馬車道・山下公園・港の見える丘公園・・・横浜の名所の緑を守り続けて120年以上続く老舗企業、「横浜植木」について教えて!
ココがキニナル!
南区にある「横浜植木」さん。創業120年にしてロンドンにも支店があった近代園芸の嚆矢、というのを見てびっくりしました。歴史などの詳細が知りたい。(katsuya30jpさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
1890年の創業直後から次々と海外へ販路を拡大、業界の先達として近代園芸の発展と国際交流に貢献。現在は総合園芸会社として多岐にわたる事業を展開
ライター:菱沼 真理奈
そして昭和・平成の時代へ
明治・大正期は海外事業で順調に成長してきた同社だが、次第に百合根や菖蒲などを扱う競合他社が増え、昭和に入ると業績が低迷する時期が続いた。そんな折、第2次世界大戦が勃発したことで、すべての海外支店・事業所を閉鎖する事態に至り、戦後はさらに業績が落ち込んでしまったという。
百合根の輸出年表。1938(昭和13)年以降、急激に落ち込んでいる
そこで同社は、以前より手がけてきた造園業に活路を見い出すべく、県内の進駐軍兵舎・将校住宅の芝生や植栽を管理するグリーンキーパー事業に着手。
60~70人の植木職人と英語を話せる社員(通訳係)が各トラックに乗り込み、本牧や磯子、横須賀の進駐軍を回って庭の手入れを一手に担った。また、米陸海軍からクリスマスツリーの大量注文も毎年受けていたという。
「こうして多岐に渡る事業が互いに支え合い、その時代ごとのニーズを捉えてきたこと。そして、地元をはじめとする多くの方々にご支援いただいたからこそ、今の私たちがあるのだと思います」と話す有吉社長。
最後に心温まるこんなエピソードも語ってくださった。
1912(明治45・大正元)年、日本からワシントンのポトマック河畔に桜の苗木が贈られた。この苗木は横浜植木が出荷したもので、赤道を越える船旅で到着したにもかかわらず、1本たりとも苗木に痛みや病気がなかったため、アメリカの検査官も感嘆の声を上げたという。
多くの花見客で今もにぎわうワシントンのポトマック河畔
その返礼として、アメリカ政府はこれまでに計3000本のハナミズキを日本へ寄贈。2013(平成25)年には横浜市に100本のハナミズキが寄贈され、同社が指定管理する本牧山頂公園にて、日米の桜交流100周年記念の植樹式が行われた。
アメリカ大使・横浜市長が列席した本牧山頂公園での植樹式
こうして1世紀を経た現在も続く「フレンドシップ・ブロッサム」の日米交流。それは横浜植木なくしては実現しなかった社会事業であるとともに、同社だからこそ成し得た偉業だと言えるのではないだろうか。
日米の桜交流100周年記念のプレート
さらに、お楽しみの食レポートもお届け!
そして取材から数日後、筆者のもとに横浜植木の種苗から育てられた1玉のメロンが届いた。これは「雅(みやび)」という品種のアールスメロンで、毎年7~10月ごろにデパートやネットショップなどで販売されている同社の主力品種商品だ(平均価格は1個1500円~3000円程度。価格は等級や時期によって異なる)。
麗しの雅(みやび)ちゃん
先日の取材でこのメロンの存在を聞きつけた筆者。「ぜひ試食して食レポートでご紹介したいので、今どこで手に入るのか教えてほしい!」と詰め寄ったところ、有吉社長の特別なはからいで産地から取り寄せてくださったのだ。
しかも届いたのは、メロンの一大産地・茨城県鉾田市にあるJA茨城旭村産の「極(きわみ)」という最高ランク(最上等級)品! 直径約17cm・周径約50cm・重さ約1.8kgのビッグサイズで、糖度は16度以上。「雅」の中でも市場にほとんど出回らない超プレミアム級の極上メロンである。
メロンに貼られたQRコードで、品種・等級・検査日・糖度・生産者名・農薬や施肥情報が分かるようになっている
伝統工芸品のような緻密で美しい網目模様
最高ランクのプレミアム品を手配してくださった有吉社長のご厚意に感謝しつつ、まずは恐る恐る入刀! フワーッと広がる芳醇な香りとともに、淡いオレンジ色のみずみずしい果肉が姿を現した。艶やかに輝く果肉からはトロリとした果汁がしたたり、見ているだけで思わずヨダレが・・・。
切り口に現れたみずみずしい艶肌にうっとり
肉厚のボディにしたたるジューシーな果汁!
はやる気持ちを抑えて、その麗しい艶肌を写真に収め、いよいよお待ちかねの試食タイム。 「極」の名に敬意を込めて、ナイフで丁寧にカットしてからそっと口に運ぶ。
ありがたく、いただきます
「うわっ、あま~~い」と陳腐なコメントで申し訳ないが、とびきり濃厚な甘みはハイパーサプライズ級! これはもうフルーツというより贅沢なスイーツである。身がたっぷり詰まった肉厚のボディは、とろけるように滑らかでジュワッとジューシー。「さすがプレミアム!」とうなるプレシャスな味わいを、心ゆくまで堪能させていただいた。
これぞまさしく「横浜植木のスイートな偉業」と称えたくなる至福のメロン。大変ごちそうさまでした!
取材を終えて
創業時からいち早く海外進出を果たし、新たな園芸文化を開拓してきた横浜植木株式会社。その120年以上に渡る歴史の中で、進化を遂げながら脈々と受け継がれてきたもの。それは「開港と文明開化の地・横浜のDNA」なのだと感じさせられた。
世界に広く目を向けつつも、地元・横浜に密着した「グローバルな地域貢献企業」が息長く存在することを、同じ市民として嬉しく思うのは筆者だけではないだろう。
そして、横浜植木が生み出したスイートな逸品「雅」も、ぜひ一度味わってみていただきたい。ひと口食せば、きっと思わず笑顔がこぼれるはずだ。
―終わり―
横浜植木株式会社
ジバゴさん
2014年11月08日 00時05分
ポトマツクの桜移植計画はその前1910年に初めて行われましたが病害虫が発見されて全て焼却され計画失敗。 2回目は専門家や学者の協力を得て慎重な準備をして1912年に挑んだ結果大成功となったようです。
jellyfishさん
2014年11月04日 14時42分
横浜植木さんは自分もキニナっていたのでありがたい記事でした。(うちの庭も造ってもらった。) ところで、よっぽど美味しいんだろうけど、メロンの写真が6枚もあるんだけど(笑。 キニナル美女の写真を増やしてほしかった!
Tockyさん
2014年11月04日 10時05分
入社2年目、造園部の三橋果奈さんは美人ですね\(^o^)/今後のご活躍を期待致します!!