世界でも鶴見川にだけ生息する「ヨコハマナガゴミムシ」とは?横浜固有種が絶滅の危機!
ココがキニナル!
世界中で鶴見川の河川敷にしか生息しないといわれる絶滅危惧種「ヨコハマナガゴミムシ」が気になります(だいさん/ナチュラルマンさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
ヨコハマナガゴミムシは鶴見川の一部の流域にしか生息していない虫! 現在の絶滅危惧ランクは「絶滅」「野生絶滅」に続く「絶滅危惧I類」、かつての絶滅危機を市民の声によって守られた虫だった!
ライター:すがた もえ子
高速道路の整備においても保全対策を実施
河川工事による保護活動に一段落がついたころ、今度は首都高速道路株式会社(以下、首都高)による工事エリアにヨコハマナガゴミムシの生息域が含まれることがわかった。
何度も危機に直面してきたヨコハマナガゴミムシ(画像提供:首都高速道路株式会社)
首都高では環境アセスメントに基づき、「固有種を保護する」という方向で動き、2002(平成14)年から2017(平成29)年度までヨコハマナガゴミムシの保全対策検討会を設置、活動を行ってきた。生息エリアを調査し、影響の小さい施工方法の検討を行った。また、工事のために失われてしまう生息地の代替地を確保して、そこにヨコハマナガゴミムシを放逐した。
生息調査のために仕掛けた罠の写真(画像提供:首都高速道路株式会社)
工事終了後の代替地の生息調査で、 ヨコハマナガゴミムシの生息・定着が 確認されたとのこと。
生息地は鶴見川流域
ヨコハマナガゴミムシが生息する鶴見川流域
すぐ近くを車が行き来し、交通量も多い。こんなに開発された環境のすぐそばに、絶滅危惧種の生息地があるとは驚きだ。生息地には柵が張り巡らされているが、柵がなくても近づけないほど周囲の植物が生い茂っていた。風が吹くと、群生した背の高い草がざわざわと音を立てる、そんな場所だ。
代替え地として用意された生息域の草むら
ヨコハマナガゴミムシはクズやアシなどの背の高い草が密集している場所を好み、一生のほとんどを土の中で生活する。そのため、はっきりした生息数は不明だが、その数は数百頭単位ほどではないかという話だ。
生息地を訪れてみたものの、希少性高い野生の絶滅危惧種には簡単に会うことはできなかった。その地域にしかいない固有種というものは、存在そのものが生き物の種類や土地の歴史であり、繁栄がわかる貴重なもの。今回取材したヨコハマナガゴミムシは、地球上で鶴見川流域にしか生息していない横浜固有種だった。
取材を終えて
ヨコハマナガゴミムシはレッドリストで「絶滅」「野生絶滅」の次に位置づけされる絶滅危惧Ⅰ類だ。最近では昆虫を採取して販売する人々の存在も脅威になっている。せっかく保護活動で守られたのに、今度は人間の乱獲で姿を消してしまう可能性がある。また、異常気象で生息地が水没してしまう可能性も少なくない。横浜の唯一の固有種が生き残っていけるように、今後も見守っていきたいと思う。
-終わり-
取材協力
神奈川県立生命の星・地球博物館
住所/神奈川県小田原市入生田499
電話/0465-21-1515
http://nh.kanagawa-museum.jp/
首都高速道路株式会社
https://www.shutoko.co.jp/