防空壕できくらげ栽培?川崎市麻生区の秘密栽培所を訪ねてみた
ココがキニナル!
川崎市麻生区のきくらげを作っている防空壕がキニナル(ス さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
購入した土地でたまたま防空壕を発見。戦時中に掘られた防空壕跡を有効活用するために、きくらげ栽培は始められた。戦跡を後世に伝える遺構として残しながら、環境を活かした農業が行われている栽培所だ!
ライター:のなかあき子
快適空間で育つきくらげ
それでは、きくらげ栽培所に案内していただこう。階段で擁壁の上へ。防空壕への道は、通路も柵も整備されており安全だ。
小山さんの後を歩き、防空壕きくらげ工場へ!
コンクリートでがっちり補強されている
防空壕は高さ2.5メートル、奥行き13メートルとなかなか広い。中はひんやりしていて、快適な空間だ。栽培に適した温度は15〜20度、湿度は90%。水分も多く必要とするので、1日6度の水やりは欠かせない。きくらげの旬は夏だが、ここでは一年中栽培できるよう、冬はヒーターで加温しているという。
イッツアきくらげワールド!
ミストを炊いて壕内の湿度を保っている
黒いホースから1日6回水が出て、菌床を湿らせる
冬には地面にわたしたヒーターで加温する
きくらげは、芽が出るまでに約20日かかる。そこから収穫できるサイズになるまでは、1週間弱と早い。その後4〜5日おきに収穫でき、3ヶ月で菌床は弱って役目を終える。
赤ちゃんきくらげ(原基)。ぷっくりカワイイ!
芽が出てからこの状態までは、あっという間
外では、きくらげ作りに欠かせない菌床にナイフで切れ目を入れる作業が行われていた。そこから発菌し、赤ちゃんきくらげが出てくるという
かなりコツを要する作業だそうだ
新しい菌床を防空壕内に運ぶ
防空壕内には、菌床は常時約700個。3分の1づつ入れ替えていき、収穫は2日に1度、一度に約13〜14kg採れるという。JAセレサモスやららぽーと横浜の「わくわく広場」に出荷している。生のきくらげの人気は高く、出した分だけ売れてしまう。
「とにかく成長が早いので大変です。お正月やGWは、手伝ってくれる人には休んでもらいましたが、私は・・・そういえば休まずきくらげにはり付いてましたね」と小山さんは笑う。
疎開児童のための防空壕だった
防空壕を発見したときから「なぜ作られたのか」気になっていた小山さん。郷土資料や近所の人の話から、防空壕の並びにあったお寺「常念寺(じょうねんじ)」が学童疎開地だったことが判明した。当時川崎市街地に住んでいた小学校4〜5年生の女の子たちが、150人ほど疎開していたという記録はあるが、防空壕についての記録は残されていない。地域の人たちが「疎開してきた子どもたちのために旧日本兵が掘った」と証言しているという。
なぜ防空壕ができたのか。どんな子たちが、どこから疎開してきたのか。次々と生まれる疑問を、小山さんは調べ続けている。
「キニナル」を徹底的に追及する姿勢、私も見習わねばならない!
通学路になっている防空壕の前を、毎日数千人の子ども達が通るそうだが、改修工事の際の「防空壕」という看板を見て「防空壕ってなんだ?」と言っている子がいたという。戦争の遺構を残しておかないと、何があったか忘れられてしまう・・・と感じているそうだ。
掲示板があったのが、まさにその常念寺!
防空壕や戦争に関する資料を集めている
「防空壕」というネガティブな単語を含む商品名にしたのはなぜか、と聞かれることもあるそう。「購入する人が防空壕のことを気にかけて、さらにお家の人に話をすれば、私が防空壕を整備した意味が出てくると思うんです」と小山さん。ネーミンングには、防空壕という存在を「なかったことにしてはいけない」という思いが込められている。
取材後「防空壕きくらげ」をお土産にいただいた。小山さんオススメのレシピは、きくらげと卵のごま油炒めと、牛肉ときくらげの佃煮。お土産にいただいた「防空壕きくらげ」、歯ごたえ抜群で最高でした。
プリップリの「防空壕きくらげ」
美味しい上に、ビタミンDと食物繊維が豊富!
取材を終えて
戦後から74年経つが、今なお各所に残されている防空壕。「防空壕きくらげ」を育てている小山仁美さんは、戦争の爪痕を風化させず、かつ有効活用させるため、補修工事を経てきくらげの栽培所を整備した。採りたての生きくらげはプリプリの食感で最高!長い眠りから覚めた防空壕は、きくらげ栽培空間として再生していた。
-終わり-
取材協力
防空壕きくらげ生産所
電話/070-4202-8918
JAセレサ川崎 ファーマーズマーケット「セレサモス」
公式サイト/https://www.jaceresa.or.jp/agri/ceresamos
ナチュラルマンさん
2019年07月24日 14時16分
菌庄栽培か~!原木栽培は難しいのかな?ちなみに市販のキクラく、アラゲキケラゲ。アラゲキケラゲは意外や意外、街中に発生していますよ!ただ、農家さんの栽培物に比べたら小さい。ちなみに八王子は高尾山辺り、キクラゲの栽培が盛んです。高尾山だから天狗の耳とか。いやいや、黒川地区でキクラゲ栽培は良いですね!生キクラゲの刺身(茹でてお好みの味付け)、天ぷら最高!あ、TVKテレビの伊藤綾香こといっとちゃん、旬菜ナビにて取材しないかなあ?(笑)