横浜駅西口はかつて資材置き場だったのか!?
ココがキニナル!
横浜駅西口タクシー乗り場あたりはかつて砂置き場だと年配の方から聞きますが、いまの繁栄ぶりからみると全く想像ができません。昔の写真などを見てみたいです。(ばらさまさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
正確な記録が残っているものでは、石炭や砂利の置き場だった時期があった! その後の急発展で今は面影ゼロ!
ライター:田中 大輔
戦前、初めて石炭置き場として使われる
最初に説明した通り、元々は石油会社の工場があったのだから、そのころは資材置き場としては使えない。
その環境を大きく変えたのが1923(大正12)年に起きた関東大震災だ。
石油工場はその際に大火事を起こし、建物は焼失してしまった。
周辺の家々も巻き込む大火災を目の当たりにした近隣住民は、再建に猛反対。結果的に現在の横浜駅周辺は空き地になってしまったのだ。
大都市の玄関にふさわしい立派な駅で、人も車も多い
ライジングサン石油の土地は1928(昭和3)年に3代目横浜駅の敷地の一部となるが、スタンダード社の土地は空き地のまま。
土地自体は社が所有し続けたが、なにに使うわけでもなく、岡田さんによれば「当時の新聞にも“大都市の玄関として恥ずかしい”と書かれています」というほど、荒れ放題の草っぱらになっていたそうだ。
広大な土地を持て余したスタンダード社は、その一部を貸したり切り売りすることを始める。また、東横電鉄(現在の東急電鉄)も線路用地として同社から土地を買っている。
戦前の横浜駅(右上)。右の複線は東京横浜電鉄(現・東急東横線) ※提供横浜市史資料室
当時の新聞を調べてみると、太平洋戦争が間近になったころに初めて資材置き場としての利用が確認できる。
昭和16年10月24日の神奈川県新聞(現:神奈川新聞)
土地の一部を借りた人が石炭の置き場として使っていたらしく、新聞記事では「こんなところを石炭置き場にして!」と非難する論調で書かれているそうだ。
列車からも見える位置だったらしく、そのためあまり歓迎されていなかったらしい。
ともあれ、これが記録にハッキリと残る中では初めての資材置き場としての利用だ。
戦中・戦後の管理と利用法は
スタンダード石油はアメリカの会社だったため、太平洋戦争が始まると、あの土地は敵性財産として国に徴発される。
ハッキリした資料が見つからなかったのだが、赤線の辺りが問題の土地と思われる
当時の大蔵省の管理下に入ったそうで、この間の土地の用途については、「都市ヨコハマ物語(田村明著/時事通信社刊)」という本に、実際は当時の日本海軍の資材置き場になっていたと書かれている。
岡田さんによれば、その頃は追剥(おいはぎ)が出るなど治安が悪く、交番の設置を要望する声が上がっていたそうだ。
今では活気にあふれている駅前。交番も2つある
やがて、終戦を迎えると、今度は米軍が土地を接収する。
「都市ヨコハマ物語」には、米軍の砂利置き場になっていて、高い位置にあった東横線の駅からはうずたかく積まれた砂利が見えたと記されている。キニナルにある“砂置き場”はこの時期のことかもしれない。
また、岡田さんによれば、終戦直後の航空写真には、相模鉄道の貨物の引き込み線らしきものが写っているそうだ。
元々、相鉄線は相模川の砂利の貨物輸送をやっていたので、その置き場に使っていた可能性もあるようだが、正確な記録は見当たらないとのことだった。
横浜一の繁華街の礎に
米軍の接収が解かれると、1951(昭和26)年11月に土地はスタンダード石油の手に戻る。
その土地を、横浜市との競合の末に相模鉄道が買い取り、1955(昭和30)年ごろを境に、開発が始まっていったんだそうだ。
最初に書いた通り、その後は一気に発展を遂げ、市内はおろか国内でも有数の繁華街へと成長していくことになる。
起工直後の西口前広場(撮影:長谷川和弘)
現在の横浜駅西口は、関東大震災から昭和30年代に相鉄が開発に着手するまでは、荒れ放題の空き地になっていたことが分かった。
その間に、石炭や砂利などの置き場として使われていたというのが、結論。資材置き場にするために空き地にしていたのではなく、空き地だったから資材を置いていた、というのが実情のようだ。
面影が一切残っていないのは、横浜が大都市に発展したことを示す証拠なのかもしれない。
―終わり―
ヨッチャンさん
2013年06月18日 20時35分
西口の高島屋のできる前は「ローラースケート場」でした。西口から平沼橋に行く道は暗くて大変怖い道中でした。ついでに五番街を出たところにあるビルに「寄席」がありました。
とうさんさん
2013年04月01日 18時41分
相鉄といえば昔は「じゃり鉄」「じゃりトロッコ」って言われて馬鹿にされたよなぁ…
ushinさん
2013年03月31日 16時45分
http://mapps.gsi.go.jp/contentsImage.do?specificationId=11993&dispType=3