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横浜の港北ニュータウンに残る里山、都筑区「茅ヶ崎公園自然生態園」とは?

横浜の港北ニュータウンに残る里山、都筑区「茅ヶ崎公園自然生態園」とは?

ココがキニナル!

自然生態園という里山をそのまま保存・管理しているところがあります。土日祝日しか開いておらず入場は無料。ボランティアで運営しています。どのような方々に支えられているのでしょう(とりりさん)

はまれぽ調査結果!

茅ヶ崎公園自然生態園は、非営利団体のNPO法人によって運営されている自然体験施設。地域住民参加のさまざまな活動を通して、都市の中に奇跡のような里山の風景が守り続けられている。

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ライター:結城靖博

保全活動を終え、お楽しみのランチタイムへ!


 


田んぼの奥の小高い場所に目を向けると、暖かそうな煙が昇っていた
 

近づくと焼き芋をするための焚火を起こしているところだった
 

その先には、なにやら鍋を煮ている方々も
 

鍋の横では、美味そうな餅が焼けていた

 
赤木さんが、山のほうへ向かって「みなさ~ん、そろそろお芋を焼く時間ですよ~。一緒に焼きたい子どもたちはおいで~!」と大きな声を発する。
 


集まってきた子どもたちは・・・

 
「暑くて煙い」と文句を言いつつ芋を包んだアルミホイルを火中に投じる。
 


鍋の中身と餅は、合体してお雑煮に変身中

 
開園の9時から始まった保全活動は12時ごろ終了。そして、作業で疲れた参加者たちに、お待ちかねのランチタイムがやってきた。
 
 
 

参加者の方々の声を聞く


 
参加者の中には外国人の姿もあった。山から下りてきたその男性に声をかけてみた。
 


ドイツから来たという男性

 
10年ほど前に来日し、近所に住んでいるそうだ。お年は43歳。年に何回か子どもたちと生態園の活動に参加している。今日は9歳の長女と5歳の次男が一緒だが、ママと家で留守番中の11歳の長男も何度も来ているという。
幼い次男と繰り返し山を上り下りしていたので「大変だったでしょう」と訊くと、首を横に振って「木を運ぶのは楽しい」と笑った。「近くにこんな場所があるのは、とても贅沢なことです」とも。
 


お雑煮を食べる次男は、さっき片手で枝を担いでいた子だ
 

彼らと肩を並べて食事する若者にも話を聞く

 
一人で来ていた男性は、5年ほど前から多くて月に1回ほど参加。数ヶ月ぐらい間があくこともある。都心の会社に勤めているが、小学生のころから近所に住んでいるという。
「週末に自然の中で過ごすのが、とても気持ちいいんです」と穏やかに語っていた。
 


小学3年生の明るい男の子は両親と参加

 
彼の名はシンヤ君。自然生態園の知識にも長けている。「ここは昔の自然の一角をそのまま残しているんだよ」と教えてくれた。そういえばさっき熱心にモンドリを見ていたのも彼だ。「でも自然を残しても、結局はブルーギルとかが入ってきちゃうんだよ」と続ける。
隣のお父さんに訊くと、ここには今回で4回目ぐらいとか。昨年は苗植えから稲刈り、脱穀まで米作り体験に参加した。
「でも、田んぼの泥はすごく密度が濃くて、洗濯してもなかなか落ちないんです」と、お母さんがこぼす。「一度入るとなかなか抜け出せない泥なんだよ」とシンヤ君が補足。
 


筆者も一緒にお雑煮をいただく
 

焼餅が大正解。香ばしくて美味!

 
この餅は、みんなで育てた生態園のお米をついてできたものだ。
 


昨年の秋の「もちつき」イベント(写真提供:茅ヶ崎公園自然生態園)

 
よく見ると写っているのはシンヤ君ではないか。大活躍の元気な子だ。
 


焼き芋も焼けた。でも、ちょっと持つと熱い
 

シンヤ君は豪快にガブリ!
 

そして、半分に折って分けてくれた
 

サイズは小さいが金色に輝く

 
食べてみると、甘みの強いねっとり系で旨い!
スタッフによれば「紅あずま」という品種で、生態園の理事長の畑で採れた芋の中で、小さすぎて出荷できないものを分けてもらったという。
 


お芋を食べている老人にも話を伺う

 
75歳の男性は、川崎市宮前(みやまえ)区からほぼ毎回、自転車で40分かけて来る。親の介護で中断したこともあるが、もう通い始めて14年ほどだ。
「このまちが大好きだ」と言う。「30年ぐらい時間をかけて自然とのバランスをとりながらつくってきたところが素晴らしい」。かつて音楽関係の出版社で編集の仕事をされていたそうで、ニュータウン全体の良さを巧妙な口調で説いてくれた。
 


池の外来種駆除をしていた若者にも話を聞く

 
手前の男性が水辺回り担当スタッフの天野さん。現在、東京海洋大学大学院の修士課程1年で、淡水生物の研究をしている。大学2年のころから保全活動を実地で学ぶべく生態園の活動に関わっている。奥の男性は大学の先輩で今日は手伝いに来たそうだ。
「手を動かさないとわからないことがある。それに子どもたちとの触れ合いも楽しい」と天野さんは言う。子どもたちに知識を伝えることにやりがいを感じているようだ。

取材の後、彼らも食事の輪の中へ入っていった。
 
 
 

保全活動が終わっても赤木さんの仕事は終わらない


 
やがて参加者はめいめいマイペースで食事を終え、一人また一人と帰っていった。スタッフの仰々しい挨拶があるわけでもなく、各人が軽く声をかけ合って去っていく。
 


むしろそこに肩肘張らない集まりの親近感を覚えた

 
その後詰所に戻って、赤木さんから生態園について詳しく話を伺うことにする。
 


でも、詰所の前にはまだ参加者が何人も残っていた

 
子どもたちの目はいつしか駆除されたブルーギルとザリガニの入ったバケツに注がれる。
 


そこで、赤木さんの即席観察会が始まった

 
赤木さんはザリガニの雌雄の見分け方や、お腹の中の卵から生まれたばかりの赤ちゃんたちについて、子どもたちに丁寧に説明していく。

ちなみに夏は一日にザリガニが100匹ぐらい獲れるという。
また、5~10月には獲ってきたザリガニの累積数に応じて級位・段位を与えるイベント「ザリガニマスター」も開催。そんなときは一日で1000匹にもなる。
 


現在捕獲数トップの親子が4段に昇段したとき(写真提供:茅ヶ崎公園自然生態園)

 
捕獲した外来種生物は、干して粉にして田んぼの肥料にしたり、動物園や大学にエサや研究材料として提供するなど、なるべく無駄にしていない。