神奈川区と都筑区の認定歴史的建造物に指定された建物ってどんな建物?
ココがキニナル!
2018(平成30)年3月、新たに横浜市により指定された2件の認定歴史的建造物。指定理由と今後の活用・再生の方針は?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
白楽の「旧市原重治郎邸」と川和町の「中山恒三郎家店蔵及び書院」を認定。建設当時の様式が残る貴重な和風建築で、今後一般利用に向け整備される
ライター:はまれぽ編集部
もう1件、認定歴史的建造物に加わった、都筑区川和町の「中山恒三郎(なかやま・つねさぶろう)家店蔵及び書院」。
江戸時代からこの地に居を構えていた中山家は、初代中山恒三郎以来、醤油、タバコ、酒など幅広く問屋業を手がけていた。今回認定を受けた2軒の建物のうち、書院は1872(明治5)年に建てられ、店蔵はそれより古く築200年ほどの歴史があると推測されている。
屋根などに手が加えられているが、明治初期の建築様式をとどめる書院
店蔵は改造が少なく建築当初の姿をよく留めている
現在中山家の建物を引き継いでいるのは当主の中山健(なかやま・けん)さん。中山家のこの土地では今年まで川和保育園の移転工事が行われており、それに合わせて数年前から建物の配置が大きく変わってきたが、これらの移築や整備にずっと携わってきた。
地域の人々が気軽に集える場所にしたいという健さん
もともと客人をもてなす場でもあった書院は2年ほど前から手が加えられ、時折地元の人々に公開されてきた。
地元の豪商だった中山家では、戦前には当時の当主が菊の園芸家として知られ、「松林圃(しょうりんぽ)」の名がついた菊花壇で菊の花を鑑賞する宴がしばしば開かれていたことも。そうした歴史を踏まえ、これからもこの場所を地域コミュニティの核にできればという中山家の人々の思いが込められた再生プランになりそうだ。
松林圃にちなんで玄関には「松林庵」の額が掲げられている
伝統的な書院造の様式を色濃く残す座敷
中山家ゆかりの品々が額に掛けられている
横浜の生活史を伝える店蔵
また店舗や蔵の機能を持った店蔵は、事業家であった中山家の歴史を象徴する建物だ。建てられたばかりの江戸時代の様式をよく留め、屋内からは大量の生活雑貨や調度品、帳簿などが見つかっている。
およそ200年の歴史が詰まった店蔵内部
日用品や帳簿も今では貴重な資料
これらは近代横浜の生活史を記録する貴重な資料として、現在横浜開港資料館などに勤める専門家の手で調査と整理が進められている。まだ建物内に残っている未調査の資料も多く、それらの調査が完了したら店蔵も公開できるという。
店蔵の二階部分。むき出しの梁が当時の建築様式を伝える
壁面が黒いのは戦時中に空襲の標的にされないように黒く塗ったため
小規模な蔵(左)やレンガ造りの倉庫も補強工事を受けつつ現存している
中山家の土地は旧街道(現県道上麻生線)沿いの小高い丘の上にあり、緑あふれる良好な環境。調査が必要な店蔵の公開にはまだ時間がかかるが、長い歴史と豊かな自然に彩られた川和の古商家がどのように再生されるか注目だ。
敷地には保育園が隣接。歴史ある店蔵に見守られて子どもたちが育つ
取材を終えて
横浜の歴史的建造物というとモダンな西洋館のイメージが強いが、和風建築もこのように現存するものがあり、その価値も高いことがわかった。
今回指定を受けた2件のように、地域や住人の歴史をリアルに伝える建物がもっと脚光を浴び、現代に活用されればと思う。
―終わり―
じゅんぱぱさん
2018年04月29日 16時19分
毎日、白楽駅を利用してましたがずっと気になってました。わかってちょっとスッキリです。
ブラックポッシー2さん
2018年04月26日 07時35分
中山恒三郎商店は昭和の終わり頃に倒産したと記憶している。