)」や防大名物にもなっている「棒倒し」などが行われる防大最大の行事の一つだ。
専用のHPもあるのでチェックし、ぜひ、迫力ある生のパフォーマンスや訓練の成果を堪能してほしい。
防大開校祭のよびもの、迫力満点の「棒倒し」 (同)
開校祭では「模擬戦」も行われる (同)
―終わりー
防衛大学校
住所/神奈川県 横須賀市 走水1-10-20
電話/046-841-3810
HP/http://www.mod.go.jp/nda/
儀仗隊HP/http://www.nda.ac.jp/ed/goh/TopPage.html
開校記念祭HP/http://www.nda.ac.jp/Festival/
柴犬さんさん
2017年08月08日 00時51分
日本版ウェストポイントで、ハートマン軍曹みたいな鬼教官がいるのかな?と思ってたけど、陸海空、全部一緒にいるんだね。空軍の人は敷地内で飛行機飛ばしてるのかな、、?一年生で8キロ遠泳とか、20キロ装備で10キロ行進とか、一年目がキツそうだ、、。座学中は寝ちゃいそう、、。