ロケーション・コーディネートの会社に話を伺う（つづき）
　

ドラマ『ようこそ、わが家へ』のセット（画像提供・フジテレビ）

「ジャニーズの嵐というアーティストに関連しては、以前、前・財務省の建物を再利用した、ZAIMカフェ（現在は閉店）においてPVのロケ地として使用する企画を当社で立てロケを行い、大成功しました。また前・財務省の建物の前の日本大通りは、TVCMなど撮影で使われる頻度は多く、世界一撮影で使われるロケ地としてギネスブックに載せられると思います」
　

日本大通りはロケ地としてよく使われる場所であるという

「さらに以前マドンナのミュージックビデオ『ジャンプ』の撮影地のコーディネイトを担当しました。東京と横浜で撮影を行ったのですが、東京の場面では許可を取らず行っていたので問題になり、成田山横浜別院など、ほとんど横浜の場面が使われていました」
　

マドンナのミュージックビデオのロケ地になった成田山横浜別院

「これからもロケ地として横浜の占める割合は多くなることでしょう」と答えてくれた。

「本牧バックロット」のこれからに関して伺うと「あの敷地には水道などライフラインが入っていませんので、それを整備すること、また倉庫や控え室もあると助かります」

「さらに当社では後世に残せるセットを作って行きたいと考えています。昭和20～50年代の街並みを再現した、常時使用できるパーマネントセット（半永久的なセット）を作る予定で、図案も完成しています。江戸や明治時代の住宅の図面は、書面上で残っていますが、昭和時代のものはなく、貴重なのです。これを『本牧バックロット』で実現できることを願っています」と答えてくれた。

　

昭和時代の町並みのパーマネントセットを作る予定だという（画像提供・フジテレビ）
　

本牧では撮影中でもないのに覗き込んでいる人たちを多く見かけ、注目の高さを感じた。
そのことに関して伺うと「それは認識していました。そのため今回のドラマ『ようこそ、わが家へ』の使用済みのセットを何とか見せてあげられないか、と思い、広報の方法などを考えていたのですが、すぐに次のセットの仕事が入り、叶いませんでした」と答えてくれた。
　

持田さんは今回のセットの一般公開を考えていたという（画像提供・フジテレビ）

また持田さんは、本牧に映像産業の集積地を作るという「横浜版ハリウッド構想」を持っている、という。そのことに関して伺うと「これは決して夢物語ではありません。韓国・香港などアジアにおいて映像産業は活発ですが、日本の持つ映像関連の技術は、きめ細やかで、ほかの国々と比べて勝っています」

「またそれを発展させる場所として、横浜はふさわしいと思います。東京の人たちの目から見ても、横浜という都市はカッコよく、聖地のように映っています。このブランディング力を使って、映像と音響産業の都市を作るのです。さらに横浜は『日本初』が多く、『日本初』を生み出すDNAを持っていると思います」と答えてくれた。
　

本牧に活気をもたらす可能性を持つ「本牧バックロット」（画像提供・フジテレビ）

ところで筆者は、「本牧に地下鉄が通らない理由の一つは、行政側がこの地域の採算が取れないと考えているからだ」といった記事を書いた、というと「本牧の住民の数は決まっていて動きそうもないため、市として採算の取れない路線と思われているのではないでしょうか？」

「しかしもし1万坪の敷地面積の撮影所が本格稼働を始めれば、24時間何十万人もの人たちが出入りします。そうなれば本牧に名所が誕生したことになり、地下鉄建設の推進力になるかもしれませんね」と答えてくれた。

本牧を映像と音響産業の都市にすることは、本牧の新たな名所づくりに貢献することになるだろう。

取材を終えて

本牧の一角が横浜のエンターティンメント産業の発信地となるかもしれない

―終わり―
　

取材協力
Pacific House
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