鶴見川流域センターの横にあるレーダーの秘密とは?
ココがキニナル!
新横浜の鶴見川流域センターの横にあるレーダーみたいなタワーはなんでしょうか?センターの建物にケーブルがつながっているように見えますが・・・(ぱなさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
正体は1基で南関東全域を網羅する雨量観測レーダだった。治水について学べる鶴見川流域センター敷地内で、国土交通省の管理のもと2010年年から試験運用中。
ライター:ほしば あずみ
そびえたつ鉄塔
「レーダみたいなタワー」があるという鶴見川流域センター。JR小机駅から徒歩7分ほどの距離にある。
実際に駅から歩いてみると、畑が広がる景色の中に遠く巨大な塔が立っているので、それを目印にたどりつくことができる。
遠くからも目印になる鉄塔。高さは約55m
鶴見川流域センターがある施設は入口に「国土交通省京浜河川事務所」と書かれている。一級河川のため管理は市や県ではなく、国の機関なのだ(国の直轄となるのは第三京浜から河口までの範囲。それより上流はそれぞれ流れている神奈川県や東京都の管理となる)。
一体この鉄塔の正体は何なのか、それを探る前に、そもそも鶴見川流域センターとは何なのだろうか。
まずは京浜河川事務所流域調整課の原さんと、センタースタッフの石川さんと二見さんに話を伺った。
お話しを伺った原さん(奥)、石川さん(左)、二見さん
流域を学ぼう
鶴見川流域センターは、「地域防災施設」という自然・治水・防災を親しみをもって学ぶ事ができる総合学習施設。
入口から一歩足を踏み入れると、床いっぱいに地図が広がっている。鶴見川流域の空撮写真だ。
流域を実際に空から見た様子がわかる床いっぱいの空撮写真
流域とは川に沿った地域だけでなく、降った雨がその川にそそぎ込む範囲の事で、周囲の山の尾根(分水嶺)で区切られる。
鶴見川の全長は約42.5km。その流域は東京都町田市、稲城市、神奈川県川崎市、横浜市にまたがっており、その形から「鶴見川流域はバクの形」をキャッチコピーにしている。
流域センターの配布資料「鶴見川流域水マスタープラン」より
センターのあちこちにバクがいる
かつて「暴れ川」としてたびたび氾濫し、洪水被害を起こしてきた鶴見川。
中下流域の森林や田畑が市街化によって失われ、保水機能が低下した事により雨水が一気に川に流れ込むようになり、下流域への洪水到達時間を比較すると1990(平成2)年の時点で1958(昭和33)年の約2倍の速さになっているという。
鶴見川流域で町を襲うような水害は近年記憶にないが(内水氾濫を除く)、実は洪水のリスクは決してなくなってはいないのだ。
配布資料より。昭和33年、台風22号で鶴見川が氾濫した鶴見区鶴見市場付近
(神奈川新聞社 撮影)
過去の水害を教訓に鶴見川は1980(昭和55)年から、全国に先駆けで「総合治水対策」に取り組んでいる。
総合治水とは、河川を掘り下げたり川幅を変えたりするだけではなく、下水の排水設備を整えたり、保水機能を高めるために緑地を保全する、調整池や雨水浸透ますなどで雨水を一時的に貯めて川に大量の水が一度に流れ込むのを防ぐ、増水した川の水を遊水池に貯めるといった対策を、河川管理者や行政、企業、市民といった枠を越えて流域一体で取り組むというもの。